著者
川島 一朔 灰谷 知純 杉山 風輝子 臼井 香 井上 ウィマラ 熊野 宏昭
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.3-7, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
6

瞑想中に行われる注意制御と注意訓練(Attention training technique: ATT)実施中に行われる注意制御は類似していると推測されるが,これらが同質であるかは不明である。そこで,瞑想経験者がATT を実施している際の脳活動を明らかにし,先行研究との比較を試みた。瞑想の経験があり右利きである男女8 名に対し,開眼安静時およびATT 実施時の脳波が測定された。そして,sLORETA ソフトウェアで脳波の発生源を推定し,安静時とATT 実施時の間で比較がなされた。結果,安静時と比較し,注意転換時及び注意分割時に右背外側前頭前野におけるガンマ波の有意な増加が見られた。先行研究から,この結果は,瞑想時に見られる脳活動の一部と一致しており,特定の対象に対する注意維持を反映していると考えられる。今後も参加者数を増やし検討を続けるとともに,引き続き瞑想中の脳活動との比較を進める必要がある。
著者
永井 宗徳 灰谷 知純 川島 一朔 熊野 宏昭 越川 房子
出版者
日本マインドフルネス学会
雑誌
マインドフルネス研究 (ISSN:24360651)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-13, 2016 (Released:2022-02-22)
参考文献数
18

マインドフルネスとは,「今ここでの経験に,評価や判断を加えることなく意図的に,能動的な注意を向けること」であり,その訓練は,近年,うつや不安の治療に使用されている。訓練の途上では,能動的に注意を制御する練習が行われ「注意機能」が向上するとされ,また,嫌悪的な自身の感情や身体感覚などを回避しようとする「体験の回避」が低減するとされている。本研究ではマインドフルネス呼吸法を使用し,日常的に行える,短時間かつ短期間の簡易な実習でも,注意機能を向上させ,体験の回避を低減させるのかについて検討した。注意機能の計測にはAttention Network Test を用いた。その結果,訓練により体験の回避が低減されることが有意傾向で示された。この結果は,自己の体験をありのままに受け入れることが促進されたことによると考えられる。しかしながら,注意機能に変化は認められなかった。注意機能を向上させるには本実験のような教示・訓練条件では不十分であったと考えられる。