著者
瀧澤 武信
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.875-881, 2006-08-15
参考文献数
5
被引用文献数
7

第16回世界コンピュータ将棋選手権で初出場初優勝した「Bonanza」の特徴を概観する. Bonanzaは作者が将棋をあまり知らない上に,コンピュータ将棋の論文を読まずコンピュータチェスの論文のみを参考に開発した.作者によると.Bonanzaの局面の探索の手法は,「全幅探索」とほぼ同様な結果を得られるものを用いており,評価関数は10 000個のパラメータを自動チューニングして最適化したものを用いている.項目数が多いが,構造が簡単なために軽い評価関数に仕上げ,スピードを獲得したと思われる.さらに,基本データ構造にBitboardを採用することで,プログラムの実行速度を上げているとのことであり,これらが相まって成功を収めたと思われる.Bonanzaの登場により,コンピュータ将棋の進歩が一層早まり,10年以内にトッププロに迫るものが現れても不思議でない状況となった.
著者
瀧澤 武信
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.925-928, 2013-08-15

2013年3月~4月に行われた「第2回電王戦」で5人のプロ棋士とコンピュータ将棋5ソフトが対戦し,コンピュータ将棋ソフトが3勝1敗1分で勝ち越した.その直後の5月3日から5日に開催された「第23回世界コンピュータ将棋選手権」におけるコンピュータ将棋のパフォーマンスと結果を考察する.この選手権には招待1を含め40のソフトが参加し,Bonanzaが2006年以来2回目の優勝をした.準優勝はponanza,3位は第2回電王戦で活躍したGPS将棋であり,これらの3ソフトは,決勝でいずれも5勝2敗であった.決勝進出ソフトはすでにプロ級に達していると評価された.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.101-108, 2019-11-01

「世界コンピュータ将棋選手権」(第 10 回までは「コンピュータ将棋選手権」)は 1990 年 12 月 2 日に第 1 回(1 日制)が開催され,その後,時期を少しずつ後ろにずらしたため1995年には行われていないが,継続的にほぼ年に 1 回ずつ開催され,2019 年 5 月 3日~5 日(3日制)には第 29回が開催された. 初期のころは上位入賞プログラムも弱いものであったが,2005 年ころから急速に強くなり,今日に至っている.ここでは,第16 回から第 20回までのコンピュータ将棋選手権で活躍したプログラムの実力を検証し,さらに人間プレ ーヤとの対局と今日への繋がりについて考察する.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2007論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.12, pp.116-119, 2007-11-09

コンピュータ将棋協会では1990年からコンピュータ将棋選手権を主催してきている.第17回世界コンピュータ将棋選手権は2007年5月3日から5日まで行われ,40チームの参加があった.この選手権では予選が1次予選と2次予選の2段階あり,最終日に決勝が行われた.2007年の選手権では,2次予選シードのうち1チームが不参加となったためシードされた15チームと1次予選からの進出9チームのうち5チームが決勝に進出する2次予選が行われたが,通常はシード16チームと1次予選からの進出8チームである.ここでは16+8の方式で用いられる対戦組み合わせシステムについて,次回採用が予定されているスイス式システムを含め,いくつかの対戦方式の評価を行ったので,それを報告する.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.12, pp.55-58, 2010-11-12

世界コンピュータ将棋選手権は,第8回は,上位予選,下位予選と決勝,第9回以降は1次予選,2次予選,決勝という形で行われている.第11回は,決勝に10チームが参加して行われたが,通常は決勝に8チームが参加して行われている.ここでは,決勝8チーム制が定着した2002年から2010年までの決勝における先手の勝率,初手から6手目までの流れ,戦形別成績について分析する.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.92-95, 2011-10-28

数理ゲーム理論(Mathematical Game Theory)は組合せゲーム理論(Combinatorial Game Theory)とも呼ばれ,組合せ数学(Combinatorial Mathematics)の一分野である.この理論は1960 年代に本格的な研究が始められ,1970 年代にCalifornia 大学Berkeley 校のE.Berlekamp 教授,英国Cambridge 大学のJ.Conway 教授,カナダCalgary 大学のR.Guy教授らにより確立された. 筆者はBerlekamp 教授がこの理論を囲碁の最終盤に適用し始めた直後の1991 年から,同教授らの研究グループと共同研究を行ってきた. 本論文では数理ゲーム理論の囲碁の最終盤への適用について述べる.
著者
瀧澤 武信
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.100-107, 2016-10-28

「世界コンピュータ将棋選手権」(第10回までは「コンピュータ将棋選手権」)は1990年12月2日に第1回(1日制)が開催され,その後,時期を少しずつ後ろにずらしたため1995年には行われていないが,継続的にほぼ年に1回ずつ開催され,2016年5月3日~5日(3日制)には第26回が開催された.初期のころは上位入賞プログラムも弱いものであったが,2005年ころから急速に強くなり,今日に至っている.ここでは,初期のコンピュータ将棋選手権で活躍したプログラムの実力を検証し,今日への繋がりについて考察する.また,選手権に現れた長手数局について分析する.