著者
寺田剛陽 津田宏 片山佳則 鳥居悟
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1498-1505, 2014-07-02

やり取り型の標的型メールや,水飲み場攻撃など,サイバー攻撃はユーザの心理・行動上の隙を突いた巧妙なものになってきている.こうした新たな攻撃に対抗するには,システム上の対策に加えてユーザ自身にも攻撃を見抜く力が必要となってきている.そこで我々は,組織の作業ログから近い将来にウイルス感染などのIT被害に遭う可能性の高いユーザや部門を発見し,対策を配付するシステムの開発をめざしている.ここで,被害を削減するためにはユーザや部門の特性に合わせた対策の提供が必要だと我々は考えている.この実現に向けて今回の研究では約1,000名のIT被害経験者に対してアンケート調査を行った.分析の結果,リスク敬遠志向が高いユーザはIT被害の種類を問わず被害が少ない傾向であることや,現状維持傾向が強いユーザは不正利用被害やプライバシー漏洩被害が多い傾向であることなど,IT被害経験者の心理・行動上の特徴は,被害の種類を問わずにみられるものと特定の被害にのみみられるものがあることがわかった.本結果は,組織における個人や部門のリスクの見える化や,きめ細かいサイバー攻撃対策に適用できると考えられる.
著者
土井 晃一 大森 晃 蓬莱 尚幸 渡部 勇 片山 佳則
出版者
情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.125-126, 1993-09-27
被引用文献数
2

顧客からの要求獲得において、自然言語によるコミュニケーションは重要な役割を果たしている。この際、直接言われた要求だけではなく、言われていない、顧客の無意識下にある漠然とした要求も抽出したい。将来的には自動的に要求を抽出することが目標だが、まずは要求獲得のための方法論を確立したい。要求獲得では、話し手の意図理解が前提となる。意図理解の理論的枠組として発話行為論を用いる。発話行為論では話し手の種々のレベルの行為の解釈が主な問題となるが、本研究では単に発話の解釈、理解だけではなく要求の獲得を目標とする。まずそのために言語現象を観察・解析し、話し手の意図を考慮した言語行為モデルを構築する必要がある。本論文ではそうしたモデルを提案する。図1コミュニケーシヨン進行による共有知識の顕在化さらに話し手の意図を理解するためには、共有知識(感情、イメージなども含む)の顕在化が必要となる。つまりコミュニケーションの展開を通して、図1のように、話し手、聞き手双方の無意識下にあるものと共有知識を意識下に顕在化すること(図1の矢印の方向への推移)が意図理解、要求分析には必要となる。これは今後の重要な課題である。