著者
森 正樹 川田 裕一 湖山 信篤 今村 洋 昆野 博臣 熊沢 健一 芳賀 陽子 矢川 裕一 芳賀 駿介 梶原 哲郎 榊原 宣 市岡 四象
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.265-270, 1985 (Released:2009-06-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

潰瘍性大腸炎に慢性関節リウマチ様の末梢型関節炎がみられることはよく知られているが,真の慢性関節リウマチと潰瘍性大腸炎の合併はまれである.われわれは慢性関節リウマチの治療中に発症した潰瘍性大腸炎の1例を経験した.症例は37歳の女性で,昭和51年7月頃より関節症状出現,53年7月典型的慢性関節リウマチと診断された.非ステロイド性抗炎症剤の内服,ステロイド剤の関節内注入により治療されていたが,58年2月頃より消化器症状が出現した.同年8月当科入院,潰瘍性大腸炎(左側大腸炎型,活動期,重症,初回発作型)と診断された.潰瘍性大腸炎は絶食とサラゾスルファピリジン,プレドニゾロンなどの全身投与により寛解した.慢性関節リウマチにみられる潰瘍性大腸炎以外の病変についても文献的に考察した.
著者
相本 隆幸 吉田 初雄 湖山 信篤 二瓶 光博 左近司 光明 恩田 昌彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.2004-2008, 1997-10-01
参考文献数
16
被引用文献数
18

症例は55歳の男性. 食欲不振を主訴に来院. 入院時検査で白血球増多(21,200/mm^3)を示した. 胃透視および胃内視鏡検査で幽門前庭部に2型進行胃癌を認め, 1995年10月30日幽門側胃切除術(D_2)を施行した. 手術的進行程度はT_2, N_2, P_0, H_0, Stage IIIaで, 腫瘍径は110×90mm, 肉眼分類は5T_2であった. また, 病理組織学的にはpap, ss, ly_3, v_3, n_2であった. 術後の白血球数は第3病日の19,200/mm^3から第28病日の7,200/mm^3まで低下し, 血中G-CSF値も第3病日の195pg/mlより第28病日の60pg/mlまで下降した. 術後経過は良好で, 1996年1月20日軽快退院した. 一方, 抗G-CSF抗体を用いた免疫組織染色では腫瘍の細胞質が陽性を示した. 以上よりG-CSF産生胃癌と診断した. 本邦でのG-CSF産生胃癌の報告は自験例を含め7例にすぎない. 今回, 極めてまれなG-CSF産生胃癌の1例を経験したので本邦報告例の検討を含め報告する.