著者
鈴木 伸悟 藤田 勝久 神田 卓哉 勝俣 水稀 廣澤 伊織 渡部 一宏
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.138-147, 2021 (Released:2021-10-22)
参考文献数
12

近年, サプリメントはドラッグストアや通信販売等で広く販売されているが, 医薬品との相互作用に注意が必要である. そこで, 保険薬局に来局した希望者に『ナチュラルメディシン・データベース』 (以下, NMDB) を用いて医薬品とサプリメントの相互作用に関する相談や情報提供を行い, 相談者にアンケート調査を実施した. 2020 年 5 月 15 日から 6 月 15 日の調査期間で, NMDB による相談対応を 125 人に実施し, 10 人(8%)に特に注意すべき相互作用を発見し, 適切な指導を実施した. また, アンケート調査では, 全体の 48.3%がサプリメントを服用していたことが明らかとなり, さらに, 全体の 65.3% が相互作用の有無の確認をしたいと回答した. このことより, 医薬品とサプリメントの相 互作用の確認は一定の患者ニーズがあり, NMDB 等のデータベースを利用し正確な情報提供を行うことで, 薬局の機能向上につながる可能性が示唆された.
著者
石丸 博雅 津田 泰正 景 秀典 河野 友昭 高山 慎司 森元 能仁 後藤 一美 渡部 一宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.1, pp.143-150, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Occupational exposure to anticancer drugs may increase the risk of cancer and the risk of miscarriage and stillbirth, and cause other adverse events such as hypersensitivity reactions, skin/mucous reactions, and digestive symptoms. Several studies have investigated the use of closed-system drug-transfer devices (CSTDs) to reduce the environmental pollution by hazardous drugs. However, few reports have verified whether CSTDs contain the hazardous drugs within the vials. The BD PhaSealTM System is a CSTD that is frequently used in Japan. However, the fit of each anti-cancer drug vial has not been investigated. We investigated the fit of 71 major anti-cancer drug vials and protectors released and frequently used in Japan by means of a pressure compatibility test that we developed. The pressure compatibility test involved attaching a three-way stopcock to a Luer lock syringe and attaching an injector in line with the syringe. The pressure tubing was connected to the other side of the three-way stopcock and connected to the pressure inlet of the pressure gauge. The pressure in the anti-cancer drug vial was raised to 100 kPa and connected/disconnected repeatedly. If the pressure fluctuation during the 10th connection was within 6%, it was defined as “no change”, and the compatibility of the protector and the vial was evaluated. The median pressure reduction rates at the 10th connection ranged from −1.98% to −4.95%. All drugs surveyed had an error rate within 6%. The BD PhaSealTM Protector was shown to be compatible with the 71 anti-cancer drugs we surveyed.
著者
鈴木 伸悟 藤田 勝久 神田 卓哉 勝俣 水稀 廣澤 伊織 渡部 一宏
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
pp.nt.2020-0026, (Released:2021-06-14)
参考文献数
12

近年, サプリメントはドラッグストアや通信販売等で広く販売されているが, 医薬品との相互作用に注意が必要である. そこで, 保険薬局に来局した希望者に『ナチュラルメディシン・データベース』 (以下, NMDB) を用いて医薬品とサプリメントの相互作用に関する相談や情報提供を行い, 相談者にアンケート調査を実施した. 2020 年 5 月 15 日から 6 月 15 日の調査期間で, NMDB による相談対応を 125 人に実施し, 10 人(8%)に特に注意すべき相互作用を発見し, 適切な指導を実施した. また, アンケート調査では, 全体の 48.3%がサプリメントを服用していたことが明らかとなり, さらに, 全体の 65.3% が相互作用の有無の確認をしたいと回答した. このことより, 医薬品とサプリメントの相 互作用の確認は一定の患者ニーズがあり, NMDB 等のデータベースを利用し正確な情報提供を行うことで, 薬局の機能向上につながる可能性が示唆された.
著者
渡部 一宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.934-936, 2015

