著者
近江 則子 田名場 美雪 田名場 忍
出版者
弘前大学保健管理センター
雑誌
弘前大学保健管理概要 (ISSN:02865890)
巻号頁・発行日
no.25, pp.12-19, 2004

「どのような他者」の「どのような対応」が被受容感・被拒絶感に結びつくのかを,自由記述データの内容分析により探索的に検討した。調査対象者は大学生206名(男性63名,女性143名)である。結果,父親・母親・親友からは被受容感を得ることが多く,被拒絶感を得ることは少なかった。対応については,被受容感は「一方的にサポートを得る」「一方的にサポートを与える」「双方向的なサポート感覚を得る」の3つに,被拒絶感は「マイナスが付加される」「プラスが付加されない」「双方向的な感覚が得られない」の3つに分類することが出来た。
著者
田名場 美雪 佐藤 清子 佐々木 大輔 田名場 忍
出版者
弘前大学保健管理センター
雑誌
弘前大学保健管理概要 (ISSN:02865890)
巻号頁・発行日
no.25, pp.5-11, 2004

自己のパーソナリティ認知について,「私」(私がみる私)および「私の第一印象」(初対面の人がいだくであろう印象)におけるパーソナリティ認知構造を比較,自分自身のパーソナリティヘの満足度との関連性を検討した。結果,「私」の認知構造として「快活な親しみやすさ」「力本性」「社会的望ましさ」「おだやかさ」の4因子,「私の第一印象」の認知構造として「親しみやすさ」「力本性」「社会的望ましさ」の3因子が抽出された。「私」の場合,「快活な親しみやすさ」「力本性」「社会的望ましさ」の高さは高い満足度につながり,「おだやかさ」の高さは低い満足度とつながる。「私の第一印象」では「親しみやすさ」「力本性」の高さが満足度の高さにつながる。このことから自己認知における視点の違いが認知構造および自己への満足度の違いをもたらすことが示唆された。
著者
平野 均 坂元 薫 北村 俊則 苗村 育郎 湊 博昭 岡野 禎治 佐々木 大輔 田名場 美雪
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

【目的】(1)青年期の季節性感情障害(SAD)有病率と罹患者の特徴、ならびに(2)Global Seasonality Score(GSS)規定因子を解明し、治療法の確立を目指す。【対象と方法】(1)平成16〜17年度全国7大学新入生を対象とし、SAD有病率と罹患学生に認められる特徴を調査した。GSS得点13点以上(高GSS群)は全員を、12点以下(低GSS群)は40名から高GSS群数を引いた人数を無作為に抽出して構造化面接を実施した。(2)平成16年度全国8大学新入生を対象とし、GSS・TCI・出身高校所在地平年値日照環境との関係を調査した。【結果】(1)対象学生12,916名中、8,596名が回答に応じた。高GSS群202名中151名と低GSS群118名中110名がSCID-Iを用いた構造化面接に応じ、それぞれ7名と1名がSADと診断された。SAD有病率は0.96%で、罹患率に性差は無かった。また14名が社会恐怖(social phobia ; SP)と診断され、GSSは高得点であった。SAD罹患学生は、高率にSPを合併していた。(2)対象学生10,871名中、GSS・TCI・日照環境情報に不備が無かったのは61443名であった。GSS総点・平均日照時間・同日射量・TCI 7項目を変数として、パス解析を行った。その結果高GSS得点を規定したのは、低い自己指向性と協調性、高い自己超越・新奇追求・損傷回避で、分裂病型人格に該当した。日照環境とには関連は見出されなかった。【考察】構造化面接による今回の大規模調査から、SAD有病率は凡そ1%で性差が無いことが示された。罹患学生にSPが高率に併存すること、GSS得点が特定の人格傾向を反映することは、SAD・SPに共通する生物学的基盤が存在する可能性を示唆している。このことは両疾患の病態と成因を解明する上で、また治療法を確立する上で貴重な所見と考えられる。