著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.123-126, 2011-08-31

山上憶良が詠んだことにはじまる秋を代表する野草である秋の七草は,その姿の美しさや風情を楽しむことで,古くから様々な人々に親しまれてきた。今回,日本最古の歌集である万葉集の中で秋の七草が詠み込まれた歌から,万葉集が編纂された時代の秋の七草の主な生育立地を把握し,「野」「山・岡」「庭」「街・里」に分類した。その結果,七草全体では「野」が最も多く,植物種によって差があるものの,身近に野草を置こうとする歌人の意向から庭に植えたと考えられる植物種も多数見られた。特にナデシコは栽培されたものを詠んだ歌が多く,ハギは様々な立地に幅広く生育するものが詠まれていた。
著者
新井 隆介 大窪 久美子
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.142-147, 2014

岩手県では半自然草原群落が急速に減少しているため,本研究では残存する群落と過去の群落の種構成を比較することにより,半自然草原群落の適切な保全策について検討することを目的とした。その結果,残存する群落はススキ優占型MsI型とMsII型,シバ優占型ZjI型とZjII型の4 群落に分類された。過去に記録されたススキ群落は,本研究におけるシバ優占型の出現種と一部共通していた。過去のススキ群落の管理条件から,この群落の成立には春季の火入れと秋季の刈取り管理が重要であったと考えられた。さらに残存する群落では遷移進行が確認され,その保全には刈った草木を群落外に搬出する管理条件の改善が急務であると考えられた。
著者
森川 政人 小林 達明 相澤 章仁
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.103-108, 2012-08-31
被引用文献数
1 1

学校プール内に生息している水生昆虫相の種,個体数について,東京都及び千葉県内の 4 地域計 32 校において,2007 年 5 月~2008 年 5 月までの使用期間外に各校月 1 回程度調査を実施した。調査の結果を TWINSPAN で解析したところ,東京都と千葉県が異なるグループに分類された。ヒメゲンゴロウ,コシマゲンゴロウ,ミズカマキリ,ショウジョウトンボは東京都の学校プールで確認することができなかった。種数に差が確認された要因として,種の供給源となる学校プール周辺の水田面積や周囲の樹木の有無などが考えられた。主にトンボ目の個体数の差に影響を与える要因としては,学校プール周囲の植生から供給される落葉である可能性が示唆された。
著者
大山 ゆりあ 相澤 章仁 小林 達明
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.97-102, 2012-08-31

都市域の小・中規模緑地を含む「地区スケール」における鳥類群集の種組成の構造的特徴を明らかにすることを目的とし,千葉県松戸市を対象として鳥類調査を行った。各地区における β 多様性の高低および群集の入れ子構造の有無から調査地区は β 多様性が低く入れ子構造がある 1 地区,β 多様性が低く入れ子構造がない 3 地区,β 多様性が高く入れ子構造がある 2 地区,β 多様性が高く入れ子構造がない 2 地区に分類された。nMDS 法を用いた各調査地点の群集構造と環境要因の分析から,地区の鳥類種組成構造が地形や土地利用の多様性などの景観要素と関連していることが示唆された。
著者
額尓徳尼 堀田 紀文 鈴木 雅一
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.338-350, 2009-11-30
被引用文献数
1

