著者
塩原 哲夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.177-182, 2018-02-20 (Released:2018-02-20)
参考文献数
9

アトピー性皮膚炎(AD)は皮膚のバリア機能異常により生ずるとの仮説が一般的である.しかし角層水分量の多くは安静時に皮溝から排出される基礎発汗によりもたらされることを考えると,発汗障害はADにおける皮膚の乾燥の最大要因である可能性がある.本稿では,如何にADの病態は発汗障害に伴って進展していくかを,我々のデータを元に概説する.とくにADの治療を考える上で,外用剤の発汗に対する影響についての認識は必須である.
著者
塩原 哲夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.128, no.2, pp.177-182, 2018

<p>アトピー性皮膚炎(AD)は皮膚のバリア機能異常により生ずるとの仮説が一般的である.しかし角層水分量の多くは安静時に皮溝から排出される基礎発汗によりもたらされることを考えると,発汗障害はADにおける皮膚の乾燥の最大要因である可能性がある.本稿では,如何にADの病態は発汗障害に伴って進展していくかを,我々のデータを元に概説する.とくにADの治療を考える上で,外用剤の発汗に対する影響についての認識は必須である.</p>
著者
武岡 和仁 塩原 哲夫 中條 知孝 長島 正治 古川 徹 狩野 葉子 小林 勝 大場 進一郎 林 至 箕輪 悦子 田中 信 和田 啓子
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.323-334, 1982

昭和53年8月から昭和55年末までに当教室で経験した水疱症10例について検討した。1) 天疱瘡群 : 尋常性天疱瘡1例, 落葉状天疱瘡3例であった。落葉状天疱瘡のうち1例はherpetiform pemphigusであった。螢光抗体直接法で表皮細胞間にIgG沈着を3例, C_3沈着を2例に認めた。天疱瘡抗体価は全例とも皮疹と並行して変動し治療の指標として有用であった。死亡例が1例あった。2) 類天疱瘡 : bullous variety 4例, erythematous variety 1例であった。螢光抗体直接法で基底膜部へのIgG沈着を4例, C_3沈着を4例に認めた。抗基底膜部抗体は3例に認められ, いずれも皮疹と並行して変動した。死亡例が3例あった。いずれも高齢者で, 予後の上で年齢が重要な因子を占めることが示唆された。3) ジューリング疱疹状皮膚炎 : 臨床的に広範囲な浮腫性紅斑と水疱を認め, 螢光抗体直接法で基底膜部にIgAの線状沈着を認めた。血中自己抗体は認められなかった。臨床的に非定型的な症例と考えられた。
著者
塩原 哲夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, 1978

マウスにおけるトリュトロベソゼソスルフォン酸ソーダ(TNBS)の経静脈前投与によるトリニトロクロロベソゼン(TNCB)接触過敏症及び,抗トリニトロフェニル(TNP)抗体産生に対する免疫寛容に関し in vivo及び in vitro の実験で検討を加え,以下の結果を得た. 1. TNBS投与により TNCB接触過敏症だけでなく,抗 TNP 抗体産生にも免疫寛容が導入される事がみいだされた.抗TNP抗体産生の免疫寛容は,その導入には感作1週間前の TNBS 投与が最も効果的であり,接触過敏症の免疫寛容の場合と比べ,完全な寛容導入に比較的多量のTNBSを要し,また寛容状態からの回復も比較的早い事が示された. 2. TNBS 投与マウス牌細胞を in vitro において,抗原(ハプテソーキャリヤー)と carrier primed helperT cell とともに培養したところ,正常牌細胞に比べ,抗 TNP 抗体産生が著明に抑制された.この抑制はハプテン(TNP)に特異的であり,しかも抑制にはT細胞の関与はなく,正常勝細胞の抗ハプテソ抗体産生をactiveに抑制するようなサプレッサー細胞の存在も否定され,B 細胞レベルの receptor blockade による免疫寛容であることが示唆された.3.接触過敏症の in vitro の assay 法としていわゆる antigen-induced activationを用いて検討した結果,TNBS 投与により免疫寛容を導入後感作したマウスの勝細胞やリンパ節細胞では antigen・induced activation が抑制されており, in vivo の結果と相関する結果を得た.4.感作マウス吽細胞集団からマクロファージ(Mφ)を除くと,有意のantigen-induced activation は見られなくなったが,それに TNBS 投与マウスMφを加えた場合でも,元の細胞集団と同様の activation を示すように回復し,この点においてはトレラントマウスMφと正常マウスMφとの差は認められなかった.
著者
早川 順 塩原 哲夫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.110, no.7, pp.1115, 2000 (Released:2014-08-19)

アトピー性皮膚炎患者における発汗障害を明らかにするために,アトピー性皮膚炎患者20名[男性12名,女性8名,平均26.0歳]と健常人20名[男性10名,女性10名,平均25.2歳]について入浴負荷後の発汗量を前額,頸部,肘窩,背部の4ヵ所について局所発汗量連続記録装置(Kenz Perspiro OSS-100)を用いて測定した.結果:アトピー性皮膚炎患者群では健常人群と比較していずれの部位においても発汗の低下が認められ,皮疹の程度の強い前額部において健常人群0.36±0.04mg/cm2/minに対してアトピー性皮膚炎患者群0.21±0.02mg/cm2/minと有意に低下(p<0.05)していた.また,患者群内の皮疹部と無疹部の比較では,無疹部でより発汗が少ない傾向が認められた.以上より,アトピー性皮膚炎患者では,温熱負荷に対する発汗能が低下しており,それによる熱放散の障害が皮疹の悪化因子となっている可能性が示唆された.さらに,患者群内で皮疹部より無疹部で発汗の低下が認められたことは,発汗低下が単に皮疹に関連した炎症の結果としての現象ではなく,神経支配の異常などに基づくものである可能性が示唆された.