著者
牛 志馨 霍 明 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.557-560, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
9
被引用文献数
3

〔目的〕本研究は膝関節運動における足関節の角度の変化への影響について検討した。〔対象と方法〕対象は健常男性30名(20.6±2.4歳)とし,等速性筋力訓練機器を使用して膝屈伸運動時足関節の角度を4条件(背屈位,底屈位,背屈から底屈,底屈から背屈)として角速度60°/secで屈曲,伸展の最大筋トルク,最大筋トルク/体重比を測定した。〔結果〕4条件の中で,膝関節最大筋トルク/体重,最大筋トルク,最大筋出力は足関節が常に背屈位の時に他の肢位よりも有意に高値を認めた。〔結語〕膝関節のトレーニングの際に,足関節を背屈位にして行えば,膝屈伸筋力をより発揮し易いことが示唆された。
著者
生方 瞳 霍 明 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.101-104, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2

〔目的〕腰痛の有無および疼痛側と非疼痛側を比較し,腰痛と多裂筋の筋硬度の関係を調査することを目的とした.〔対象〕健常成人(以下,健常群)6名と一側に慢性腰痛を持つ者(以下,腰痛群)11名とした.〔方法〕L5棘突起より2.5 cm側方の多裂筋を筋硬度計にて測定した.〔結果〕健常群に比べ,腰痛群の筋硬度は疼痛側,非疼痛側共に有意に低値であった.腰痛群では非疼痛側に比べ,疼痛側の筋硬度は有意に高値を示した.〔結語〕疼痛側の多裂筋は筋スパズムを発生させ疼痛が生じ筋力低下と筋萎縮を呈しており,非疼痛側の多裂筋は代償的に弛緩しているため,疼痛側だけでなく非疼痛側へもアプローチする必要があることが示唆された.
著者
花里 陽子 秋山 純和 霍 明 胡 春英 霍 紅 常 冬梅 劉 建華
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.423-427, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
17

〔目的〕中国における脳血管疾患患者家族の介護不安の内容を把握し,ADLと介護不安の関連を明らかにした.〔対象〕中国におけるリハビリテーションセンターに入院中の脳血管疾患患者の家族45名とした.〔方法〕質問紙によるアンケート調査を行った.調査項目は家族の基本属性,退院後の介護の状況,患者の背景,ADL状況とした.ADLと介護不安の有無との関連性をχ2検定により解析した.〔結果〕トイレ移乗,浴室移乗の介助と家族の介護不安の有無に有意な関連が認められた.〔結語〕移乗動作の介助が家族の介護不安につながっている可能性が示唆された.
著者
生方 瞳 丸山 仁司 霍 明 黄 秋晨
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.301-305, 2014-08-20 (Released:2017-06-27)
被引用文献数
3

【目的】本研究は,超音波画像診断装置を用いて健常成人の多裂筋横断面積を測定し,男女差に影響を及ぼす因子をあきらかにし,多裂筋横断面積の男女差を補正する方法を検証することを目的とした。【方法】対象は腰痛の既往のない健常若年者63名(男性30名,女性33名)とし,超音波画像診断装置を用い腰部多裂筋横断面積を測定した。【結果】多裂筋横断面積は,男性が女性より有意に高い値を示した。しかし,多裂筋横断面積を身長および体重で除した値では,男女間に有意差は認められなかった。横断面積は身長および体重,BMIと有意な相関を示し,重回帰分析(ステップワイズ法)では,体重のみが採択された。【結論】体格に依存しない多裂筋横断面積を求めるためには,体重で除する必要があることが示唆された。さらに,多裂筋横断面積体重比は,男女差の影響が少ない筋横断面積の指標として有用であることが示唆された。
著者
生方 瞳 丸山仁司 霍 明
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.348-356, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】本研究は,中高年女性における腹圧性尿失禁とインナーユニットの関係について検討した。さらに,動作課題の妥当性について,骨盤底拳上量による腹圧性尿失禁検出度を比較した。【対象と方法】中高年女性101 名を対象とした。質問紙表にて尿失禁群と非尿失禁群に群分けした。握力,CS-30 テストに加え超音波画像診断装置を用いて腹横筋厚,多裂筋横断面積,骨盤底拳上量を測定した。【結果】尿失禁群はすべての筋で,同時収縮および抵抗運動で非尿失禁に比べ有意に低値を示した。尿失禁を従属変数としたロジスティック回帰分析で選択された因子は,抵抗運動時の骨盤底挙上量であった。【考察】インナーユニットは協同運動しており,特に抵抗運動時の骨盤底挙上量の低下は腹圧性尿失禁のリスクファクターであることが示唆された。さらに,抵抗運動時の骨盤底挙上量が4.88 mm 以下である場合は腹圧性尿失禁の可能性が著しく高いことが示唆された。
著者
岸田 あゆみ 霍 明 丸山 仁司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P2065, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】 日常生活動作は、二つ以上の動作を同時に遂行している場面が多くある.心理学領域では、同時に複数の動作を行う場合、人間の注意需要には限界があり、それぞれの動作に対して必要な注意の容量が配分されると考えられている.必要な注意の容量は、動作の習熟度や複雑性、個人の動作レベルにより異なる.これを評価する指標として反応時間がある.ある連続した活動(主課題)遂行中に、単純反応時間課題(第二課題)をそこに加えた時の第二課題に対する反応時間のことをプローブ反応時間(Probe Reaction Time, P-RT)といい、歩行中のP-RTは歩行安定性の評価に有用であると報告されている.これら反応時間測定の多くは、10回の平均値を用いて検討しているものが多い.しかし、動作と与えられる刺激のタイミングには関連性があると考えられ、10回という回数を採用する客観的な理由は明らかではない.そこで、速さの規定が容易で比較的自動化されやすいといわれる手タッピングを主課題としたP-RTを測定し、その測定回数の絶対信頼性について検討した.【方法】 対象は、健常成人14名(男性11名、女性3名)で、平均年齢は19.9±2.1歳であった.測定は、椅子座位にて安静座位時、1・2・3・4・5Hzの速さに合わせたタッピング施行時について行った.タッピングは非利き手とし、各速さの施行順序はくじにてランダムに決定した.被検者の課題は「ようい」の後の電子音(音刺激)に対して、できるだけ早く「Pa」と発声することとした.タッピングによる疲労を考慮し、各速さの測定終了後に休憩を入れ、各速さにつき10回測定した.反応時間測定機器は,刺激装置はPCでサウンド処理ソフトを用いて音刺激信号を作成し,デジタルオーディオプレーヤ(Rio製)にデータを転送し携帯式スピーカに接続した.集音装置はデジタルIDレコーダを使用した.データをPCに取り込み,DIGIONSOUND5サウンド処理ソフトで分析を行った.得られたデータは、速さごとに測定回数までの平均値を算出し、10回の平均値と比較した.10回の平均値を基準にして、それに対する測定回数までの平均値の信頼性についてBland-Altman分析を用いて検討した.なお研究に際し、被験者に研究の目的について十分説明し、参加の同意を得た.【結果】 1Hzでのタッピング以外は、7回目までの平均値で系統誤差が消失した.1Hzでは9回目までの平均値において系統誤差を有していた.【考察】 反応時間の測定において高い信頼性のある結果を得るためには、少なくとも10回は測定値を得る必要があると考えられる.ただし、1Hzの測定結果からは10回の測定でも信頼性の高い結果とはいえない可能性が示唆された.