- 著者
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宍戸 良洋
熊倉 裕史
堀 裕
- 出版者
- THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.95-102, 1993 (Released:2008-05-15)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
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トマトのソース•シンク関係に及ぼすソース葉やシンク葉の摘除ならびに暗黒処理の影響を明らかにしようとした.その結果,8葉期のトマトでは第3および4葉はそれぞれ,全シンク器官に光合成産物を分配しており,独立したソース•シンク関係を持っていることが認められた.さらに,第3葉は第8葉とは強く,第7葉とは弱いソース•シンク関係があり,第4葉では第8葉とは弱く,第7葉とは強いソース•シンク関係を持っていることが認められた.それらの関係の中で,弱い関係のシンクを摘除してもソース葉からの分配パターンはあまり変化しないが,強い関係のシンクを摘除すると大きく変化するというように,シンクの摘除は二つのタイプの反応を引き起こすことが認められた.1枚のソース葉以外の全てのソース葉を摘除または暗黒処理すると,残ったソース葉からの光合成産物の転流は減少した.この場合,根への分配を減少させても,将来ソースになるべき若い葉への分配を増加させるような分配パターンを示し,シンク葉を暗黒下において光合成を抑制した場合には,この分配パターンの傾向が強まることが認められた.このような反応は光合成産物の転流分配現象における劣悪な条件に対する植物体のサバイバル反応と考えられる.