著者
古賀 千種 深津 智恵美 田中 薫樹
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.99-106, 1981-12-30

女子短期大学生108名を対象に味覚試験紙を用いて, 甘味, 酸味, 塩味, 苦味の四味質について味覚識別試験を実施し その正解率と月経周期および性格との関係を検討した。1)四味質(甘, 酸, 塩, 苦)識別試験の正解率は, A期間(月経前期間), B期間(月経中)にくらべ, C期間(月経から次期月経までの中間の期間)が一番よい結果となった。ゆえに生理的状態により味覚識別力に差があることが認められた。2)甘味, 酸味, 塩味, 苦味四味質のそれぞれに対して月経周期A期間, B期間の正解率が各味ともにC期間の正解率よ,り低くなっている。とくに塩味についてはC期間とA, B両期間との間に有意な差を示した。また甘味についてはA期間とB, C両期間の間に有意な差の傾向を示した。3)月経周期と味覚識別能力および性格との関係では (1) 外向性群一内向性群間また神経症的傾向高群一神経症的傾向低群間にはどの期間にお いても各味質の味覚試験の正解率に有意な差は認められなかった。 (2) 神経症的傾向高群において, 塩味, 苦味の正解率については, 月経周期のA, B, C 期間で有意な差が認められたが, 神経症的傾向低群では差は認められなかった。つまり 月経周期の影響が神経症的傾向の高低群で違うことが認められた。 (3) 外向性群および内向性群において, 塩味について月経周期により味覚試験の正解率に 有意な差が認められた。甘味については外向性群で月経周期による有意な差が認められ たが, 内向性群ではその差は認められなかった。
著者
古賀 千種 深津 智恵美 田中 薫樹
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-11, 1979-12-30

食品の嗜好性に影響を与えている因子が性格特性とどのような関係にあるかを,18歳〜20歳の女子学生169名を対象に調べた。嗜好因子の分析は松村のテストを用い,これにより嗜好指数を算出した。性格検査はモーズレイ性格検査(MPI)及び顕現性不安テスト(MAS)を用いた。更に肥満度をBroca指数により算出しこれと嗜好指数との関係,またBroca指数と性格特性との関係を検討した。その結果は下記のように要約される。1)性格特性一嗜好指数外向性得点の高い者ほど嗜好指数が高い傾向がみられた。すなわち外向性の者ほど食物に対して順応性や弾力性があることを示している。神経症的傾向の高い者ほど嗜好指数が低い。すなわち神経症的傾向の高い者ほど特に献立や調理についての知識や学習不足の傾向にあることがうかゞわれる。不安度と嗜好指数との間には関係は見られなかった。2)嗜好指数-Broca指数有意な相関は得られなかった。3)Broca指数ー性格特性外向性,神経症的性向および不安度とBroca指数との間には有意な関係は得られなかった。