著者
岩崎 基 片岡 洋行
出版者
国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ブラジル在住日系人のヘテロサイクリックアミン摂取量を把握するための質問票を開発し、加熱食品中のヘテロサイクリックアミン含有量データベースを作成するために、ブラジルでよく用いられる調理法を用いて肉・魚類を調理しヘテロサイクリックアミンの分析を行った。その結果、食材、調理法、焼き具合(3-4 段階)、マリネの有無、皮の有無などの条件別のデータベースが整備され、質問票により摂取量推定が可能となった。
著者
片岡 洋行 齋藤 啓太
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ファイバー固相マイクロ抽出(SPME)法またはインチューブSPME法を用いて皮膚ガス及び皮膚滲出液中の揮発成分や唾液成分を非侵襲的かつ簡便迅速にサンプリング、抽出濃縮した後、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)法との連結により高感度分析する方法を開発した。ファイバーSPME/GC-MS法を用いて、揮発性アルデヒド類や含硫化合物などの体臭成分の分析法を確立し、喫煙や食品摂取の影響を解析した。また、インチューブSPME/GC-MS法を用いて、コルチゾールやテストステロンなどのストレス・疲労関連ホルモン類や8-イソプロスタン及び8-OHdGなどの酸化ストレス関連化合物の自動分析法を確立し、喫煙による酸化ストレスの影響を解析した。これらの方法は、口臭や体臭の診断、疾病診断への応用が期待される。
著者
片岡 洋行
出版者
岡山大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、内分泌撹乱化学物質のin vivoでの毒性評価法として(1)遺伝的に雌雄で体色が異なる性的二色性メダカを用いて、形態及び体色変化をマーカーとした性転換に基づく内分泌撹乱化学物質のスクリーニング法と(2)雌特有の体内リン酸化蛋白質(ビテロゲニン)中の構成ホスホアミノ酸をバイオマーカーとする内分泌撹乱作用(エストロゲン様活性)の定量評価法を開発し、環境中の有害化学物質の毒性評価に応用することを目的とした。(1)では、緋色メダカが雄、白メダカが雌となる性的二色性メダカを用いて、孵化後の性分化が生じる時期にメダカを化学物質に曝露させ、形態学的雌雄(鰭の形状から判別)と遺伝的雌雄(色素斑点の有無から判別)を調べ、性転換魚の出現率を検討したが、稚魚が曝露中に死亡するケースが多く、明確な結論は得られなかった。(2)では、化学物質を含む水溶液中でメダカを一定期間飼育した後、5%トリクロロ酢酸を加えて蛋白質を沈殿回収した、得られた蛋白質を6N塩酸気相中で110℃、2時間加水分解した後、遊離したホスホアミノ酸は、水溶液中から簡単にN-イソプトキシカルボニルメチルエステル誘導体へ変換でき、FPD-GCにより選択的かつ高感度に分析できた。検出限界はGC注入量としてホスホセリン(P-Ser)50pg,ホスホスレオニン(P-Thr)40pgであった。雄の成熟メダカをβ-エストラジオール(E2)に曝露したところ、E2の入っていないコントロールに比べP-SerとP-Thrレベルが顕著に増加した、また、E2濃度(0.5〜10ppb)及び曝露日数(0〜10日)に依存してP-SerとP-Thrレベルは上昇したが、男性ホルモンのテストステロンによる曝露ではほとんどホスホアミノ酸レベルの上昇は認められなかった。さらに、合成エストロゲンであるEE2やDESでも著しいP-SerとP-Thrレベルの上昇が認められ、エストロゲン拮抗剤であるタモキシフェンの同時曝露によりこれらの上昇が抑制されたことから、蛋白質リン酸化レベルがエストロゲン様活性の指標になることが明らかとなった。この手法を用いて様々な環境化学物質の曝露によるエストロゲン様活性を調べたところ、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ビスフェノールA、ノニルフェノール、PCBでは、5日間の曝露でほとんどエストロゲン様活性は観察されなかったが、60日間の長期曝露によりエストロゲン様活性を検出できることがわかった、これらの結果は、メダカを環境水中に曝露、あるいは環境中に生息する卵生生物のホスホアミノ酸レベルを調べることにより、環境汚染や生態系への影響を把握できることを示しており、内分泌撹乱化学物質の新しい毒性評価法として有効な手法になるものと期待される。