著者
大河内 浩人 松本 明生 桑原 正修 柴崎 全弘 高橋 美保
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 4 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.115-123, 2006-02

報酬は報酬が与えられた行動に対する内発的動機づけを低めるので,報酬を用いた教育は避けるべきである,という考えが,小,中学校の教師や,教職志望の学生の間で広まっているようである。しかしながら,これまでの研究は,内発的動機づけに及ぼす報酬の有害効果は,極めて限定された条件下でしか生じないことを明らかにしている。本稿ではその代表的研究を紹介した上で,いくつかの条件が満たされたとき,報酬は,その報酬が与えられた行動への内発的動機づけを低めるが,かなり特殊な状況でなければ,実際の教育場面でこれらの前提条件が満たされることはないと結論した。
著者
松本 明子
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.55-68, 2016 (Released:2016-01-30)
参考文献数
179
被引用文献数
3 15

Human aldehyde dehydrogenase 2 (ALDH2) is a 56 kDa mitochondrial protein that forms homodimers through hydrogen bonding interactions between the Glu487 and Arg475 residues of two ALDH2 proteins. Two ALDH2 homodimers can interact to form an ALDH2 tetramer. ALDH2 is widely distributed throughout the organs of the body. In addition to its dehydrogenase activity, ALDH2 also exhibits esterase and reductase activities, with the main substrates for these three activities being aldehydes, 4-nitrophenyl acetate and nitroglycerin, respectively. ALDH2 can be readily inhibited by a wide variety of endogenous and exogenous chemicals, but the induction or activation of this enzyme remains unlikely. The polymorphism of ALDH2 to the corresponding ALDH2*2 variant results in a severe deficiency in ALDH2 activity, and this particular polymorphism is prevalent among people of Mongoloid descent. It seems reasonable to expect that people with the ALDH2*2 variant would be more vulnerable to stress and diseases because ALDH2 defends the human body against toxic aldehydes. However, it has been suggested that people with the ALDH2*2 variant are protected by alternative stress-defending systems. The ALDH2*2 variant has been reported to be associated with many different kinds of diseases, although the mechanisms underlying these associations have not yet been elucidated. ALDH2 polymorphism has a significant impact on human health; further studies are therefore required to determine the practical implications of this polymorphism in the fields of preventive and clinical medicine.
著者
伊藤 美奈子 千勝 泰生 松本 明美
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.35-42, 2013 (Released:2013-09-30)
参考文献数
9

目的:生活をともにする夫婦の生活習慣と生活習慣病における類似性について分析した.方法:対象は2008年4月~2012年3月に当健診センターを受診した40~74歳の夫婦570組.夫と妻それぞれについて,6つの生活習慣(運動,朝食,間食,睡眠,喫煙,飲酒)のうち,保有する好ましくない生活習慣の数によって3群に分け,年齢,BMI,腹囲,体重変化,生活習慣病を比較した.上記で3群に分けた受診者の配偶者に関しても同様に3群比較を行った.夫婦の関連をみるために,夫が因子を有するときにその妻も有するオッズ比を求めた.結果:夫も妻も不良な生活習慣の数が多いほど,体重増加と腹囲が大きく,生活習慣病の保有率は高い傾向にあった.配偶者の比較でも同様の結果を得た.好ましくない生活習慣の数が多い受診者ほど配偶者の好ましくない生活習慣保有数も多かった.夫が不良な生活習慣を有するときにその妻も有するオッズ比は,6つの習慣すべてにおいて2以上となり有意差を認めた.夫が60歳以上の夫婦の方が60歳未満の夫婦に比べオッズ比が高かった.結論:夫婦の生活習慣は関連があり類似していることが示唆された.好ましくない生活習慣を有する受診者については,配偶者からの影響の可能性を意識した保健指導を早期に行うこと,また,単独受診者に対しては,次回から夫婦での受診を促し,夫婦単位で保健指導を行うことで効果的な習慣改善につながると思われる.
著者
松本 明生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.38-49, 2014 (Released:2014-07-16)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究の目的は, アクセプタンス方略を示す自己教示が体験の回避およびスピーチ不安に与える効果について検討することであった。FNE得点および聴衆不安尺度得点をもとに選ばれた30名のスピーチ不安の高い男女大学生の研究参加者を, アクセプタンス自己教示群, 対処的自己教示群, および統制群のいずれかに振り分けた。研究参加者に対してはスピーチ課題をベースラインとして1回, 介入期間中に3回, さらに介入終了から6か月後に1回実施した。アクセプタンス自己教示群と対処的自己教示群には, 介入期間中にそれぞれの群の自己教示を記憶して, それをリハーサルするという訓練を3回実施した。一方, 統制群には自己教示に関する訓練は行わなかった。その結果, ポストテストとフォローアップにおいて, アクセプタンス自己教示群のみに日本語版AAQ得点の増加が見られた。また, アクセプタンス自己教示群および対処的自己教示群では, スピーチ場面でのSUDと聴衆不安尺度得点がポストテストとフォローアップにおいて低減していた。これらの結果は, アクセプタンス方略を示す自己教示はアクセプタンスの増大とスピーチ不安の低減をもたらす有効な手段となりうることを示すものである。
著者
松本 明日香 小川 一美
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.28-41, 2018-03-30 (Released:2018-04-18)
参考文献数
36
被引用文献数
4 5

