著者
田中 榮一 山中 寿
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.251-259, 2014-12-30 (Released:2015-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

薬剤の医療経済性評価は高騰する医療費の適正化を考える上で重要であるが,医療経済的研究は臨床データを基に構築されたモデルシミュレーションにより解析するため,我々が慣れ親しんでいる臨床研究とは異なり,日常診療での薬剤の有効性や安全性との関連性が理解しにくい.そこで本総説では日本のリウマチ患者の前向きコホート研究であるIORRAの日常診療データを用いて筆者らが実施したトシリズマブの医療経済的研究結果とこれまで得られているトシリズマブの有効性や安全性の関係から,薬剤の医療経済学的評価に影響を与える代表的因子として薬価,薬剤の投与継続率および有害事象発現リスクが低く効果発現の可能性の高い患者の選択の3点について考察を加えた.その結果,日常診療における有効性および安全性のバランスは医療経済学的評価に強い影響を及ぼす可能性が推察されることが明らかとなった,また,今回はトシリズマブを題材とした考察であったが,他の生物学的製剤でも医療経済学的検討で得られた成績を日常診療での有効性および安全性の成績と照らし合わせて裏づけることは,日常診療において医療経済学的評価に基づいた適正使用の妥当性を理解する上で非常に重要であると思われた.
著者
山中 寿 田中 榮一 中島 亜矢子 古谷 武文 猪狩 勝則 谷口 敦夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.2638-2644, 2017-12-10 (Released:2018-12-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

日常診療に基づくreal world data(RWD)に基づくreal world evidence(RWE)は,良質な日常診療のために近年,その必要性がますます高まっている.Real world dataの1つである関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)患者の大規模コホートIORRA(Institute of Rheumatology,Rheumatoid Arthritis)は,2000年以来17年間に亘る患者調査を行い,診療実態の変遷,治療薬の変化,合併症の状況,薬剤経済学的検討,ゲノム情報の影響等多岐にわたる研究を行い,既に123編の英文論文を発表してきた.その結果,臨床医が日常診療で感じていることを経時的に定量的に示すことができ,多くが臨床医の実感を裏付けるものであった.多くの内科医が日常遭遇する慢性疾患の長期的アウトカムを示すことのできる観察研究データベースは,ますます重要性が増すものと考えられ,多くの疾患分野において同様の研究が行われることを期待する.
著者
田中 榮一
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.25-39, 1984-08-10 (Released:2017-08-01)

国語教育の一環としての、文学教育における「読み」や教材研究・教材分析はどうあったらより妥当であるのかという観点に立ち、その一例として、かつてかならずしも妥当な扱われ方をしなかった「野ばら」(小川未明)に即して、その読み・分析について私見をこころみてみた。そこにおいて、その作品の有する特質に即した読みや分析をほどこすことが大切であること、それにより、見落しがちな新たな意味の発見や、より深くより妥当な読み(学習)の成立が期待できること、作者や周辺の資料の援用も時によっては必要であり効果を挙げうること、等にふれた。
著者
竹政 和典 田中 榮一 増田 澄男
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.245-246, 1996-09-04

線図形のマッチングはパターン認識や化合物の形状の類似性の判定等で必要となる技術である.本文では,線図形の類似度の計算を効率よく行なう一方法について述べる.