著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 瀧 豊樹
出版者
九州大学健康科学センター
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-51, 1999

各種スポーツ大会に参加した高校生,大学生,社会 人選手及び国民体育大会に参加した選手を対象にして,試合中の心理状態の診断法とその有効性について考察した。 そのおもな結果は次のとおりである。1.10項目から構成される試合中の心理状態診断法の質問項目の妥当性,診断検査としての信頼性及び因子について証明することができた。 2.作成された本検査と精神力の自己評価,実力発揮度,競技成績の関係について項目別及び合計得点の比較を行った結果,すべて有意な関係が認められ本検査の有効性を証明することができた。 3.本検査法と心理的競技能力(DIPCA.2)を比較すると国体選手では有意な関係がみられた。しかし,大学サッカー選手では有意な関係は認められず,本検査と試合前の心理状態(DIPS-B.1)の関係では有意な関係が認められ,心理的競技能力は試合前の心理状態と有意な関係が認められた。 4.関連する3つの診断検査と実力発揮度及び競技成績との関係を考察することができた。 5.以上の結果より,「試合中の心理状態診断検査(Diagnostic Inventory of Psychological State During Competition,略してDIPS-D.2)」を作成した。