本研究の目的は,大学で専攻する学問に対して,どのような価値を求めるのか,どのような価値評定をしているのかという専攻学問に対する価値と,大学教育を通じて培うべき力である批判的思考力との関連を探索的に検討することであった。批判的思考力として,質問力,質問態度,クリティカルシンキング志向性を測定した。専攻学問に対する価値を第1群,批判的思考力を第2群として正準相関分析を行った結果,以下の2点が示された。1点目は,専攻学問に対する4つの価値全てが高いと,質問態度やクリティカルシンキング志向性が高くなり,事実を問う質問数も多くなるという結果であった。2点目は,専攻学問の学びは他者から見て望ましいと思われているという価値である公的獲得価値は高いが,専攻学問は充実感や満足感を喚起する学問であると思うという興味価値が低いと,事実を問う質問数は多くなるが,クリティカルシンキング志向性および思考を刺激する質問数に負の影響を与えるという結果であった。専攻学問に対して価値を見出すことは,批判的思考力の獲得に有効な要素であることや,複数の価値を組み合わせて効果を検討することの意義などが考察された。
著者
米田 浩久 實光 遼 松本 明彦 岩崎 裕斗 金子 飛鳥 守道 祐人 鈴木 俊明
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101928-48101928, 2013

【はじめに】課題指向型の運動学習条件としてpart method(分習法)とwhole method(全習法)がある(Sheaら,1993)。このうち分習法は獲得する動作を構成する運動要素に区分して別々に練習する方法であり、全習法は獲得する動作をひとまとめに練習する方法である。全習法は分習法と比較して学習効果が高く、運動学習の達成度は早い。これに対して分習法は学習した運動の転移が可能なことから難易度の高い運動に有用であるが、獲得から転移の過程を経るため全習法よりも時間を要する。一方、理学療法では早期の動作再獲得を図るため障害された動作の中核を構成する運動を選択的かつ集中的にトレーニングする分習法を採用することが多く、1 回あたりの治療成績は全習法よりもむしろ分習法の方が良好であり、早期に改善する印象がある。そこで今回、分習法による早期学習効果の検討を目的にバルーン上座位保持(バルーン座位)による下手投げの投球課題を用いて全習法と分習法による運動学習効果を比較検討した。【方法】対象者は健常大学生24 名(男子19 名、女子5 名、平均年齢20.4 ± 0.4 歳)とした。検定課題は以下とした。両足部を離床した状態でバルーン(直径64cm)上座位を保持させ、2m前方にある目標の中心に当てるように指示し、お手玉を非利き手で下手投げに投球させた。バルーン上座位は投球前後に各5 秒間の保持を要求し、学習課題前後に各1 回ずつ実施した。目標から完全にお手玉が外れた場合と検定課題中にバルーン座位が保持できなかった場合は無得点とした。目標は大きさの異なる3 つの同心円(直径20cm、40cm、60cm)を描き、中心からの16 本の放射線で分割した64 分画のダーツ状の的とした。検定課題では最内側の円周から40 点、30 点、20 点、10 点と順次点数付けし、その得点をもって結果とした。学習課題は3 種類の方法を設定し、それぞれA〜C群として無作為に対象者を均等配置した。全群の1 セットあたりの練習回数は5 回、セット間の休憩時間は1 分とした。A群では検定課題と同様の方法でバルーン上座位保持による投球をおこなわせた。実施回数は主観的疲労を感じない回数として12 セット実施した。B群は、まず椅座位での投球を6 セット実施した後、バルーン上座位を6 セット実施した。C群では椅座位での投球とバルーン座位を交互に6 セットずつ実施した。学習課題ではお手玉が当たった分画の中央の座標を1 試行ずつ記録し、中心からの距離と方向とした。得られた結果から、検定課題では学習前後での得点の比較をおこない、学習課題では各群の成功例を基に投球結果座標による中心からの平均距離を標準偏差で除した変動係数とセット間の平均距離の比の自然対数を基にした変動率による比較をおこなった。統計学的手法は、検定課題では学習前後の結果比較に対応のあるt検定を用い、A〜C群の比較として検定・学習課題ともにKruskal-Wallis検定とBonferroni多重比較法を実施した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮】対象者には本研究の趣旨と方法を説明のうえ同意を書面で得た。本研究は関西医療大学倫理審査委員会の承認(番号07-12)を得ている。【結果】学習課題前後の検定課題の平均得点(学習前/学習後)は、A群11.3 ± 16.4/26.3 ± 15.1 点、B群6.3 ± 9.2/33.8 ± 7.4点、C群10.0 ± 15.1 点/18.8 ± 16.4 点であり、B群で有意な学習効果を認めた(p<0.01)。学習課題中の投球結果の変動係数はA群19.67 ± 1.06、B群8.42 ± 0.49、C群13.50 ± 1.24 で、A群に対してB群で有意な減少を認めた(p<0.05)。また、学習中の投球結果の変動率は群間で有意差は認められなかったものの、他群に対してB群で安定する傾向を認めた。【考察】Winstein(1991)は、分習法はスキルや運動の構成成分を順序付ける過程の学習であるとしており、運動全体の文脈的な継続性を考慮して動作を学習させる必要があるとしている。本研究ではB群によって検定・学習課題とも他群に比べて良好な結果を得た。B群では分習法により投球とバルーン上座位を各々別に集中して学習したが、運動学習中の変動係数の減少と変動率の安定化を認めたことから、バルーン上座位での投球の重要な要素である動的姿勢を集中的に獲得できたことが全習法に対して効果が得られた成因であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から運動学習課題の設定によっては、全習法よりも学習効果が得られる事が示唆された。特に運動時の姿勢の改善を目的とする学習課題を分習法に組み込むことによって学習効果が向上する可能性があり、理学療法への分習法の応用に有用であると考えられる。
著者
松本 明生 平岡 恭一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16323, (Released:2017-05-10)
参考文献数
26

