著者
王 健 久保 光徳
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.4_1-4_10, 2021-03-31 (Released:2021-03-30)
参考文献数
20

本研究は,歴史的な彫刻形態からその造形傾向である「作風」を解明し,先人たちが生み出した造形に関するアイデアの言語化を試みると同時に,現代の造形教育,地域資源としての活用に資することを最終的な目標としている。 本報告では,江戸時代後期に千葉県を中心に活躍した彫物大工である武志伊八と後藤義光による代表的な社寺彫刻とされる「波」と「龍」の彫り物の特徴的な形態に注目し,3D 形状スキャンニングから得られるポリゴンモデルに対する形態分析を実施し,形態構成要素への分解を試みた。伊八の「波」の特徴は,層状に立体構成された「ラミネート層」的な造形傾向を示し,義光の「龍」は,骨格をイメージさせる「連続する球体」で構成される造形傾向を示していることを確認した。 形態構成要素によって「波」と「龍」の両形態を再構成し,彫物大工の作風を可視化するモデルの制作を試み,企画展で展示した。そのモデルによって両者の作風の相違が,鑑賞者に分かりやすく伝達されることの可能性を示唆することができた。
著者
王 健 田中 辰明
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.78, pp.9-13, 2000-07-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
7

中国民家は室内環境を良好に維持するために、中庭が通風、採光、避暑の重要な手段・方法として使用された。この研究は中庭と気候との関係を考察することで、その結果気候が中庭の形態を与える重要な要素であることが分かった。自然エネルギー利用が重要な意味を持つ現在、建築の工夫も地域性を配慮する必要があり、民家の自然エネルギー利用の技術に学ぶことは省エネルギー建築の設計に際し大切である。
著者
王 健
出版者
専門日本語教育学会
雑誌
専門日本語教育研究 (ISSN:13451995)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.27-34, 2018-12-31 (Released:2020-09-08)
参考文献数
10

本研究は中国での観光業インターンシップにおける学生の案内文作成に焦点を当て、観光日本語教育における案内文作成教育の改善点を検討することを目的とする。具体的には、学生が実際に作成した案内文と、学生・メンター・教師の三者へのインタビュー調査を行った。その結果、学生は案内文の内容と語彙に関する課題を抱えていたため、情報の追加、言い換えと削除の方法を用いて独自に対応していた。メンターは、案内文の丸暗記を禁止し、観光客の視点に立った案内文作成、内省の促進などで支援していた。教師は、教科書の案内文の暗記が重要でそれ以外の指導は現実的に難しいという考えを示した。以上から、観光日本語教育では、案内文作成に対する教育の再考、教育・支援でのメンターと教師の協力、および、インターンシップに関する教師の役割の再検討、の3点が必要であることが分かった。