著者
畑 佳孝 濱田 匠平 和田 将史 池田 浩子 小森 圭司 荻野 治栄 伊原 栄吉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.316-326, 2020-03-25

要旨●高解像度食道内圧検査(HRM)の開発によって食道運動機能の詳細な評価が可能となり,HRMに基づく食道運動異常症(EMD)の国際分類であるシカゴ分類が提唱されたことで,機能的な食道疾患が注目されるようになった.EMD診断のゴールドスタンダードはHRMであるが,いまだ検査可能な施設は限られており,EMDを拾い上げる検査として食道X線造影検査に期待される役割は大きい.本稿では食道X線造影所見を,正常,数珠様・コークスクリュー様,波様,蠕動波なしに分類し検討した.食道X線造影所見のみでEMDの各疾患を鑑別することは困難であったが,EMD全体の拾い上げに対する食道X線造影検査の感度(73.3%)と特異度(92.7%)は満足な結果であった.加えて,中下部食道憩室がEMDを疑う重要な所見の一つであることに留意が必要である.
著者
濱田 匠 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.416-425, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

医療機関に所属する作業療法士が,重症心身障害児の自立活動に対してコンサルテーションを実施する場合の,作業療法士の専門性を学校教諭と共有するための方略について,混合研究法の説明的順次デザインで検討した.まず,作業療法士と学校教諭に同一の質問項目による調査を実施した.結果,「身体の動き」で共通認識が,「自立活動6区分を包括する支援」で認識の相違が認められた(研究1).研究1の結果から質問項目を設定し,熟練の作業療法士を対象に半構造化インタビューを実施し,SCATによる分析を行った.結果,学校の文化や制度の視点を考慮した,学校教諭との認識の相違に留意した協働のプロセスが示唆された(研究2).
著者
濱田 匠 菊池 紀彦 HAMADA Takumi KIKUCHI Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.429-434, 2018-01-04

本報告では、事物を見て楽しむ活動に興味関心が高いものの、事物を操作する活動が限局している重症児(以下、「A 児」とする)を対象に、さまざまな事物操作の獲得を目的に作業療法(以下、「OT」とする)を実施した。OT では、A 児の事物を操作する活動に関する作業遂行能力の評価を行った上で、探索活動が可能となる課題を設定し指導を行った。その結果、A 児の事物を操作する活動が拡大した。重症児が事物を操作する活動を獲得するためには、手の機能の評価を基にしてできる動作と困難な動作を把握した上で、彼らが能動的な探索活動が経験できる環境を設定し指導を行うことが重要であると考えられた。
著者
濱田 匠 菊池 紀彦 HAMADA Takumi KIKUCHI Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.215-222, 2014-03-31 (Released:2017-02-18)

本研究は重症心身障害児(以下、「重症児」とする)のコミュニケーションの特徴を明らかにするために、かかわり手の行動および重症児の行動について詳細な分析を行った。作業療法の場面におけるかかわり手の行動を整理したところ、かかわり手と重症児のコミュニケーションの特徴は、「かかわり手主導で働きかける」、「重症児の期待や合図、要求行動の表出に対応して働きかける」、「重症児の合図や要求行動の後に新たな合図や要求行動を促す」の3つに分類された。このことは、かかわり手の行動に着目することが、重症児のコミュニケーションの特徴を理解していく上で意義があることが示唆された。