著者
高田 秀重 熊田 英峰 高田 秀重
出版者
東京農工大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

鳥島で採取されたアホウドリの雛の吐瀉物10試料をプラスチックとそれ以外の内容物(大部分は魚介類;以下非プラスチックと略す)に目視により分け、それぞれについて重量の測定並びにPCBs、DDEおよびアルキルフェノール類の分析を行った。10試料中9試料からプラスチックが検出された。吐瀉物中のプラスチックの割合(乾燥重量比)は最大66%であった。プラスチックから数十ng/gのPCBsが検出された。この濃度は非プラスチック吐瀉物中の濃度と同程度あるいは一桁低かった。吐瀉物中のPCBs全量に占めるプラスチック由来のものの寄与は10試料中2試料で21%および55%と大きく、プラスチックが生物へのPCBsの輸送媒体になる可能性を示した。しかし、他の8試料ではプラスチックからの寄与は数%程度であった。DDEについても同様の傾向が認められた。プラスチック中のノニルフェノール濃度は数十ng/gであった。一方、非プラスチック吐瀉物からもノニルフェノールは検出され、その濃度はプラスチック中の濃度よりも高かった。特に、プラスチックが含有されていなかった試料からもノニルフェノールが検出されたことから、アホウドリが摂食する魚介類のノニルフェノール汚染が示唆された。吐瀉物中のノニルフェノール全量に占めるプラスチック由来のものの寄与は12%〜36%と有意な寄与が明らかとなった。しかし、非プラスチックからの寄与が全般に大きく、魚介類からのノニルフェノールの取り込みの寄与が大きいことが示唆された。
著者
磯部 友彦 中田 典秀 間藤 ゆき枝 西山 肇 熊田 英峰 高田 秀重
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.621-625, 2002-09-26 (Released:2010-05-31)
参考文献数
13
被引用文献数
7 7

プラスチック製の食器等について, 油脂性食品疑似溶媒であるn-ヘプタンを用いた溶出試験を行なった。50種の製品の分析から, 16試料で有意にノニルフェノールが溶出し, そのうち5試料で特に高濃度 (21~2485ng/cm2) で検出された。ポリスチレンおよびポリプロピレン製品からの溶出が最も大きかったものの, 検出量には大きな変動が認められ, その変動には明確な傾向は認められなかった。今後さらに密で広範囲な調査を行ない, プラスチック製食器に起因する内分泌撹乱化学物質の人体への曝露量を評価すると共に, リスクを軽減するための施策を講じる必要があると思われる。
著者
熊田 英峰 高田 秀重 ザカリア モハマド パウジ
出版者
日本有機地球化学会
雑誌
Researches in Organic Geochemistry (ISSN:13449915)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.13-25, 2000
参考文献数
35
被引用文献数
3

In order to investigate chemical fingerprints of different combustion sources, polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) of airborne particulate samples were collected on three different occasions in Beijing (China), Tokyo (Japan) and Malaysia. Total-PAHs concentrations, including methyl- and dimethylphenanthrenes and sulfur containing hetero-aromatics (PASHs), were found to be the highest in Beijing (winter) samples followed by Beijing (summer), Tokyo, and Malaysia with readings of (405, 437), (20.4, 41.1), (8.43-43.1), and (2.64-42.6)ng/m<sup>3</sup>, respectively. Some of compositional differences observed could be due to the difference in combustion sources among the three countries rather than environmental alterations. Using ratios of benzo[ghi]perylene to benzo [e] pyrene (BghiP/BeP) and dimethylphenanthrenes to fluoranthene (DMP/Flu), Malaysian aerosols were elucidated from Tokyo and Beijing samples, suggesting high BghiP/BeP and DMP/Flu ratios as potential molecular markers of biomass-burning in the tropical region. Retene and 1,7-DMP/2,6-DMP ratio had previously been suggested as molecular markers for wood- or conifer-burning, were found to be useless in tropical region. Although PASHs were expected as molecular markers for the burning of sulfur-rich coal in China, ratios of PASHs to total-PAHs had showed only a slight enrichment in Beijing (winter) samples which was significantly affected by coal-combustion as compared to other samples in this study.