著者
スイパラム ダムロン 田坂 聡明
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.169-176, 1999-12-15
参考文献数
4

本研究の主たる目的は,タイの伐出作業への日本産タワーヤーダの可否を検討するための分析プログラムの開発にある。分析プログラムの開発にはVisual Basicを使用し,タイのプランテーション地域の林分構成,地形データをもとに評価をおこなった。開発された分析用プログラムでは,これらのデータをコンピュータ画面上に数値地形図として表示し,搬送荷重の適合範囲算出,タワーヤーダおよび先柱位置の決定,森林内路線配置に利用する。このプログラムでは,スクリーン上に表示された任意の地点間の索縦断面の描画が可能であると同時に,供試機の諸元や,タイおよび日本で収集された各種のデータをもとにもとめられたパラメータ群,索の線形,張力等が視覚的に得られ,さらに,限界荷重値や集材作業のサイクルタイムが算出,表示される構成となっている。また,対象地における架線位置が全て決定されると,この対象地域のタワーヤーダ集材の生産性と生産費用が自動的に算出され,タイで現在使用されている伝統的な集材方法との比較が可能となる。今回の報告では,現在までにタイ国内でのタワーヤーダ導入の実績がないことから,いくつかのパラメータは日本国内での集材データから求められており,実作業データとの差異が予想される。今後さらに研究を重ねることにより,これらの点の改善に務めたいと考える。
著者
松木 愛子 村上 毅 田坂 聡明 有賀 一広 松英 恵吾
出版者
宇都宮大学農学部
雑誌
宇都宮大学農学部演習林報告 (ISSN:02868733)
巻号頁・発行日
no.52, pp.25-30, 2016-05

作業道新設のための踏査や林分構成の把握のため,森林内微地形や樹木位置などの簡易な測定が必要とされている。本論文では,市販のレーザ距離計(Leica DISTO A6)とArduino制御の1軸,2軸回転テーブルを使用した簡易な3D測定装置を製作し,林分内の微地形,樹木位置などをポイントクラウドデータとして簡易に測定する手法を検討する。作業道通過予定点周囲の地形測定実験を実施した結果,1軸回転テーブルを用いた装置では,ポール横断測量の距離分解能10cmを上回る詳細な測定ができることが明らかにされた。さらに,2軸回転テーブルを用いた携帯型の3D測定システムを作成し,林分内の2点においてポイントクラウドデータの作成を行った後,これらの3次元点群データにマージし,樹木位置および枝下高の自動推定のためのアルゴリズムの検討を行った。この結果,今回開発した3D測定システムでは,樹木位置の推定は可能であるが,胸高直径推定を行うためには点密度が低く,また合成時の誤差が大きいため明確な推定は困難であることが明らかにされた。
著者
執印 康裕 松英 恵吾 有賀 一広 田坂 聡明 堀田 紀文
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.27-32, 2010-08-31
被引用文献数
1 1

宇都宮大学船生演習林内の約310 haのヒノキ人工林を対象に林齢分布の経年変化が表層崩壊発生に与える影響について,分布型表層崩壊モデルに確率雨量を入力因子として与え検討した。同地は1998年8月末豪雨によって,20年生の林分を中心に表層崩壊が多発しているが,この豪雨の確率雨量評価を行った結果,継続時間72時間雨量で確率年約170年の降雨であることが確認された。次に2年確率72時間雨量を用いて1939年から2008年までの林齢構成の経年変化が表層崩壊発生に与える影響について,分布型表層崩壊モデルから出力される潜在表層崩壊発生面積を指標として検討した結果,指標値の範囲は約0.8 haから4.9 haの範囲にあり,降雨条件が同じ場合に1970年から1980年にかけて表層崩壊発生の可能性が高い状態にあると評価された。さらに1979年から2008年までの年最大72時間降水量をモデルに入力して検討した結果,1998年時点で表層崩壊発生の可能性が最も高いことが示された。