著者
加藤 裕朗 村山 裕佳 濱田 奈保子 和田 俊
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.32, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】浸透圧を利用して食品から水分を取り除くことができるシートとして開発された脱水シート(商品名:ピチットマイルドシート, オカモト社製)は2枚の食品用半透膜フィルムの間に,高濃度の食用糖類と食用糊料をはさんだ構造になっている.鮮魚の品質保持効果に関しては,サバ類,イワシ類,タラ類,ブリ及びサンマについて,VBN抑制効果とK値の上昇抑制効果があることを精査してきた(*濱田ら 2002,2003).本研究ではカツオを対象として,多角的角度から品質保持に及ぼす脱水シートの影響について検討を行った. 【方法】カツオを脱水シート,対照としてポリ塩化ビニリデンシート(サランラップ 旭化成製)で包装し,5℃の冷蔵室で0~4日間貯蔵した.脱水率,水分含量及びATP関連化合物量を経日的に測定した.色彩に関しては,血合肉と普通肉においてL*a*b*値を測定及びL*a*b*値とそれらの値から求められるΔEとΔEに彩度を加えたΔE00を求めた.また,におい識別装置(島津製作所 FF-2A)を用いた総合的なにおい分析の計測を貯蔵2日目と4日目に計測した. 【結果】脱水シート包装の脱水率は貯蔵1日目で6.2%,貯蔵4日目には14.4%であり,水分含量は貯蔵2日目から4%以上の差が見られた. ATP関連化合物量については有意差は見られなかった.色彩に関しては,ΔE及びΔE00ともに脱水シート包装において色彩の保持効果が観察された.また血合肉でより高い効果が見られた.においに関しては,貯蔵4日目において類似度と多変量解析の結果に差が見られた.以上の結果から,カツオの品質保持に関して色彩とにおいにおいて脱水シートによる優位性が示唆された. *日食科誌, 49, 781-785 (2002). 日調理科誌, 36, 354-359 (2003).
著者
濱田 奈保子 中田 絵里子
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

鮮度指標K値と積算温度に基づく非破壊の鮮度評価および管理ツールとして、従来のMTT型に加え、WST-3型BTMを開発した。食品のトレーサビリティに導入するにあたり、MTT型BTMおよびWST-3型BTMの発色に伴い生成される色素成分についてin vivoマウス経口投与試験により安全性を確認した。BTMによる鮮度の可視化が可能な魚について,両BTMの発色度から生可食期限(消費期限)を求めたデータベースを作成した。