著者
丸山 祥 神保 洋平 笹田 哲 宮本 礼子 ボンジェ ペイター
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.784-792, 2021-12-15 (Released:2021-12-15)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本研究の目的は,作業療法士の卒前卒後教育のためのクリニカルリーズニングの評価尺度の開発である.開発方法は,Boatengらの尺度開発の推奨段階およびCOSMINの内容妥当性評価の方法論を参考に,1)暫定項目群の収集,2)項目の内容妥当性の検討,3)尺度の内容妥当性の検討を実施した.研究対象者には作業療法教育者に加え,評価対象者である作業療法学生と作業療法士を含んだ.結果,作業療法のクリニカルリーズニングの4つの思考プロセスに基づく40項目と5段階の評定段階から成る評価尺度を作成し,その内容妥当性を確認した.今後,本尺度の信頼性や妥当性を検討する予定である.
著者
池田 公平 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.709-717, 2023-12-15 (Released:2023-12-15)
参考文献数
32

本研究の目的は, セラピスト連携実践尺度(TCPS)の信頼性と妥当性の検証である.対象は回復期リハビリテーション病棟のセラピストとした.信頼性の検証(n=53)ではTCPSを2週間の間隔で2回実施し,ICC=0.97(95%CI;0.95~0.98,p<0.01),Bland-Altman plotのプロットがLimits of agreement内に収束した.妥当性の検証(n=210)では,多職種連携を評価する2種類の既存の尺度と中等度の相関(r>0.60)があった.これらの結果から,TCPSはセラピストの多職種連携実践を評価する尺度として良好な信頼性と妥当性が示唆された.
著者
重田 優子 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.426-434, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
32

【背景と方法】我が国の地域在住脳卒中者は社会参加の機会に乏しく,男性高齢者の社会参加・交流には特に課題が多いとされる.そこで,男性脳卒中者が社会参加を経験するプロセスを複線径路等至性アプローチに基づいて分析した.【結果】3名の参加者は,入院中も途切れることなく社会参加を継続し,発症による様々な変化に向き合う中で『ありたい自分のイメージ』という価値に基づき,その価値観を体現できる社会参加という行為を選択していくプロセスを語った.【結論】男性脳卒中者の社会参加促進には,その人の持っている価値観を捉え,その価値観に依拠して将来の見通しを持つことができるよう支援することの重要性が示唆された.
著者
濱田 匠 笹田 哲
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.416-425, 2023-08-15 (Released:2023-08-15)
参考文献数
20

医療機関に所属する作業療法士が,重症心身障害児の自立活動に対してコンサルテーションを実施する場合の,作業療法士の専門性を学校教諭と共有するための方略について,混合研究法の説明的順次デザインで検討した.まず,作業療法士と学校教諭に同一の質問項目による調査を実施した.結果,「身体の動き」で共通認識が,「自立活動6区分を包括する支援」で認識の相違が認められた(研究1).研究1の結果から質問項目を設定し,熟練の作業療法士を対象に半構造化インタビューを実施し,SCATによる分析を行った.結果,学校の文化や制度の視点を考慮した,学校教諭との認識の相違に留意した協働のプロセスが示唆された(研究2).
著者
笹田 哲 長田 久雄
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.1-10, 1997 (Released:2015-04-23)
参考文献数
20

The Multidimensional Health Locus of Control (MHLC) scales developed by Wallston et al., were applied to 82 subjects with cerebral vascular accidents with a view to objectively deciding the patients' health locus of control. As a result, an external control tendency was observed. The result of the analysis revealed that no major effect was observed in internality (IHLC) or powerful others (PHLC), while a major effect was observed in chance (CHLC) externality when comparing sex differences or hypercortical dysfunction. There were no observable interactions among any of these factors. From the above findings we concluded that loss of confidence occured from difficulties experienced in their daily lives due to cerebral vascular accidents and that the subjects became more susceptible to incidents and accidents. Also, it is suggested that the sence of health locus of control is not related to lesions in the right and/or left hemisphere but to gender difference and/or hypercortical dysfunction. Therefore, it is necessary to regard hypercortical dysfunction as a vital factor affecting the health locus of control instead of simply regarding it as one of the symptoms. The Multidimensional Health Locus of Control (MHLC) Scales are useful for evaluating the health locus of control of patients with hypercortical dysfunction.
著者
笹田 哲朗 岸 裕幸 東 公一
出版者
地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

(1)TCR遺伝子導入T細胞を用いたネオアンチゲンスクリーニング系の確立各種T細胞表面分子(PD-1, TIM-3, 4-1BB)を発現するT細胞群と発現しないT細胞群とをsingle cell sorting(90 well)し、各々のT細胞クローンの発現するT細胞受容体(TCR)遺伝子配列を同定した。大腸がん(2例)、腎臓がん(3例)組織由来の腫瘍浸潤T細胞を用いて検討したところ、① PD-1, TIM-3, 4-1BBを発現するT細胞群には腫瘍局所で選択的に増加したと思われるT細胞クローンがしばしば高頻度に同定されること、② PD-1, TIM-3, 4-1BBを発現するT細胞群と発現しないT細胞群とを比較したところ、各群間で発現するTCR遺伝子配列が大きく異なること、などが判明した。現在、分離したT細胞クローンから同定したTCR遺伝子を導入したT細胞株を作成中である。今後、多数のTCR遺伝子導入T細胞株のネオアンチゲン反応性(サイトカイン分泌など)を比較・検討することにより、T細胞クローンの分離頻度の高低とネオアンチゲン反応性の有無との相関を検証する予定である。(2)ゼノグラフトモデルの樹立大腸がん5例、腎臓がん10例に由来するがん組織をNSGマウスに移植したところ、現在までに大腸がん2例、腎臓がん1例のゼノグラフトモデルが樹立された。今後、樹立されたゼノグラフトモデルに、同一患者において同定されたTCR遺伝子を導入したT細胞株を移入することにより抗腫瘍効果を検証する予定である。(3)抗PD-1抗体で治療された非小細胞肺がん患者10例(有効例、無効例を各5例)から末梢血、腫瘍組織を採取し保存した。今後、分離したT細胞クローンからTCR遺伝子配列を同定し、ネオアンチゲン反応性を確認する予定である。