著者
渡邊 秀司
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.55-70, 2011-03-01

本論のテーマはカリスマの検討である。カリスマというと「カリスマ主婦」「カリスマ店長」なる言葉を思い浮かべる人も多い。今更カリスマを問う意味がどこにあるのかという考えもあるだろう。しかし,ある程度の構成員を内包する集団が形成される場合,何らかの形でカリスマが関わる場合が多い。マックス・ウェーバーがカリスマについて論じて以後,特に1970年代から80年代にかけてカリスマの検討がされてきた。それらのカリスマ論はカリスマの担い手に主たる関心があったが,本論では,ウェーバーのいうカリスマの「使徒」という,担い手から見れば外部の存在によってカリスマが作られる事を,二段階の「カリスマの構築」という視点に立って論じる。
著者
丸山 哲央 山本 奈生 渡邊 秀司
出版者
佛教大学
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-18, 2011-03-01

インドから中国,朝鮮・韓国を経て移入され,日本化された仏教(Japanized Buddhism)は日本固有の要素にすべての時代,地域に通底する普遍的要素を付加し,独自の体系を形成してきた。日本仏教に固有の要素でありながら新たな普遍性を備え,逆に外部に再発信しうる要素とは何かということの解明が,文化のグローバル化現象の根幹をなす問題である。本稿では,日本仏教のグローバル化について,特に布教活動である南米での海外開教を事例として取り上げ,その理論的分析方法について考察する。この際に浄土宗と浄土真宗の開教活動に焦点を当て,見仏体験にかかわる文化の実存的要素の伝播可能性についての究明を試みたが,文化伝播のメディアとの関連での分析が必要なことが明らかになった。