著者
佐々木 彩恵子 野崎 章仁 才津 浩智 宮武 聡子 松本 直通 熊田 知浩 柴田 実 藤井 達哉
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.405-407, 2017 (Released:2017-12-12)
参考文献数
8

COL4A1はⅣ型コラーゲンのα1鎖をコードする遺伝子で, 孔脳症や裂脳症の原因となる. 我々は, 孔脳症・裂脳症を認めず, 多彩な頭部画像所見よりCOL4A1関連疾患の診断に至った1例を経験した. 症例は21歳女性. 正期産で仮死なく帝王切開で出生した. その後精神運動発達遅滞と小頭症を認めた. 7カ月時にWest症候群を発症した. 頭部画像検査で脳室周囲の白質病変, 側脳室拡大, 小脳萎縮と脳内石灰化を認めた. 原因確定はできず, 痙直型四肢麻痺として経過観察となった. 19歳時にラクナ脳梗塞を発症し, 上記画像所見に加えて微小脳出血および脳動脈瘤も判明した. 虚血性病変と出血性病変を伴っていたことより, COL4A1関連疾患の可能性を考慮した. 遺伝カウンセリングを行い, COL4A1遺伝子解析を行った. 新規なc.2504G>A (p.Gly835Glu) 変異をde novoに認め, COL4A1関連疾患と確定診断した. 原因不明の麻痺例の中にCOL4A1関連疾患が存在する可能性がある. また常染色体優性遺伝疾患であるため, 診断の際には遺伝カウンセリングが重要である.
著者
佐々木 彩乃 桐野 文良 塚田 全彦 高木 秀明
出版者
マテリアルライフ学会
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.46-58, 2017-05-31 (Released:2021-05-08)
参考文献数
15

本研究ではエオシンとそれをレーキ化したゼラニウムレーキ顔料について,レーキ化が耐光性に及ぼす影響を検討した.X線回折,電子顕微鏡観察より,どちらも結晶構造をもつが,ゼラニウムレーキ顔料の方が,粒子が微細であることを確認した.また紫外-可視分光分析で両者に吸収端波長の違い等がみられたのに対し,赤外分光分析,ラマン分光分析では差異は認められなかった.エオシンとゼラニウムレーキ顔料を用いた油絵具の耐光性試験では,ゼラニウムレーキ顔料の変色はエオシンの4分の1程度であった.ゼラニウムレーキ顔料ではアルミニウムイオンとの結合により電子状態の変化が生じ,耐光性の向上に寄与していると考えられる.光による変色の機構を赤外分光分析で検討した結果,いずれの絵具もC-Brの分解とキサンテン環の構造に変化が確認された.また試料の断面観察,顕微赤外分光分析から,どちらの試料にも表面に薄い層が形成されており,光劣化は表面層にのみ生じていることが明らかとなった.
著者
田中 千晴 佐々木 彩乃 笹山 哲央 小谷 弘哉 藤澤 英二 近藤 和夫 西野 実
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.47-51, 2021-05-31 (Released:2021-09-01)
参考文献数
12

三重県のゴマ圃場で多発するミナミアオカメムシNezara viridula(Linnaeus)の加害が収量および油脂の成分品質に及ぼす影響を調査した。登熟期間を通して成幼虫10頭/株を加害させたところ,精子実重は顕著に低下し,しぼんだ形状の未熟粒が多数発生した。また,精子実重および粒数の減少は登熟後期よりも登熟初期の加害において顕著であった。精子実の油脂の酸価は登熟後期よりも登熟中期に加害された場合に上昇した。無農薬栽培圃場では開花直後から成幼虫が発生し,開花5週目に成幼虫数は最多となった。
著者
宮田 遼 松宮 弘 佐々木 彩花 吉岡 巌
出版者
日本鼻科学会
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.565-571, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
25

リン酸塩尿性間葉系腫瘍(phosphaturic mesenchymal tumor: PMT)は,線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23: FGF23)を分泌し,腫瘍性骨軟化症(tumor-induced osteomalacia: TIO)の原因となる稀な腫瘍である。FGF23は腎尿細管におけるリンの再吸収および腸管におけるリンの吸収を抑制する機能を有するため,過剰なFGF23は低リン血症を来し,骨軟化症を引き起こす。症例は73歳男性で,主訴は胸と足の痛みであった。高アルカリフォスファターゼ(ALP)血症,低リン血症が認められ,骨シンチグラフィーでは肋骨,胸腰椎,腸骨,足根骨に集積を認め,骨軟化症が疑われた。全身CTで左鼻腔に異常な腫瘤陰影を認められた。鼻外からの前頭洞開放を併用して内視鏡下に腫瘍を切除した。病理学的診断はphosphaturic mesenchymal tumor, mixed connective tissue variant(PMT-MCT)であった。手術後,血清リンおよび血清FGF23は速やかに正常化した。胸と足の痛みは手術の5ヶ月後に改善した。手術3年後,血清ALPは正常化し,腫瘍の再発は認めていない。
著者
尾上 孝利 佐々木 彩夏 藪下 恵里 足立 裕亮
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.43-52, 2012-03

看護師にとって手指消毒の知識と手技は院内感染防止上重要である.本学での手指衛生教育後に学生がいかに手指消毒の知識と技術を理解しているかをアンケートとハンドぺたんチェックSCDLP培地を用いて検討した.教えられたスタンダードプリコーションの用語,意味および手技の理解度は1,2年生では劣っていたが,進級に伴って3,4年生では上昇していた.培養法で手洗いと擦式手指消毒手技を判定すると,合格率は1,2,3,4年生で50,40,75,60%,擦式手指消毒のみの値はそれぞれ60,60,100,80%であった.以上の結果は,1年生から確実な手指消毒手技を体得させる指導が必要であることを示唆している.
著者
高橋 輝美子 神原 知佐子 佐々木 彩 高橋 まり 小田 弘明 野村 希代子 杉山 寿美
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.559-566, 2020 (Released:2020-10-01)
参考文献数
10

本研究では慢性腎臓病(CKD)患者の不安軽減に対する料理教室の効果を明らかにすることを目的として、CKDステージ3a~5の患者94名を対象に、管理栄養士が実施する料理教室への参加理由や食事療法への不安感等に関するアンケート調査を実施した。料理教室への参加状況により3年以上継続群:A群、3年未満継続群:B群、不定期・非参加群:C群の3群に区分し、Kruskal -Wallis検定と多重比較を行った。その結果、「食事療法の食事をおいしいと感じている」、「気軽に相談できる患者同士のつながりがある」の項目で3群の各群間に統計的有意差が認められた。料理教室への参加理由で、「同じ病気の患者さんと知り合いたかった、話したかったから」、「料理教室での食事が楽しみだから」でA群とC群の間に有意な差が認められた。料理教室に継続して参加することが、患者に「治療食をおいしいと感じること」と「患者同士のつながり」をもたらし、両者が疾病や食事療法への不安軽減につながることが示唆された。