Impulsivity has been linked to traffic safety problems in many prior studies. However, it is not clear whether impulsivity, defined by the rate of discounting delayed monetary rewards, relates to drivers’ problematic behavior. We investigated the relationship between the discounting of hypothetical monetary outcomes and near accident (i.e. hiyari-hatto) experiences during driving among occupational drivers. A total of 189 occupational drivers (160 men) completed the delay discounting questionnaire and hiyari-hatto experiences scale. In completing the delay discounting questionnaire, participants were asked to perform the two delay-discounting tasks, in which they chose between ¥100,000 or ¥5,000 available after some delay (from 1 month to 5 years) or a lesser amount of money available immediately. Subjective equivalence points were obtained from participants’ choices on delay discounting questionnaires, from which the areas under the curve (AUC; Myerson et al., 2001) were calculated. The results indicated that the rate of discounting (AUC) was negatively correlated to near accident experiences. We discuss the need for future research on impulsivity, delay discounting, and traffic safety.
著者
寅丸 真澄 江森 悦子 佐藤 正則 重信 三和子 松本 明香 家根橋 伸子
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.240-248, 2018-12-31 (Released:2019-05-12)

本稿では,言語文化教育研究学会第 4回年次大会(2018年 3月)において筆者らが企画したパネル「留学生のキャリア意識とキャリア支援の『ずれ』を考える ―日本語学校・短大・大学(首都圏・地方)の留学生の語りから」における発表とディスカッションの内容を踏まえ,言語教育者の視点から,日本語学校,短期大学,四年制大学(首都圏・地方)における留学生のキャリア意識と現行のキャリア支援の「ずれ」のありようを報告し,その問題点を指摘する。まず,留学生の語りの事例から,各機関の留学生がどのようにキャリアを捉え行動しているのかを紹介し,言語教育の観点から留学生に必要とされるキャリア支援と実際に提供されているものとの「ずれ」を報告する。次に,「ずれ」の改善のため,言語教育者は留学生と教育機関の双方にどのように関わり,働きかけていけばよいのか,パネルで議論した内容を共有する。最後に,これらを踏まえ,「ずれ」を改善するための今後の課題を指摘する。
著者
松本 明生
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.115-125, 2017-05-31 (Released:2017-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究の目的は、体験の回避がスピーチ時のストレス反応に及ぼす影響について検討することであった。研究1では144人の大学生に対して体験の回避を測定するAAQ-Jへの記入と中性場面とスピーチ場面の想起、そして想起中の気分の評定を求めた。分析の結果、AAQ-J得点とスピーチ場面想起時のネガティブ気分との関連が示された。研究2では、聴衆不安尺度で選抜された18名のスピーチ不安の高い大学生をアクセプタンス教示条件と統制条件の2条件に分けた。アクセプタンス教示条件ではベースラインとしてのスピーチ課題を1回実施した後、アクセプタンス教示下でのスピーチ課題を3回実施した。一方、統制条件ではスピーチ課題のみを4回実施した。その結果、アクセプタンス教示条件の研究参加者にはスピーチ課題中の主観的不安の低減が認められた。考察では、体験の回避とストレス反応との関連と今後の研究・臨床上の課題について論じた。
著者
松本 明生 大河内 浩人
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.20-31, 2003-04-20 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

