- 著者
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犬竹 正明
安藤 晃
服部 邦彦
戸張 博之
際本 泰士
阪上 雅昭
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2004
近年、ビッグバンに代表される相対論的宇宙論の進展とともに、ブラックホールの存在が予言され観測研究が進められている。ブラックホールはホーキング輻射と呼ばれるプランク分布に従う輻射を放出しているという予言がホーキングによって示されている。この現象はブラシクホールに付随する「事象の地平線」における時空の引き延ばし効果に起因するもので、最も興味深い現象の一つであるが未だ実証もされていない。本研究は、磁気ラバールノズルを用いてプラズマ流を亜音速から超音速に加速し、その際に出現する"sonic point"近傍にて波動を励起しそのパワースペクトルを観測することによりホーキング輻射予言を実証する事を目的とした実験研究を行った。本年度は、発散収束型(ラバール型)磁気ノズル部において、プラズマ流中でのイオンマッハ数が1近傍になる"sonic point"が形成され、この近傍においてイオン音波の励起と伝搬に関する実験を行った。この近傍では衝撃波発生に伴うイオン温度の上昇現象が観測され、そのためにイオン音波のランダウ減衰がおこりスペクトル観測が困難であることが判明した。一方、イオン音波だけでなく、アルヴェン波を用いることで、アルヴェンマッハ数M_A=1の"sonic point"におけるアルヴェン波の伝搬についても実験を実施した。発散型磁気ノズル形状を用いることでアルヴェンマッハ数が1以上の超アルヴェン速プラズマ流を生成し、アルヴェン波励起と伝搬特性を観測した。これらの実験において、上下流への波動伝搬に対するプラズマ流のドップラー効果を利用することで、プラズマ流速の新しい計測法を見出した。