著者
西田 豊明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.461-471, 2012-10-01 (Released:2012-10-01)
参考文献数
14
被引用文献数
3 4

ネットワーク社会が急速に形成されつつある今日,人工知能研究は1950年代から今日までの五十余年にわたる1番目のステージを終え,2番目のステージに移りつつある。本稿では,第2ステージの人工知能研究のあり方を議論するため,まず,過去の人工知能研究の流れを回顧し,顕著な成果が大規模探索,知識ベースシステム,言語・音声・画像処理,プランニング,機械学習とデータマイニング,人工知能と芸術との融合であることを指摘する。次に,「すごい」と言わせるくらいの高い問題解決能力を持つ知的エージェントを作ることを目指した従来研究に対して,これからの研究では,ユーザーに「君がいてよかった」と言ってもらえるような高い共感力を持ち,計算知能と人間社会をつなぐコミュニケーション知能の実現にもっと重点を置くべきであることを論じる。
著者
1. 松尾 豊 2. 西田 豊明 3. 堀 浩一 4. 武田 英明 5. 長谷 敏司 6. 塩野 誠 7. 服部 宏充
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.358-364, 2015-05-01

訂正:p.364 長谷敏司氏の著者紹介における受賞作は正しくは「My Humanity」です.
著者
小笠原 遼子 角 康之 西田 豊明
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.46, pp.1-8, 2010-03-19

体験共有型のワークショップに注目し,各自の気づきを共有することで協調作業や他者の視点といったものをメタレベルで学ぶためのワークショップの設計と使用する情報システムに必要な要素の提案を行う.個人作業とインタラクションを繰り返し,相互作用を 2 種類に分けて組み込むといった設計を行い,実際に 2 種類のワークショップをデザインし実践した.これらの分析より,設計の有効性としてメタレベルの学習が起きたことが示唆され,さらに,時間や手順の設計に必要な要素を議論する.We focus on proposes designing "Participatory Experience Workshops", which are sharing participant's experiences and help to widen participant's views and learn how to work together. We propose a total design of the environment, the workshop procedure and the factor for information systems. We set the workshop procedure which repeats individual work and cooperative work, and includes two kinds of cooperative work. As two field trials of the proposed workshop, we discuss important factors for the workshop design.
著者
西田 豊明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.517-530, 2014-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

情報通信技術のべき乗オーダーの発展によってもたらされるデータ化とサービス複製によって,人間社会はこれまでとは大きく異なるものになろうとしている。基盤からサービスにわたる義務的労働から解放されて人間の自由度が飛躍的に高まる一方で,自分や社会に意義を見いだして活動する源泉となる人間力・社会力を高める新たな方策が必要であると考えられる。まず,このような社会的状況が生まれる背景となった情報通信技術の動向を俯瞰し,それがテクノロジー社会から人工知能(Artificial Intelligence: AI)社会への遷移を引き起こす可能性があることを示す。次に,AI社会への遷移は,人間社会にとって長い間の課題であった,義務的仕事からの解放をもたらす一方で,人間力と社会力が危機にさらされる時代になったことを指摘する。最後に,物語とゲームに注目した人間力と社会力強化のための新たな情報通信技術の方向を探る。
著者
西田 豊明
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.48-58, 2003
被引用文献数
5 1

本論文では,会話型知識プロセス支援技術の概念的枠組みとそれを実現するための技術について述べる.社会技術研究をネットワーク時代を象徴する動的で複雑な知識創造として位置づけ,現代社会における知識創造に伴う種々の困難を克服するための概念的枠組みとしてコミュニティ知識プロセスを提案し,その要件を示す.次に,社会における相互理解・知識共有・合意形成をシームレスに支援し,運用するための基本コンポーネントとして,映像コミュニケーションツールVMIS,会話エージェントシステムEgoChat,参加型自動放送システムPOC,政策論議支援システムCRANES,及び,それらを統合する枠組みとしての統合的コミュニケーションツールS-POCの概要を述べ,今後の展望を示す.
著者
松村 真宏 河原 大輔 岡本 雅史 黒橋 禎夫 西田 豊明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.93-102, 2007 (Released:2007-01-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