本稿の目的は、実験的人間行動分析で行われたルール支配行動に関する研究を展望することである。主な結果は以下の通りである。(a)教示は反応の効率的な生起には有効であるが、随伴性の変化に対する感受性を低減させる。(b)教示に抵触する随伴性は、教示に従う反応を消失させる。(c)教示とスケジュールが一致する履歴は教示に従う反応を促進する。(d)自己ルールに対する随伴性が人工的にプログラムされていないなら、自己ルールと非言語反応には相関関係がある。(e)自己ルールが形成されるとともに、非言語反応はそのルールに連動するが、より弁別性の強い強化スケジュールに抵触するルールの場合、非言語反応は連動しない。(f〉自己ルールと非言語反応との連鎖を強化することによって、自己ルールと非言語反応との相関関係が生まれる。考察では今後のルール支配行動研究の方向性について、社会的随伴性という観点から論じた。
著者
天野 正道 田中 啓幹 高田 元敬 森永 修 三宅 清 木下 博之 絹川 敬吾 別所 敞子 松本 明
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.832-840, 1988-05-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
21

急性精巣上体炎の原因微生物として Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) の占める割合を明らかにするために自験例42例 (平均年齢35.8歳) を対象に尿道よりのC. trachomatis の検出と血清抗体価測定を実施し以下の成績をえた. 1) C. trachomatisは18例中6例 (33.3%) より検出され, 血清抗体価を全例で測定しその陽性率は, IgM 19.0%, IgA 38.1%, IgG 66.7%であった. 年代別では抗原, 抗体共に年代が低いほど, 陽性率が高い傾向を認めた. 2) 各抗体価の経時的推移を7例につき最長4カ月観察した. 4倍以上の推移をみた症例数は, IgM 2例, IgA 1例, IgG 3例で, いずれかの抗体価が4倍以上の推移を示したのは7例中4例であった. 3) C. trachomatis が検出された6例の平均年齢は23.0歳 (18~31歳), 血清抗体価陽性症例はIgM 2例, IgAとIgGは全例であった. 膿尿は5例で認め, 一般細菌培養では検討した4例で起炎菌と推察される細菌は証明されなかった. 4) 急性精巣上体炎中C. trachomatis 感染症の占める割合を検討した. C. trachomatis 検出症例は6例, IgM抗体価陽性症例は7例, IgA抗体価陽性症例は5例, 以上18例はC. trachomatis 感染症と診断され全症例の42.9%に相当した. 著者らの検討ではIgG抗体価陽性症例中約80%が最近の感染による抗体価上昇と考えられ, それらを加えると44例中28例 (66.7%) がC. trachomatis 感染症と推察された. 若年者 (35歳以下) の本症ではC. trachomatisによるSTDとして捕え, 対処すべきとの考えを支持する成績であった.
著者
大塚 恵子 木村 肇 松本 明博
出版者
合成樹脂工業協会
雑誌
ネットワークポリマー (ISSN:13420577)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.24-30, 2014-01-10 (Released:2014-04-23)
参考文献数
19
被引用文献数
3

ジアリルフタレート樹脂の接着性と靭性向上を目的として,ポリエチレングリコールユニットの異なるアクリル酸エステルをジアリルフタレート樹脂に配合し,ラジカル重合で同時に反応させることで相互侵入高分子網目構造(IPN)を形成させた。破壊靭性値,およびはく離接着強度とせん断接着強度は,アクリル酸エステルのポリエチレングリコールユニットの分子量や配合割合が大きくなるに従って大きく向上した。特にポリエチレングリコールユニットの分子量が大きい場合に,破壊靭性値と接着強度はジアリルフタレート樹脂と比較して2 倍以上の値を示した。これは,ポリエチレングリコールユニットの導入による柔軟性付与,および柔軟性付与により硬化過程で生じる接着剤層の内部応力が緩和されるためであると考えられ,動的粘弾性挙動と一致した。また,ポリエチレングリコールユニットの分子量の小さいアクリル酸エステルを配合した場合やポリエチレングリコールユニットの分子量の大きいアクリル酸エステルの配合割合が小さい場合には,ジアリルフタレート樹脂にアクリル酸エステルが相溶したIPN を形成した。一方,ポリエチレングリコールユニットの分子量の大きいアクリル酸エステルを20 wt% 以上配合した場合には,ジアリルフタレート樹脂架橋構造中にアクリル酸エステルが分子レベルで微分散した相分離型IPN を形成した。