著者
生方 瞳 霍 明 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.101-104, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2

〔目的〕腰痛の有無および疼痛側と非疼痛側を比較し,腰痛と多裂筋の筋硬度の関係を調査することを目的とした.〔対象〕健常成人(以下,健常群)6名と一側に慢性腰痛を持つ者(以下,腰痛群)11名とした.〔方法〕L5棘突起より2.5 cm側方の多裂筋を筋硬度計にて測定した.〔結果〕健常群に比べ,腰痛群の筋硬度は疼痛側,非疼痛側共に有意に低値であった.腰痛群では非疼痛側に比べ,疼痛側の筋硬度は有意に高値を示した.〔結語〕疼痛側の多裂筋は筋スパズムを発生させ疼痛が生じ筋力低下と筋萎縮を呈しており,非疼痛側の多裂筋は代償的に弛緩しているため,疼痛側だけでなく非疼痛側へもアプローチする必要があることが示唆された.
著者
生方 瞳 丸山 仁司 霍 明 黄 秋晨
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.301-305, 2014-08-20 (Released:2017-06-27)
被引用文献数
3

【目的】本研究は,超音波画像診断装置を用いて健常成人の多裂筋横断面積を測定し,男女差に影響を及ぼす因子をあきらかにし,多裂筋横断面積の男女差を補正する方法を検証することを目的とした。【方法】対象は腰痛の既往のない健常若年者63名(男性30名,女性33名)とし,超音波画像診断装置を用い腰部多裂筋横断面積を測定した。【結果】多裂筋横断面積は,男性が女性より有意に高い値を示した。しかし,多裂筋横断面積を身長および体重で除した値では,男女間に有意差は認められなかった。横断面積は身長および体重,BMIと有意な相関を示し,重回帰分析(ステップワイズ法)では,体重のみが採択された。【結論】体格に依存しない多裂筋横断面積を求めるためには,体重で除する必要があることが示唆された。さらに,多裂筋横断面積体重比は,男女差の影響が少ない筋横断面積の指標として有用であることが示唆された。
著者
生方 瞳 丸山仁司 霍 明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.348-356, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】本研究は,中高年女性における腹圧性尿失禁とインナーユニットの関係について検討した。さらに,動作課題の妥当性について,骨盤底拳上量による腹圧性尿失禁検出度を比較した。【対象と方法】中高年女性101 名を対象とした。質問紙表にて尿失禁群と非尿失禁群に群分けした。握力,CS-30 テストに加え超音波画像診断装置を用いて腹横筋厚,多裂筋横断面積,骨盤底拳上量を測定した。【結果】尿失禁群はすべての筋で,同時収縮および抵抗運動で非尿失禁に比べ有意に低値を示した。尿失禁を従属変数としたロジスティック回帰分析で選択された因子は,抵抗運動時の骨盤底挙上量であった。【考察】インナーユニットは協同運動しており,特に抵抗運動時の骨盤底挙上量の低下は腹圧性尿失禁のリスクファクターであることが示唆された。さらに,抵抗運動時の骨盤底挙上量が4.88 mm 以下である場合は腹圧性尿失禁の可能性が著しく高いことが示唆された。