内蒙古自治区全域における砂漠化と緑化事業がもたらした植生変化の実態を把握するために,NOAA/AVHRR の衛星リモートセンシングデータから求めたNDVI(正規化植生指数)を用いた検討を行った。まず,文献から植生変化の実態が明らかな地域において,NDVI の変化と植生変化について比較し,1982~1999 年までの約18 年間における植生の変動を調べた。植生変化が少ない地域でのNDVI の変動から,植生増減を判断するNDVI 変化の閾値を検討し,1982~1986 年と1995~1999 年の夏季NDVI の差を ΔNDVI とし,植生の増減を8km 分解能のピクセル毎に求めた。そして,ΔNDVI により植生が変化した地域を抽出して図化した。その結果,内蒙古自治区全体としては,NDVI が増加した地域の割合が減少した地域の割合を大きく上回り,植生増加の傾向が示された。赤峰市(特に敖漢旗)の植生増加が顕著であり,次いでシリンゴル盟,フフホト市,バヤンヌール市の一部にまとまったNDVI 増加が示され,内蒙古全域においてNDVI が増加した面積が約20 万km<SUP>2</SUP> 程度見られた。北半球の高緯度地域では温暖化によるNDVI の増加が報告されているが,行政区毎に求めたNDVI が増加した地域の面積と,統計資料に基づいて集計した造林面積と耕地化された面積の合計に良好な比例関係が見られ,内蒙古自治区における夏季のNDVI 増加は主に緑化と農耕地の拡大という人為的な要因による植生増加である。一方で,NDVI 減少が抽出された内蒙古自治区西部(アラシャ盟),東北ホルチン砂地周辺などでは,もともと植生が乏しい地域であり,これらの地域では砂漠化による植生減少が指摘された。
著者
那須 守 大塚 芳嵩 高岡 由紀子 金 侑映 岩崎 寛
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.96-101, 2014
被引用文献数
1

住区基幹公園の環境価値形成における行動の影響を把握するために,東京区部の 6公園に対して住民意識調査を実施し,利用者の環境価値意識に関する構造化(SEMモデル)および心理的指標と経済的指標を用いた価値評価を実施した。その結果,SEM モデルから住区基幹公園に対する環境価値が行動の影響を強く受けることが明らかになり,利用者を分類した行動クラスターの比較から行動の多様化が環境価値を高めることが心理・経済的評価の両面において示唆された。地区公園と近隣公園を比較すると,この効果は公園の大きさに関係なく見られ,公園の価値を高めるためには,行動を多様化する質的配慮が有効であると考えられた。
著者
荒瀬 輝夫 内田 泰三
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.119-122, 2009-08-31

郷土種による切土のり面緑化を目的として,陸生スゲ類5種(コジュズスゲ,タガネソウ,ヒゴクサ,ミヤマカンスゲ,アズマナルコ)を植栽して群落を造成し,被度の変化を調査した。試験地は信州大学農学部構内,プロットサイズは1 m×1 m,実験配置は3反復の乱塊法とした。また葉の外部形態(葉幅と葉長)を自生地および試験地で比較した。植栽から4年間で,アズマナルコは大株化し群落内が空洞化した。コジュズスゲとミヤマカンスゲはのり面中下部において密な群落を維持した。ヒゴクサは地下茎により拡大したのち衰退した。タガネソウは植栽時の被度を維持した。葉の形態は植栽後,葉幅はやや広く葉長は伸長する傾向にあったが,タガネソウのみ葉幅が狭くなった。
著者
鈴木 武志 坂 文彦 渡辺 郁夫 井汲 芳夫 藤嶽 暢英 大塚 紘雄
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.325-331, 2009-11-30
被引用文献数
1

石炭灰の発生量が増加傾向にある現在,その有効利用が一層求められている。石炭灰のうちクリンカアッシュ(以下CA と称す)は,フライアッシュと比較して粒径が粗く飛散のおそれもないため,土壌の代替としての大量利用が期待されるが,利用に際してはホウ素過剰障害の可能性が示唆されている。本研究では,CA を主材料とする緑化基盤で緑化樹木のポット試験を行い,CA の緑化基盤としての有効性を検討した。緑化基盤材料には,CA,真砂土,ピートモス(以下PM と称す)を用い,CA 試験区(CA とPM を混合)をCA 95 %区,CA 90 %区,CA 80 %区の3 区,対照として真砂土にPM を10% 混合したものを設定し,樹木は,アラカシ,ウバメガシ,シャリンバイ,トベラ,マテバシイの5 種を用いて,約7 ケ月間のポット試験を行った。<BR>作製した緑化基盤の化学性,物理性は対照区と比較して有意な差はほとんど無かった。また,国内の法律に照らし合わせると,これらの材料の重金属類濃度は安全であった。緑化樹木の生育に関しては,5 樹種とも,樹高(H),幹直径(D)から表されるD<SUP>2</SUP>H の試験期間中の生長率および試験終了時の新鮮重に,試験区間で有意な差はみられなかった。また,CA 試験区の樹木葉中ホウ素含量は,シャリンバイ以外の4 樹種で対照区に対して高い傾向を示したが,生育障害は確認されず,他の金属類に関しても異常な値は認められなかった。これらのことから,本研究に用いたCA を緑化基盤として大量利用することは十分可能であると考えられるが,実際の利用の段階では,CA ごとの性質の違いを検討していく必要がある。
著者
大貫 真樹子 久保 満佐子 飯塚 康雄 栗原 正夫
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.198-201, 2013-08-31
参考文献数
10

