著者
松永 公隆 児玉 桂子
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
純心現代福祉研究 (ISSN:13421506)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.71-88, 2003-07-31

本研究では、痴呆性高齢者のための施設環境評価や指標を検討していくための基礎的な理解を行うために、アメリカにおける痴呆性高齢者に及ぼす施設環境の効果に関する実証研究の動向について、Dayら(2000)やWeisman in press)Kovachら(1997)をはじめとする既存研究のレビューをもとに整理、分類していくことを目的としたがその結果、研究論文は、1980年代から徐々に増えており、痴呆性高齢者のための効果のある環境のあり方に関する実証的知見は蓄積されつつあるものの、調査対象者のサンプル数の問題などの問題の影響もあり、現在の研究の状況は、十分に一般化できる調査結果であるとはいいがたい状況であった。しかしながら、SCUなどの小規模でhome likeを提供可能な環境が、痴呆性高齢者の情緒的安定や、見当識機能を含む身体機能の維持(あるいは向上)をもたらしていることが確認することができた。
著者
潮谷 有二 児玉 桂子 足立 啓 下垣 光 松永 公隆 神谷 愛子 山口 結花
出版者
長崎純心大学・長崎純心大学短期大学部
雑誌
純心現代福祉研究 (ISSN:13421506)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.43-70, 2003-07-31

本研究では、国外において1990年代以降、痴呆性高齢者のための施設居住環境を評価するために開発されたPEAP(Weisman et a1., 1996)やNURS(Grant,1996)を参考に、わが国の介護保険施設の中でも生活施設としての性格を有した社会福祉施設の一つである介護老人福祉施設(以下、特養)に適用可能な8つの次元からなる多次元尺度による痴呆性高齢者環境配慮尺度(施設版)を開発するとともに、その尺度としての有効性についても検討することを目的とした。特養のケアワーカー306人から得られたデータを基に、因子分析を中心とした項目分析をおこなった結果、8つの尺度の内,「安心と安全への支援尺度」、「見当識への支援尺度」、「生活の継続性への支援尺度」、「入居者との触れあいの促進尺度」の4つの尺度の信頼性が高く、これら4つの尺度は、日本の特養の環境配慮の実施度の測定に適用することが可能であるということを示唆することできた。