著者
八十島 誠 山下 尚之 中田 典秀 小森 行也 鈴木 穣 田中 宏明
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.707-714, 2004-11-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
45
被引用文献数
4 5

In recent years, antibiotics resident in sewage and in the water environment have become an emerging public concern in many developed countries. However, limited knowledge is available on the occurrence of antibiotics in sewage and discharge from wastewater treatment plants (WWTPs) in Japan. Moreover, little is known on the significance of their occurrence in the water environment from the viewpoints of biological adverse effects. The objectives of this research were, therefore, to determine the occurrence of selected antibiotics, namely levofloxacin (LVFX) and clarithromycin (CAM). That are commonly used in Japan, in discharge from WWTPs and then to evaluate their possible effects on algal growth. Therefore, we developed a novel analysis method for LVFX and CAM in wastewater by LC/MS/MS whose detection limits and recovery ratios are 2-3ng·l-1 and 53-87%, respectively. We also conducted algal growth inhibition tests using Pseudokirchneriella subcapitata, and results showed that the EC50s of LVFX and CAM are 1200μg·l-1 and 11μg·l-1, LOECs are 630μg·l-1 and 6.3μg·l-1, and NOECs are 310μg·l-1 and 3.1μg·l-1, respectively, LVFX and CAM concentrations in secondary effluent of five WWTPs that use the activated sludge process ranged from 152-323ng·l-1 and 303-567ng·l-1, respectively, which indicates that the PEC/PNEC ratio of LVFX is less than one but that of CAM exceeds two at the maximum secondary effluents if a safety factor of ten is considered. This suggests a possibility of algal growth inhibition due to CAM in WWTP discharge in the case of insufficient dilution of the receiving waters.
著者
磯部 友彦 中田 典秀 間藤 ゆき枝 西山 肇 熊田 英峰 高田 秀重
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.621-625, 2002-09-26 (Released:2010-05-31)
参考文献数
13
被引用文献数
7 7

プラスチック製の食器等について, 油脂性食品疑似溶媒であるn-ヘプタンを用いた溶出試験を行なった。50種の製品の分析から, 16試料で有意にノニルフェノールが溶出し, そのうち5試料で特に高濃度 (21~2485ng/cm2) で検出された。ポリスチレンおよびポリプロピレン製品からの溶出が最も大きかったものの, 検出量には大きな変動が認められ, その変動には明確な傾向は認められなかった。今後さらに密で広範囲な調査を行ない, プラスチック製食器に起因する内分泌撹乱化学物質の人体への曝露量を評価すると共に, リスクを軽減するための施策を講じる必要があると思われる。
著者
東 剛志 菅原 民枝 中田 典秀 山下 尚之 三野 芳紀 田中 宏明 大日 康史
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.226-232, 2014-04-20 (Released:2014-05-13)
参考文献数
42
被引用文献数
1

本研究は,下水処理場に流入する流入下水中のインフルエンザ治療薬のタミフル及びリレンザの濃度をモニタリングすることにより,ある地域におけるインフルエンザ患者数を把握することが可能であることを示した最初の報告である.まず,2010-2011年及び2011-2012年におけるインフルエンザの流行シーズンに,京都市において流入下水中のタミフル及びリレンザの濃度を継続モニタリングした結果に基づいて,同市におけるインフルエンザ患者発生数を推計した.次に,処方せんに記載された医薬品情報の集計を元に疾病の流行を把握する,薬局サーベイランスによるインフルエンザ患者数との対応性について比較検討した.その結果,両者の相関関係が高く増減推移や患者数に良い一致をみた.これらの結果は,下水処理場に流入する薬剤を基に特定疾患の患者数の推定を行う手法が,新しい疫学調査法として有効であることを示唆している.
著者
田中 宏明 山下 尚之 吉谷 純一 中田 典秀 八十島 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

遊離体と抱合体のエストロゲンの前処理を簡易化し、回収率を大幅に改善させる分析法を開発した。2008年1月と9月の降雨時期に 英国テムズ川流域で調査を行った結果、E2 やグルンクロン酸抱合体のエストロゲンが放流水や河川水で検出され、合流式下水道越流水の影響が無視できないことが明らかとなった。また我国で検出されないEE2 が流入下水や下水処理水で検出された。グルクロン酸抱合体よりも硫酸抱合体が、またE2 やE1 よりもEE2 は分解が遅いことが実験で明らかとなった。