著者
田中 啓幹
出版者
京都文教大学
雑誌
臨床心理学部研究報告 = Reports from the Faculty of Clinical Psychology Kyoto Bunkyo University (ISSN:18843751)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.77-90, 2020-03-31

Various factors influence the mood, and the interoception, which is sense inside the body may play an important role in clinical psychology and psychosomatic medicine. In this study, we defined the mood as “the persistent and untargeted integration or unity of the state of mind and body situated between affection and emotion”, and examined its relevance to the interoception. A questionnaire survey was conducted in 152 college students using the “Mood Inventory” and “Multidimensional Assessment of Interoceptive Awareness - Japanese Version (MAIA-J)”. The results showed that “refreshing mood” was positively correlated with “attention regulation”,“body listening”, “emotional awareness”, and “trusting” of the interoception . In addition, the mood of “fatigue” and “depression” was negatively correlated with “attention regulation”, “body listening”, and “trusting”. “Anxious mood” was positively correlated with “noticing”, but negatively related to “not-distracting”. There was no correlation between mood “tension and excitement” and interoception. This study suggests that various subjective moods are related to various aspects of interoception in MAIA-J.
著者
天野 正道 田中 啓幹 高田 元敬 森永 修 三宅 清 木下 博之 絹川 敬吾 別所 敞子 松本 明
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.832-840, 1988-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
21

急性精巣上体炎の原因微生物として Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) の占める割合を明らかにするために自験例42例 (平均年齢35.8歳) を対象に尿道よりのC. trachomatis の検出と血清抗体価測定を実施し以下の成績をえた. 1) C. trachomatisは18例中6例 (33.3%) より検出され, 血清抗体価を全例で測定しその陽性率は, IgM 19.0%, IgA 38.1%, IgG 66.7%であった. 年代別では抗原, 抗体共に年代が低いほど, 陽性率が高い傾向を認めた. 2) 各抗体価の経時的推移を7例につき最長4カ月観察した. 4倍以上の推移をみた症例数は, IgM 2例, IgA 1例, IgG 3例で, いずれかの抗体価が4倍以上の推移を示したのは7例中4例であった. 3) C. trachomatis が検出された6例の平均年齢は23.0歳 (18~31歳), 血清抗体価陽性症例はIgM 2例, IgAとIgGは全例であった. 膿尿は5例で認め, 一般細菌培養では検討した4例で起炎菌と推察される細菌は証明されなかった. 4) 急性精巣上体炎中C. trachomatis 感染症の占める割合を検討した. C. trachomatis 検出症例は6例, IgM抗体価陽性症例は7例, IgA抗体価陽性症例は5例, 以上18例はC. trachomatis 感染症と診断され全症例の42.9%に相当した. 著者らの検討ではIgG抗体価陽性症例中約80%が最近の感染による抗体価上昇と考えられ, それらを加えると44例中28例 (66.7%) がC. trachomatis 感染症と推察された. 若年者 (35歳以下) の本症ではC. trachomatisによるSTDとして捕え, 対処すべきとの考えを支持する成績であった.
著者
曽根 淳史 古川 洋二 中塚 繁治 田中 啓幹
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.902-906, 1989-06-20
被引用文献数
1

急速な転帰をとった膀胱原発絨毛癌の一剖検例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は70歳男性,1986年6月10日,肉眼的全血尿を主訴に来院した.膀胱鏡で後壁に母指頭大の乳頭状腫瘍と左側壁に米粒大の非乳頭状腫瘍を認め,生検の結果,未分化癌であったため強く入院を勧めたが拒否し放置していた.1987年1月30日に全身倦怠感,呼吸困難および体重減少を主訴に再来した.入院時,左女性化乳房を認め,血中hCG-βは101ng/mlと異常高値を認めた.腫瘍はすでにほぼ膀胱全体を占める程度に増大していた.入院後17日目,肺水腫及び心不全のために死亡した.剖検では膀胱腫瘍の大きさは10×10×3cmで,病理組織学的にsyncytiotrophoblastを認め,さらにhCG-βの免疫組織学的染色により同細胞内にhCG-β陽性顆粒が認められた.本症例は本邦第8例目と考えられた.