To overcome the limitation of conventional text-mining approaches in which frequent patterns of word occurrences are to be extracted to understand obvious user needs, this paper proposes an approach to extracting questions behind messages to understand potential user needs. We first extract characteristic case frames by comparing the case frames constructed from target messages with the ones from 25M sentences in the Web and 20M sentences in newspaper articles of 20 years. Then we extract questions behind messages by transforming the characteristic case frames into interrogative sentences based on new information and old information, i.e., replacing new information with WH-question words. The proposed approach is, in other words, a kind of classification of word occurrence pattern. Qualitative evaluations of our preliminary experiments suggest that extracted questions show problem consciousness and alternative solutions -- all of which help to understand potential user needs.
著者
大本 義正 戸田 泰史 植田 一博 岡田 将吾 西田 豊明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

ファシリテーションによって議論を効果的かつ円滑に行なえることが知られているが、どのような情報に基づいて介入すべきかはよくわかっていない。本論文では上手なファシリテータが介入する直前の議論の状態と参加者の態度を、発散収束と視線・発話の有無に基づいて分析し、どのような状況でどのようなファシリテーション行動が行われるのかを検討した。この知見は、人間の会話への人工物による介入の実現に役立つと思われる。
著者
西田 豊明 馬場口 登 谷口 倫一郎 黒橋 禎夫 植田 一博 伝 康晴 辻井 潤一 美濃 導彦 中村 裕一
出版者
京都大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2001

(1)講義のコミュニケーションに関する一連の研究の総括を行った.マルチモーダルセンシングによる会議環境の記録の手法について知見を得た.会話に適切な構造を与えて記録し,再利用を促進するための手法を提案した.非言語的な手がかりに注目した会話量子の自動抽出法の研究を行い,実装した.(2)会話の雰囲気や焦点などの自動認識と会話構造化のための知見を得た.会話記録をマルチメディアコンテンツとして加工する研究を行った.会話量子を風景として可視化できる会話コンテンツアーカイブシステムの開発を進めた.深い理解のための言語情報処理基盤の研究と,人間の言語活動に関する認知言語学的考察を行い,種々のアプリケーションシステムを構築した.(3)身体性のある知識メディアとしての会話ロボットを一部実装した.種々の身体表現が人間に与える影響を調査した.体格に依存しない情報提示を実現した.会話エージェントパッケージUAPを用いて,異文化コミュニケーションの学習支援システムと,ユキャンパスガイドエージェントシステムを試作した.(4)人間の嘘を視線・顔方向・表情のみから自動的に判別するシステムを構築し,その評価を行った.インタラクション時の行動的指標と生理指標とユーザのインタラクション状態の関連を明らかにした.ターン構成単位の認定のための手続き的な基準を与えた.包括的読解課題および局所的読解と,「心の理論」の関係を検討し,児童期の心の発達を分析した.同調性・信頼感と心的プロセスとの間の関連を実証的に検証した.対話中の身体動作を定量的に評価する手法を提案した.会話記録のスコアリング手法を提案した.ウェアラブルセンサ・環境センサを用いて獲得された多視点の同期した体験データを閲覧・分析可能とするシステムiCorpus Studioを開発した.
著者
西田 豊明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.586-590, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)

2011年ころから第3回目のブームとなった現代人工知能技術の特色は,社会を広く巻き込んでいる点である。本稿では,人工知能の本質について議論した上で,倫理的,法的,社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues, ELSI)への取り組みの現状を俯瞰し,その原則的な側面についての議論の概要をまとめ,利活用の視点からの検討を紹介する。さらに,ELSI問題のはっきりと捉えにくい側面についても触れ,今後の見通しを探る。
著者
西田 豊昭
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.101-122, 1997-10-20 (Released:2011-01-27)
参考文献数
75
被引用文献数
6 1

One of the most widely believed axioms of management is that a happy worker is a productive worker. However, most research on the nature of relationships between job satisfaction and job performance has not yielded convincing evidence that such a relationship exists to the degree most managers believe. One reason for this might lie in the way in which job performance is measured. Numerous studies have reported that using Organizational Citizenship Behavior to supplant more traditional measures of job performance may result in more robust relationship between job satisfaction and job performance. Although citizenship behavior has been regarded as an important factor and done as a daily work in Japanese company, little research has focused on it. In this study 71 employees who work for the Japanese company were interviewed and found that the most employees engaged in the citizenship behavior for their selfinterests. And then a questionnaire survey was conducted with 403 subjects who provided self-report answers designed to examine the relationship between citizenship behavior and satisfaction, commitment, and stress. In addition the relationship between citizenship behavior and employees' awareness of evaluation was examined. Results showed support for the relative importance of employees' awareness of evaluation as well as satisfaction. Implications for research on the causes of citizenship are discussed.