ある週末の金曜日18時半,聖路加国際病院薬剤部製剤室の薬剤師である私は仕事も終わり,築地の立ち飲み屋で一杯引っ掛けてから帰ろうと思いながら,製剤業務の後片付けをしていた.そのとき,1本の電話が鳴った.<br><br>渡部:はい,薬剤部製剤室担当渡部です.<br>中村医師:あっ,渡部くん.中村です.業務時間外で悪いのだけど,先ほど入院してきた新患の乳がんの方,すごい大きな皮膚潰瘍で臭いがかなりすごいよ.いつものメトロニダゾールゲル500gをこれから創って欲しいんだけど,大丈夫?<br>渡部:はい,もちろんです.これから製剤を調製して,病棟に持っていきますね.<br><br>このようなことが,幾度あっただろうか.中村医師とは,その当時聖路加国際病院ブレストセンター長で現在,昭和大学医学部乳腺外科教授(日本乳癌学会理事長)である我が国を代表とする乳腺外科スーパードクターの中村清吾先生である.聖路加国際病院は,キリスト教精神の下に全人的ケアの実現をポリシーに掲げ,かつ日野原重明名誉院長の明確なビジョンと燃えるようなパッション,そして常に青年を思わせる行動力のもと「チーム医療の実現」を目指してきた病院で,中でも中村先生がリーダーシップをとられたブレストセンターは,多職種によるチーム医療活動が院内でも特に盛んであった.<br>著者は,聖路加国際病院に入職してまもなく,乳がん診療とそのチーム医療活動に感銘と興味を持ち,また患者さんから慕われる中村先生の臨床医の姿に敬服し,当初からこのチームに薬剤師として関わらせていただいた.チームに関わり始めて私は初めて,がん性皮膚潰瘍に苦しむ乳がん患者さんを目の当たりにした.患部は,目を伏せたくなるような耐え難い症状で,また患部からの酷い臭いが外来診察室や病棟全体に広がり,その辛さは言葉では言い表せないものである(図1).「がん性皮膚潰瘍臭に苦しむ乳がん患者さんの悩みを何とかしたい」これこそが,がん性皮膚潰瘍臭のケアに立ち向かう,一人の薬剤師のリサーチクエスチョンの原点であった.
著者
渡部 一宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.934-936, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
9

ある週末の金曜日18時半,聖路加国際病院薬剤部製剤室の薬剤師である私は仕事も終わり,築地の立ち飲み屋で一杯引っ掛けてから帰ろうと思いながら,製剤業務の後片付けをしていた.そのとき,1本の電話が鳴った.渡部:はい,薬剤部製剤室担当渡部です.中村医師:あっ,渡部くん.中村です.業務時間外で悪いのだけど,先ほど入院してきた新患の乳がんの方,すごい大きな皮膚潰瘍で臭いがかなりすごいよ.いつものメトロニダゾールゲル500gをこれから創って欲しいんだけど,大丈夫?渡部:はい,もちろんです.これから製剤を調製して,病棟に持っていきますね.このようなことが,幾度あっただろうか.中村医師とは,その当時聖路加国際病院ブレストセンター長で現在,昭和大学医学部乳腺外科教授(日本乳癌学会理事長)である我が国を代表とする乳腺外科スーパードクターの中村清吾先生である.聖路加国際病院は,キリスト教精神の下に全人的ケアの実現をポリシーに掲げ,かつ日野原重明名誉院長の明確なビジョンと燃えるようなパッション,そして常に青年を思わせる行動力のもと「チーム医療の実現」を目指してきた病院で,中でも中村先生がリーダーシップをとられたブレストセンターは,多職種によるチーム医療活動が院内でも特に盛んであった.著者は,聖路加国際病院に入職してまもなく,乳がん診療とそのチーム医療活動に感銘と興味を持ち,また患者さんから慕われる中村先生の臨床医の姿に敬服し,当初からこのチームに薬剤師として関わらせていただいた.チームに関わり始めて私は初めて,がん性皮膚潰瘍に苦しむ乳がん患者さんを目の当たりにした.患部は,目を伏せたくなるような耐え難い症状で,また患部からの酷い臭いが外来診察室や病棟全体に広がり,その辛さは言葉では言い表せないものである(図1).「がん性皮膚潰瘍臭に苦しむ乳がん患者さんの悩みを何とかしたい」これこそが,がん性皮膚潰瘍臭のケアに立ち向かう,一人の薬剤師のリサーチクエスチョンの原点であった.