著者
狩野 葉子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.738-744, 2013 (Released:2014-03-10)
参考文献数
11

アレルギー的機序に基づいて発症する重症の薬疹としてStevens-Johnson syndrome(SJS),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)があげられる.SJS/TENは高熱,全身性の紅斑,皮膚粘膜移行部における粘膜病変を特徴とし,水疱,表皮剥離などの表皮の壊死性の傷害を認める疾患である.あらゆる薬剤で発症する可能性をもつが,抗菌薬,解熱鎮痛薬に起因することが多い.一方,DIHSは薬剤アレルギーと再活性化したヘルペスウイルスが複雑に絡み合って形成される症候群で,抗けいれん薬,高尿酸血症治療薬などのある特定の薬剤を長期間内服した後に発症する.発症早期に高熱,全身性の紅斑,肝障害,白血球数増加や好酸球増加などの血液学的異常が認められ,症状の再燃を繰り返して遷延する経過をとるのが特徴である.
著者
武岡 和仁 塩原 哲夫 中條 知孝 長島 正治 古川 徹 狩野 葉子 小林 勝 大場 進一郎 林 至 箕輪 悦子 田中 信 和田 啓子
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.323-334, 1982

昭和53年8月から昭和55年末までに当教室で経験した水疱症10例について検討した。1) 天疱瘡群 : 尋常性天疱瘡1例, 落葉状天疱瘡3例であった。落葉状天疱瘡のうち1例はherpetiform pemphigusであった。螢光抗体直接法で表皮細胞間にIgG沈着を3例, C_3沈着を2例に認めた。天疱瘡抗体価は全例とも皮疹と並行して変動し治療の指標として有用であった。死亡例が1例あった。2) 類天疱瘡 : bullous variety 4例, erythematous variety 1例であった。螢光抗体直接法で基底膜部へのIgG沈着を4例, C_3沈着を4例に認めた。抗基底膜部抗体は3例に認められ, いずれも皮疹と並行して変動した。死亡例が3例あった。いずれも高齢者で, 予後の上で年齢が重要な因子を占めることが示唆された。3) ジューリング疱疹状皮膚炎 : 臨床的に広範囲な浮腫性紅斑と水疱を認め, 螢光抗体直接法で基底膜部にIgAの線状沈着を認めた。血中自己抗体は認められなかった。臨床的に非定型的な症例と考えられた。