著者
田中 治和
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-21, 2010
著者
田中 治和
出版者
東北福祉大学仏教文化研究所
雑誌
東北福祉大学仏教文化研究所紀要
巻号頁・発行日
no.1, pp.43-60, 2019-12-31

本稿の目的は、シャカイフクシの人間観を仏教の人間観・世界観を援用しての批判的考察である。本稿は、仏教社会福祉学の立場ではないが、社会福祉原理論研究から、社会福祉の人間観の再考には、仏教の人間観から学ぶべき重要な観点が示唆されているとの仮説に立つ。検討結果は、次の通り。①仏教の慈悲、キリスト教の隣人愛の具現化、信仰の発露として、日本における救済形態の中心、また底流となり、現在の社会福祉に至っている。②社会福祉の特性は、個別的な方法で特殊的なリスクに対応する対人サービス及び施策にある。③仏教の人間観等からすれば、社会福祉の人間観は皮相であり、その人間観は浅薄である。④人間の根源的な課題である人の生きる意味を問うには、現状の社会福祉では難しく、仏教の人間観等に基づく回答が望まれる。 The purpose of this study is to criticize the understanding of human in social welfare by referring to the understanding of human in Buddhism. But the aim of this study is not to support Buddhism totally. So we concentrate only on the understanding of human in Buddhism. The following points have been cleared. Ⅰ. There is a similarity between the charity of Buddhism and that of Christianity. In Japan, this shapes today's social welfare. Ⅱ. The character of social welfare is services and policies which treat each cases individually. Ⅲ. Comparing Buddhism with social welfare, social welfare doesn't enough philosophy about human and life. Ⅳ. Social welfare should learn from Buddhism to clear the meaning of life.
著者
田中 治和
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.21-40, 2013

本稿は、社会福祉実践及び研究の対象論についての根源的・批判的考察である。すでに、拙稿「社会福祉学対象論の基本問題」(『東北福祉大学研究紀要』第28巻、所収)で、従前の対象論が、実務的な法制度や行政区分を追認していることを指摘した。今般、社会福祉の対象が、〈不条理〉〈悲惨〉〈少数派〉を共通性として出現していることに着目し、以下の諸点を,忠実に文献・資料を用いて考察した。(1)近年対象論で、灯、その使用の原点から検証・吟味した。(2)宮地尚子の灯、大震災の被災者に関わる方法と課題について紹介した。これは対象論研究にも十分援用できる。(3)旧約聖書のヨブ記を題材に、不条理な悲惨(わざわい)に遭遇したヨブが、沈黙から本音を語ること─それは彼の再生への第一歩─を可能にした理由を考察した。(4)人類の悲惨(わざわい)は、必ず概ね少数派として残るが、その意味を問うことが、対象論には肝要であろう。(5)小児科医が難病の子どもたちをどのように捉え、いかに関わったか、その矛盾する姿を考察した。あわせて、慙愧(恥じ入ること)の重要性を確認し、この欠如が、社会福祉の歴史的、また実践的な誤りを招来させたことを、具体的例示でもって指摘した。The purpose of this study is to criticize what objects social welfare should pay attention to and study. The following points have cleared.1. In these days, the word "users" doesn't correspond to the reality.2. The "Kanjyoto-model" presented by Naoko Miyaji is useful for understanding trauma by the earthquake and so on. We can apply this model to social welfare precisely.3. Job in the book of Job talks himself in spite of his absurd tragedies. This is because his three friends was him seven day and night.4. There are a lot of tragedies in the world. But we should pay attention to them and understand what significance tragedies imply. 5. We should accept the tragedies of others. To do this, we need the points of view gained from religion.6. If we engage in social welfare, it is necessary for us to feel great shame at ourselves.
著者
遠藤 克子 田中 治和 塩村 公子 宮崎 法子 渡部 剛士
出版者
東北福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、社会福祉士に必要とされるソーシャルワークの援助技術を効果的に教育する方法を開発することにある。我々が学部学生を教育してきた経験によれば、社会福祉援助技術現場実習は、学生の中で現場で体験するものと大学で学ぶものとがうまくつながることができれば、より効果をあげるものである。この「つながり」を促進するためには、学生・現場指導者・大学教員が、学生の現場での体験を表現し伝えあう為の、共通して使用できる道具が必要となる。したがって、本研究の最終的な狙いは、この「つながり」と「コミュニケーション」の為の道具を作り上げることになる。研究対象としては、特別養護老人ホームにおける実習を選択した。学生の実習記録に基づき、彼らが実習中に何をするかのカテゴリー化をまず行い、次に各カテゴリーにどのくらいの時間が使われたかを調べた。この研究の結果、学生の実習体験を述べるには少なくとも3次元の表現が必要であることがわかった。故に我々はモジュールという単位に着目し、これをもって学生の体験を整理することに決定した。実習現場の指導者の意見もこのモジュールの内容に反映するべく聴取された。モジュールの内容は以下のとおりである。(1)実習行動(介護、他機関との連絡・調整、行事・活動、オリエンテーション、相談援助、その他)x(2)学習対象(個人、家族、施設及びそのサービス、地域、制度、自己覚知、一般化、その他)x(3)学習の焦点(コミュニケーション、問題理解、援助計画、援助の実施、評価、記録)5事例を選びこの枠組みの妥当性を検証した。今後の研究の方向性としては、(1)モジュールの1単位ずつの内容をさらに検討すること、(2)モジュールという枠組みを実際に使用し、学生・現場指導者・大学教員からフィードバックを得てその適用性と効果を検証することである。