著者
川崎 剛志 仁木 夏実
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

平安時代中期から鎌倉時代後期にかけて、山伏の修験から日本仏教の一道として修験道が成立する過程で、その正統性を支えるのに最も大きな役割を果たしたのが、史実とかけ離れた、現代の視点からすれば荒唐無稽とも映る、修験の起源と歴史を綴った縁起の類であった。本研究では、平安時代後期から鎌倉時代初期に現れたその主要な縁起『大峯縁起』『箕面寺縁起』『諸山縁起』『大菩提山等縁起』の成立と受容について精査し、その結果に基づいて、上記の偽史が修験道の正統性を創出し、さらに三国伝来の日本仏教の正統の系譜を更新した事実を解明する。
著者
江 向華
出版者
就実大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、多角化戦略を中心とした成長戦略の視点から、中国巨大製造企業の成長メカニズムの特殊性を現地企業へのインタビュー調査および資料調査を通じて究明してきたものである。これまでの企業成長戦略研究では、先進経済国と新興経済国(中国を含めて)を分けて議論されることが多かった。しかし、中国では創業当初から巨大規模で設置された社会主義大企業の存在があるため、中国における大企業が必ずしも成長過程を経ていないことに注目して、先進経済国、中国以外の新興経済国と中国を分けて分析した。
著者
飯田 智行 関 和俊 高木 祐介 家光 素行 西村 一樹 宮坂 雄悟
出版者
就実大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

暑熱環境における「スポーツ観戦者」の温熱的ストレス指標に及ぼす影響を検討した。その結果、次のことが明らかになった。①観戦者は熱中症に対する危険意識が低い、②口渇感に頼る水分摂取量では十分ではない、③お茶のみの飲水では体内電解質が不足する、④日常的に曝露されている気象・環境が暑熱環境での応答に影響を及ぼす、⑤女性と比較して男性は水分摂取量が少なく,脱水率が高い。以上のことから、暑熱環境下の観戦は,ほぼ安静状態であっても暑熱ストレスの影響を受け,熱中症発症の可能性が高いことが明らかになった。
著者
川崎 剛志 曽根 正人 佐藤 明浩 近本 謙介
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

まず行尊の伝記研究では、史実研究と偶像研究との双方を視野に入れて研究を進め、その成果として川崎が「行尊年譜(稿)」を作成した(『研究成果報告書』)。この年譜に基づいて考察すると、史実研究の面では、(1)行尊の宗教活動の中核には護持僧としての活動があり、熊野御幸先達の事績などもその枠組みの中で捉える必要があること、(2)行尊の験功の事例は天台宗寺門派の伝記よりもむしろ『真言伝』に多く記録されており、史実の解明にも有効であることが判明した。他方、偶像研究の面では、(3)天台宗寺門派においては長承三年(1134)園城寺金堂再興供養を最高潮とするかたちで行尊伝が構成されていることが判明し、以後の再興事業において行尊による再興が常に規範とされたことが推測される。上記については研究論文を準備している。次に行尊の詠歌研究では、佐藤がその表現を和歌史上に位置づけるべく試みた(『研究成果報告書』)。行尊の和歌表現は同時代のそれと共通するところが多く、特異な体験によって裏打ちされた特徴的な表現が微温的に現われている、というのが結論である。これらと並行して、行尊が活躍したのと同時期、院政期における他宗の山岳信仰にも目を配り、川崎が南都(興福寺及び真言律宗寺院)における葛木峯=金剛山信仰の展開を跡付けた。なお研究を進めるなかで、行尊の詠歌が、行尊の宗教活動、ひいては後代の天台宗寺門派による偶像化を支える重要な道具として機能したことも一層鮮明となったが、その論証は今後の課題とせざるをえなかった。
著者
渡辺 雅彦 若林 敬二
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

モンシロチョウに存在する分子量98,000の蛋白質、ピエリシン-1、は種々のがん細胞に対して細胞傷害活性を示す。そこで、in vivoにおけるピエリシン-1の抗腫瘍活性を調べる目的で、ピエリシン-1の実験動物に対する毒性の解析を行った後、移植がん細胞に対するピエリシン-1の抗腫瘍効果を調べた。ピエリシン-1を単回腹腔内投与した場合のBALB/cマウスに対するLD50値は約5μg/kg body weightであった。1x10^7個のHeLa細胞を6週齢BALB/c雌ヌードマウスの腹腔内に移植し、翌日、3μg/kg body weightのピエリシン-1を単回、腹腔内投与し、80日目にマウスを屠殺し解析した結果、ピエリシン-1非投与群では全例(10/10)に腫瘍が確認され、その平均重量は1.16gであった。一方、ピエリシン-1投与群では10例中3例に肉眼上腫瘍を認めなかった。また、1例では腹膜に2mmの小結節を認めたのみであった。ピエリシン-1投与群の平均腫瘍重量は0.56gであり、有意に低下していた。以上より、ピエリシン-1はHeLa細胞に対し、in vivoで抗腫瘍活性を示すことが分かった。続いて1,340頭のモンシロチョウさなぎからピエリシン-1の大量精製を行い、47.6mgの精製ピエリシンを得た。さらにピエリシン-1およびその酵素ドメインであるN末端断片の酵素的性質を解析したところ、C末端断片が存在すると、酵素活性が大きく低下する条件が認められた。N末端断片およびトリプシン活性化本酵素による転移反応のturnover numberは55および25、24時間反応における転移数は10^6レベルであり、単一分子によって細胞に致死レベルの付加体が生成し得ることを示した。
著者
片岡 洋行 齋藤 啓太
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ファイバー固相マイクロ抽出(SPME)法またはインチューブSPME法を用いて皮膚ガス及び皮膚滲出液中の揮発成分や唾液成分を非侵襲的かつ簡便迅速にサンプリング、抽出濃縮した後、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)法との連結により高感度分析する方法を開発した。ファイバーSPME/GC-MS法を用いて、揮発性アルデヒド類や含硫化合物などの体臭成分の分析法を確立し、喫煙や食品摂取の影響を解析した。また、インチューブSPME/GC-MS法を用いて、コルチゾールやテストステロンなどのストレス・疲労関連ホルモン類や8-イソプロスタン及び8-OHdGなどの酸化ストレス関連化合物の自動分析法を確立し、喫煙による酸化ストレスの影響を解析した。これらの方法は、口臭や体臭の診断、疾病診断への応用が期待される。
著者
岡崎 友子 堤 良一 金 善美 金水 敏
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

現代語の指示代名詞の研究については、これまで多くの成果が出ているが、フィラーや古代語の指示詞については未だ分からないことが多い。そこで本研究では、様々な分野の研究者が連携し、古代・現代語の指示詞の用法について調査・分析を行い、その用法を究明した。さらに研究期間中に収集・整理した古代語の指示詞の用例や、TV番組におけるフィラーについて、公開のためにデータベース化をおこない、指示詞用例集として刊行した。