著者
生田 拓也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.688-691, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
11
被引用文献数
1

有痛性二分膝蓋骨に対してcannulated screwを用いたtension band wiringによる骨接合術を行い良好な結果を得ているので報告した.症例は6例である.X線学的分類では全例Saupe分類III型であった.性別は男性5例,女性1例で年齢は12~44歳,平均22.7歳であった.全例,分裂部を掻爬新鮮化した上で内固定を行った.術後はknee braceにて固定し,免荷することなくできるだけ手術翌日より可動域訓練を行った.術後4週頃よりスポーツを許可した.全例,術後経過は良好で疼痛は順調に軽快した.本疾患に対する骨接合術の報告においては良好な結果を得ている報告もあるが,内固定材のゆるみを生じ再手術を要したとの報告もある.本法は固定力が強く早期よりのリハビリテーションを許可しても良好な結果が得られており有用な方法であると考えられた.
著者
生田 拓也 野口 和洋 工藤 悠貴 阿部 徹太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.140-142, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
12

大腿四頭筋皮下断裂は比較的稀な外傷である.その症例2例を経験したので報告した.症例1は50歳男性で,トラックとプラットホームの間に挟まれて受傷した.症例2は57歳男性で,ジョギング中に段差に躓き受傷した.いずれも膝蓋腱上部の陥凹を認め,MRIにて確診した.合併損傷はなく,手術にて膝蓋腱をpull out法にて修復した.術後は3週間シリンダーキャスト固定の後,可動域訓練を開始した.2例とも膝関節屈曲可動域の獲得に時間を要したが術後3ヶ月時にはほぼ正座も可能となった.最終観察時,伸展筋力の低下はなくADLに支障はない.本症例はまれな外傷であるが,治療に関しては修復術が基本であると思われる.術後療法は遅らさざるを得なかったが結果は良好であった.
著者
田籠 泰明 生田 拓也 阿南 敦子 西野 剛史 束野 寛人 笠 智就
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.32-36, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

足関節脱臼骨折は多くの場合容易に徒手整復可能である.Bosworthは1947年に腓骨が脛骨後面に転位固定される整復困難な足関節脱臼骨折を報告した.我々は2004年にBosworth型足関節脱臼骨折の1症例を報告し,その後さらに2症例を経験した.3症例とも無麻酔下に徒手整復を試みたが整復困難であり,観血的整復術を行った.足関節脱臼骨折において整復困難な症例では本脱臼骨折を念頭に置き,CT撮影で病態を把握し,準緊急的に整復術を行うことが必要であると考える.
著者
山鹿 眞紀夫 高木 克公 森沢 佳三 井手 淳二 生田 拓也 北川 敏夫 鬼木 泰博 山隈 維昭
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.129-133, 1988-08-10 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6

Neurovascular compression in the thoracic outlet produces great variation of signs and symptoms. The clinical picture is often complex, being made up of the derangement of blood vessels, somatic nerves and autonomic nervous networks in varying degrees. Thirty-eight of the 150 patients (25%) treated in our clinic because of possible thoracic outlet syndrome (TOS), complained of general malaise such as headache, dizziness, sleeplessness, nausea, anorexia or general fatigue, in addition to their peculiar signs and symptoms due to brachial plexus involvement.In order to find out whether or not autonomic nerve dysfunction can be demonstrated in patients with TOS, a non-invasive and quantitative technique was developed for assessing the mean (M) and coefficient of variations (CV) of R-R intervals in ECG at resting position. Thirty patients (13-39; mean 29.5 y/o) were put into two groups of 15 patient s each. In the first group patients with autonomic nerve disorder had complaints of general discomfort, M was 803.72 ± 106.9 msec and CV was 3.214±0.717%. In the second group, those without general discomfort, M was 972.21 ± 120.64 msec and CV was 5.926±0.720%. The first group had a significantly shorter M (P < 0.001) and smaller CV (P < 0.001) compared to the second group. Furthermore, in two cases in the first group diagnosed by psychologists as having schizophrenia and anxiety neurosis, it was found that their M and CV were the nearly same as those in the second group.Decompressive ope r a tions were performed on five patients in the first group. Their complaints decreased or vanished after the operation and the M and CV progressed to near the normal rate.From these results, we belive that this method in useful in differentiating between autonomic nervous disorders and psychological disorders; and that in patients with TOS, a decompressive operation can help eliminate complaints of general discomfort due to autonomic nervous disorders.
著者
生田 拓也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.284-286, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
8

THA術後MRSA感染症に対して局所高濃度抗菌薬投与を行いインプラントを温存し感染を沈静化できた1例を経験したので報告した.症例は86歳,女性,当院で左THAを行い順調に経過し外来にて経過観察を行っていたが,術後2ヶ月時に尻餅をついてから左臀部痛が出現してきた.術後3ヶ月の再来時に創部より排膿があり,術後感染と診断した.起因菌はMRSAであった.関節切開掻爬を行い,術後はGM 240 mg/dayにて持続洗浄を行った.術後3週でGM 120 mg/dayとし,術後4週まで持続洗浄を継続した.術後3週でCRPは陰性化(0.3 mg/dl以下)し,術後6ヶ月時再発を認めていない.人工関節術後感染においてはbiofilmが形成されていることが想定され,抗生剤はMIC(minimum inhibitory concentration)よりMBEC(minimum biofilm eradication concentration)を基準として投与量を決める必要がある.本法はMBECを維持できる投与を行うことが可能であり有用であった.
著者
生田 拓也 坂口 満
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.681-683, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
3
被引用文献数
1

脛骨の変形治癒骨折に対して一期的に矯正骨切り術を施行後,locking plateを用いて内固定を行い良好な結果を得たので報告した.症例は58歳,男性.18歳時に交通事故で右脛腓骨骨折を受傷し,保存的治療を受けた.X線所見にて右膝の内側型変形性関節症を認め,脛骨上中1/3の部位にて約21°の内反変形を認めた.手術はまず腓骨を切骨し脛骨変形中心部にて骨切り,open wedgeにて矯正を行いlocking plateにて内固定を行った.術後6ケ月の現在,骨癒合良好で右膝痛も軽快しておりADLに支障はなく,正座も可能である.変形治癒骨折の矯正骨切術の方法としては従来のプレートによる方法では矯正位の獲得は容易であるがプレートのbendingを細かく行わないとスクリューで骨皮質をプレートに引き寄せる際に矯正位を失う可能性がある.locking plateにて内固定は矯正位の保持が容易であり有用であった.
著者
生田 拓也 喜多村 泰輔 田北 親寛
雑誌
骨折 (ISSN:02872285)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.415-419, 1999-05-01
被引用文献数
9