著者
大森 達矢 樽井 武彦 守永 広征 松田 岳人 八木橋 厳 山田 賢治 松田 剛明 山口 芳裕
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.703-707, 2015-12-28 (Released:2015-12-28)
参考文献数
18

背景:ガイドライン2010(以下,G2010と略す)施行以降,胸骨圧迫の重要性が強調されており,強い胸骨圧迫による合併症の増加や,治療成績に与える影響も懸念される。方法:平成24年に当施設に搬送された院外心停止患者のうち外傷例を除く210例を対象とし,G2010による東京消防庁救急活動基準変更の前後(105例ずつ)で,胸骨圧迫の合併症,自己心拍再開率を比較した。結果:肋骨骨折は105例(50%),気胸は26例(13%)で,救急活動基準変更の前後で有意差はなく,心拍再開率にも差はなかった(前後期とも19%)。合併症は75歳以上で有意に多く発生したが,心拍再開率には影響がなかった。また,気胸が発症した症例では心拍再開率が12%と低い傾向があった。結論:ガイドラインの変更に伴い合併症の増加が心配されたが,本研究はそれを否定するものであった。治療成績向上のためには,効果的かつ合併症を最小限に抑えるような胸骨圧迫が重要である。
著者
山田 賢治 松山 康成
雑誌
日本教育心理学会第62回総会
巻号頁・発行日
2020-09-16

近年,児童生徒の問題行動に対して学校規模ポジティブ行動支援(School-Wide Positive Behavior Support; 以下,SWPBS)が取り組まれつつある(庭山, 2020; Sugai & Horner, 2006)。日本においても小中学校や高等学校において実践が取り組まれているが,SWPBSが学校適応に及ぼす効果については,小学校では明らかにされつつあるものの,中学校では未だ効果が検証された例は見られない。そこで本研究では,公立中学校の1〜3年生の通常学級に在籍する生徒(計9学級,275名)と教職員を対象に中学校でのSWPBSに取り組み,学校適応 (Q-U) に及ぼす影響を検討した。実践は,具体的には1学期にあいさつ運動(全校生徒対象),2学期に,教師の言語称賛増加を目的とした研究授業(3年生対象)と,生徒の言語称賛増加を目的とした研究授業(1年生対象)を実施した。その結果,学校適応(Q-U)における友人との関係および学習意欲,教師との関係,配慮スキル,学級との関係,かかわりスキルにおいて有意な差が認められた。
著者
田中 英城 加地 良雄 山田 賢治
出版者
香川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

種々の動物の手足の形成過程では、まず四肢の形成予定域に突起(肢芽)が形成され、肢芽の基部が細胞死によってくびれが生じ、手関節に相当する部ができる。さらに、発生が進むと手足の形成予定域には指の原器が形成され、グローブ状の形となる。その後、各指間の間充織がアポトーシスによる細胞死に陥り、指間間充織が除去され、各指が分離する。両生類では指間間充織に細胞死が起こらないために水かきを持つ手足が形成されるが、鳥類やほ乳類などでは指間間充織に細胞死が起こるため、水かきを持たない手足が形成される。鶏胚肢芽では7日鶏胚で指間間充織に細胞死が出現し、1日以内にほとんどの指間間充織が死んでしまう。そして、この部における細胞死への運命は61/3日から62/3日鶏胚で決定されると考えられているが、細胞死を誘導するメカニズムは明らかにされていない。一方、人の手の先天奇形は合指症や多指症など表現形が様々である。そのうち合指症は指間部の間充織が連続しており、外科手術を必要とする。その原因はいまだはっきりと解明されていないが、発生の段階でアボトーシスが正常に起こっていない可能性が考えられる。最近、BMP-2、BMP-4が指間間充織のアポトーシスのシグナルとなっている可能性が報告されている。本研究では、手の先天奇形の一つである合指症の原因を解明する目的で、鶏胚肢芽組織の細胞の分化とアポトーシスにおよぼすBMP-2の作用を解析する計画をすすめてきた。しかし、技術的な諸問題をクリアできず、研究目的を果たすことができなかった。
著者
山田 賢治 羽鳥 雄介 萩原 秀磨 溝谷 圭悟 高須 雅義 山崎 信行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. SLDM, [システムLSI設計技術] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.31, pp.1-6, 2015-02-27

近年の組込みリアルタイムシステムでは高い演算能力だけでなく,低消費電力が求められる.これらの要求を満たすために設計されたリアルタイム処理用プロセッサとして Responsive Multithreaded Processor (RMT Processor) がある.RMT Processor は Simultaneous Multithreaded プロセッサであるためスループットが高く,スレッドの資源利用に対する優先度設定や Instructions Per Clock cycle (IPC) 制御機構といったリアルタイム処理をサポートする機能を持つ.また,System in Package に集積されたデバイスにより Real-Time Static Voltage and Frequency Scaling (RT-SVFS) を実現しており,消費電力削減の要求を満たすことができる.しかし RMT Processor では負荷が偏ると高負荷の論理プロセッサがボトルネックになり,効率的に RT-SVFS を行うことができない.そこで本研究では RT-SVFS による消費電力削減の効果をより引き出すために,IPC 制御を用いて可能な限り均一な負荷分散を行う手法を提案する.評価の結果,既存手法と比べて提案手法がより多くの消費電力を削減可能であることを示した.
著者
山田 賢治 貞森 紳丞 玉本 光弘 濱田 泰三
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.342-348, 2003

本調査は, 歯科が併設した介護老人保健施設 “記念寿” において入所者の口腔内実態調査と介護職員の口腔内に対する意識調査を行い, 介護老人保健施設に併設された歯科の役割について検討した。調査は平成12年4月から平成14年3月までの2年間における本施設入所者167名を対象とし, 口腔状態, 口腔ADLを記録した。さらに, 介護職員28名に対し口腔内に関する意識調査を行い, 以下の結果を得た。1.平均年齢は82.7±7.3歳, 73.1%が女性で, 平均介護度は2.5であった。2.平均残存歯数は6.0±8.1本であった。Eichnerの分類では, A群7.8%, B群18.0%, C群74.3%であった。Eichnerの分類と口腔ADLの咀嚼可能食品スコアを比較すると, 咬合支持状態と咀嚼可能食品には密接な関係があった。3.要介護度と口腔ADLとの間には相関があった (p<0.01) 。4.介護職員に対する意識調査の結果から, 口腔ケアや義歯の使用に関して職員間に認識の差を認めた。以上本調査の結果, 口腔状態と全身健康状態に関連性が示唆され, 要介護高齢者に対する在宅復帰支援の一環として, 歯科が口腔状態を把握し, 口腔ケアに関して介護職員を教育することは復帰支援の・助となると考えられた。