著者
玉本 光弘 名原 行徳 矢谷 博文 小谷 博夫 浜田 泰三
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.1018-1022, 1984
被引用文献数
3

義歯性口内炎の原因の1つとして, デンチャー プラーク中の真菌が重要な役割を演じていると考えられている. したがって, 真菌を含んだプラークを除去する目的で, 義歯洗浄剤を使用することは, 義歯性口内炎の予防および治療にとって有効な手段と考えられる. しかし, 従来の義歯洗浄剤の洗浄効果の研究は, 肉眼的な義歯の汚れ除去効果のみに主眼を置いたものであった. そこで, 本研究では, 義歯性口内炎の治療および予防に主眼を置いた義歯洗浄剤の洗浄効果の評価のため, 従来の肉眼的な評価法と, 新たに義歯性口内炎の原因菌と考えられている真菌を検出する簡易培地であるストマスタットを用いた評価法の有効性を検討した.
著者
山田 賢治 貞森 紳丞 玉本 光弘 濱田 泰三
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.342-348, 2003

本調査は, 歯科が併設した介護老人保健施設 “記念寿” において入所者の口腔内実態調査と介護職員の口腔内に対する意識調査を行い, 介護老人保健施設に併設された歯科の役割について検討した。調査は平成12年4月から平成14年3月までの2年間における本施設入所者167名を対象とし, 口腔状態, 口腔ADLを記録した。さらに, 介護職員28名に対し口腔内に関する意識調査を行い, 以下の結果を得た。1.平均年齢は82.7±7.3歳, 73.1%が女性で, 平均介護度は2.5であった。2.平均残存歯数は6.0±8.1本であった。Eichnerの分類では, A群7.8%, B群18.0%, C群74.3%であった。Eichnerの分類と口腔ADLの咀嚼可能食品スコアを比較すると, 咬合支持状態と咀嚼可能食品には密接な関係があった。3.要介護度と口腔ADLとの間には相関があった (p<0.01) 。4.介護職員に対する意識調査の結果から, 口腔ケアや義歯の使用に関して職員間に認識の差を認めた。以上本調査の結果, 口腔状態と全身健康状態に関連性が示唆され, 要介護高齢者に対する在宅復帰支援の一環として, 歯科が口腔状態を把握し, 口腔ケアに関して介護職員を教育することは復帰支援の・助となると考えられた。