著者
鈴木 伸一 嶋田 洋徳 三浦 正江 片柳 弘司 右馬埜 力也 坂野 雄二
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.22-29, 1997 (Released:2014-07-03)
参考文献数
16
被引用文献数
7

本研究の目的は、日常的に経験する心理的ストレス反応を測定することが可能であり、かつ簡便に用いることができる尺度を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。まず、新しい心理的ストレス反応尺度 (SRS-18) が作成された。調査対象は、3,841名 (高校生1,316名、大学生1,206名、一般成人1,329名) であった。因子分析の結果、3因子が抽出された。それぞれの因子は、「抑うつ・不安」、「不機嫌・怒り」、「無気力」と命名された。各因子の項目数は、それぞれ6項目であった。尺度の信頼性は、α係数、再検査法、折半法によって検討され、いずれも高い信頼性係数が得られた。次に、SRS-18の妥当性が検討された。内容的妥当性、および、高ストレス群と低ストレス群、健常群と臨床群における弁別的妥当性について検討され、いずれもSRS-18が高い妥当性を備えていることが示された。本研究の結果から、SRS-18は、高い信頼性と妥当性を備えた尺度であることが明らかにされた。最後に、ストレスマネジメントの観点から、臨床場面や日常場面におけるSRS-18の有用性が討議された。
著者
津田 彰 片柳 弘司
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-7, 1996 (Released:2014-07-03)
参考文献数
15

ストレス―コーピングの今日的なトランスアクショナル理論に従えば、心理生物学的ストレス反応は要請 (すなわち、ストレッサー) と心理社会的コーピング資源との不均衡によって発現すること、またこのトランスアクショナル (相互作用的) 過程には様々な要因 (たとえば、コントロールの機会、ストレッサーの持続性や予測性、怒りの表出と完了行動の終結可能性など) が関与していることが確認されている。本論文では、さまざまなコーピング方略が種々の心理生物学的ストレス反応パターン (たとえば、胃潰瘍の発生、脳内ノルアドレナリンと血黎コルチコステロンの放出増加、回避―逃避行動の障害) と相関すること、心理生物学的視点からすれば絶対的な有効なコーピング型は存在しないといった見解を支持する。問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピングに大別される心理生物学的ストレス反応の類別化を行うことで、いろいろな場面で適応を目指して行われるコーピング行動の同定に役立つと思われる。