侵略性の高い外来の緑化植物として指摘されているイタチハギを選択的に伐採する駆除試験を行った。イタチハギが優占する栃木県真岡市の切土のり面において,5 月,6 月,8 月および5 月と8 月の4 種の異なる時期に伐採時期を設け,イタチハギのみの定期的な伐採を3 年間継続した結果,無処理区と比較してイタチハギの平均個体数,平均樹高,植被率が低下した。5 月と8 月の年2 回伐採を行った試験区では,いずれの値も開始当年から低く,在来の高木種の植被率が増加したことから,今後の継続した伐採によって高木種がイタチハギを被陰し,イタチハギを駆除できるものと考えられた。
著者
執印 康裕 松英 恵吾 有賀 一広 田坂 聡明 堀田 紀文
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.27-32, 2010-08-31
被引用文献数
1

宇都宮大学船生演習林内の約310 haのヒノキ人工林を対象に林齢分布の経年変化が表層崩壊発生に与える影響について,分布型表層崩壊モデルに確率雨量を入力因子として与え検討した。同地は1998年8月末豪雨によって,20年生の林分を中心に表層崩壊が多発しているが,この豪雨の確率雨量評価を行った結果,継続時間72時間雨量で確率年約170年の降雨であることが確認された。次に2年確率72時間雨量を用いて1939年から2008年までの林齢構成の経年変化が表層崩壊発生に与える影響について,分布型表層崩壊モデルから出力される潜在表層崩壊発生面積を指標として検討した結果,指標値の範囲は約0.8 haから4.9 haの範囲にあり,降雨条件が同じ場合に1970年から1980年にかけて表層崩壊発生の可能性が高い状態にあると評価された。さらに1979年から2008年までの年最大72時間降水量をモデルに入力して検討した結果,1998年時点で表層崩壊発生の可能性が最も高いことが示された。
著者
藤澤 茂樹 奥隅 豊栄 安元 信廣 柴田 昌三 田中 伸一 小澤 徹三
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.351-356, 2009-11-30
被引用文献数
1

近年,表土をのり面緑化に利用する工法が行なわれており,その利用方法の一つとして,表土マット移植工法を考案して,高速道路建設工事において施工した。採取した表土マットは,ミヤコザサの地下茎や萌芽性の木本植物の根系などを含み,緑化資材として有効と考えられる。その効果が明らかになり始めた既施工地では,表土マットに含まれる木本植物からの萌芽を確認しただけでなく,ミヤコザサの活着ならびに地下茎の伸長も確認することができた。さらに,条件のよいのり面では木本種が侵入して階層構造を形成しつつあることから,表土マット移植工法が切土造成地における植生復元を早期に行える工法であることが確認できた。
著者
田中 淳 纐纈 裕美 大藪 崇司 藤原 道郎 田中 賢治 朝日 伸彦 杉浦 弘毅
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.139-142, 2011-08-31
被引用文献数
2

土壌化学性の改質による外来植物の防除技術の開発実験を実施した。土壌 pH を 4.6,5.5,6.8 に調整した土壌にナルトサワギクならびセイタカアワダチソウを移植した。土壌 pH 4.6 では,移植後約 1 ヶ月で 2 種ともほぼ枯死した。土壌 pH 5.5 の地上部の生育は,pH 6.8 とあまり変わらなかったが堀取った根は生育不良であった。また,土壌を酸性にする溶液をろ紙にひたし発芽実験を行った。ススキの発芽率は,精製水をろ紙にひたしたものと比較して発芽率の低下が少なかったが,ナルトサワギクの発芽率は低下し 0%となった。これらのことから,土壌化学性の改質が,外来植物から在来植物への植生構造の転換技術へ応用できることが示唆された。