- 著者
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田村 昌大
廣瀬 伸良
中村 充
齊藤 仁
山内 直人
田中 力
鈴木 桂治
菅波 盛雄
- 出版者
- 日本武道学会
- 雑誌
- 武道学研究
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.2, pp.143-149, 2012
本研究では、2009年1月に改正されたIJF試合審判規定が柔道競技に及ぼした影響を分析・検証を行なった。その上で、試合審判規定改正の世界柔道の戦術内容に関する最新の動向を探ることを目的とした。<BR>研究方法は、収録された映像を基に2008年フランス国際柔道大会及び2009年グランドスラム・パリ国際柔道大会の競技内容を比較した。試合数は両年合わせて476試合であった。競技分析を行う上で、項目を作成した。作成した項目については、「競技分析シート2009」に競技内容を入力するものとした。<BR>組み手については、釣り手・引き手ともに持った状態で施技を行う「充分」が0.1%水準で有意な増加が認められた。また、「ズボンを直接握る」ことへの反則適用から、施技者及び相手も施技時に「脚」を持つという戦術は有意な減少が認められた。さらに、施技する際の姿勢も前傾姿勢状態からの施技は5%水準で有意な減少が認められた。<BR>ポイント取得の技術内容や組み手戦術において改正前と比較した結果では、「脚」を持つ戦術に依存しないことで「襟」「袖」を持った状態で施技可能な技術に移行するという望ましい傾向となった。<BR>今回の改正によって懸案事項となっていた点が改善される傾向にあり、IJF試合審判規定改正が影響のあるものであったと考えられたが、「肩車」にみられるような「脚」を持つ技に対する依存は未だ存在している。そのため、2010年にさらなる試合審判規定の改正につながったものと推察する。