著者
玉川 達雄
出版者
愛知学院大学
雑誌
愛知学院大学論叢. 心身科学部紀要 (ISSN:18805655)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.77-85, 2007-03-31

毎年,夏になると熱中症により全国で200-300人の方が命を落とされる.犠牲者は10代から80代まで全年齢層にわたる.成人以降は炎天下や暑熱環境での労働によるものが多いが,若い世代はスポーツによるものが多い.本学は課外活動が大変盛んであり,特に運動部は優秀な成績をあげるクラブが多く,練習熱心なあまり熱中症の発生も少なくない.2003年には本学運動部の合宿中に熱中症による犠牲者がでた.前年には熱中症に注意するように保健センターから全運動部に熱中症対策の資料を送付したばかりであった.それから学生課と保健センターが協力して熱中症との戦いが始まった.2004年から毎年夏季休暇前に熱中症予防対策講習会を開き,熱中症発生の減少を評価して講演会の対象と内容を変えてきた.今後さらに強力な熱中症対策が必要である.
著者
近藤 泰人 玉川 達 園田 大 松井 啓夫 塩見 和 佐藤 之俊
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.12-20, 2019-01-15 (Released:2019-01-15)
参考文献数
26

抗リン脂質抗体症候群(APS)は,動静脈血栓症を伴う自己免疫疾患である.APS合併肺癌は稀で,その意義は明らかでない.【症例1】75歳女性.検診で血小板低値を認め,精査でAPSと診断された.胸部CTで右下葉に103 mm大の腫瘤影と#7リンパ節腫大を認めた.精査で扁平上皮癌(SCC)と診断され,右下葉切除術を行った.入院時に血小板低値を認めた.術前,術中に血小板輸血を行い,合併症なく退院した.【症例2】66歳男性.副甲状腺腺腫精査のMIBGシンチグラフィーで左S6に31 mm大の腫瘤影を認めた.精査でSCCと診断され,左下葉切除術を行った.入院時に血小板低値と凝固時間延長を認めた.既往歴にAPSと心房細動があり,バイアスピリンとワルファリンを内服していた.術前に同薬剤を休薬し,未分画ヘパリンを投与し,合併症なく退院した.APS合併肺癌の外科的治療には慎重な周術期管理を要すると考える.