著者
田村 恒一
出版者
山形大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では、小型簡易風力発電機による雪庇生成阻止機能を考慮し、豪雪地域での人身事故の抑止効果に関する基礎的検討を行った。先ず、風力エネルギーの効率良い取り込みのために、風車翼と起動力の関係を検証した。風車翼の種類は翼面寸法が同じ9枚の平板翼と曲面翼とし、翼の傾き角度は風向に対して10、20、30、40度の場合、また、風車自体の向きを風向に対して正面、±22.5、±45度と変えた時の起動力データを測定した。測定結果から、平板、曲面翼とも翼角が大きくなると起動力も大きくなり、曲面翼は平板翼の25%増となった。風向に対する風車の対向角度変化の測定データより、風向に対して45°風車がずれていても平均で風力エネルギーの54%を取り込むことができるという結果を得た。さらに、米沢市のアメダス・データを検討した結果、冬季の風向発生頻度の約86%、頻度と風速の積値では93%が西北西を中心に±45度の範囲にあり、風車は風向追随型ではなく固定型で実用上十分で、雪庇対策効果や構造強度的にも好都合と考えられる。基礎実験データを参考に、ハブダイナモを用いた風車二機を試作した。風力発電機の直径は二機とも約1200mmで、ライト管210型9枚翼とVU管100型6枚翼とした。試作風車を二階屋根東側端(季節風の風下、雪庇の生成位置)外側に固定し、傍に風向・風速計を設置して、風速・風向と発電電圧のデータを収集し、加えて雪庇生成や積雪状況の観測を行った。試作した風力発電機は二機とも、起動風速は1m付近と自己起動性が良く、1.4m付近で発電電圧が6Vを超え、蓄電も十分行えることが確認できた。微風で風車が回転するため、風車設置位置での雪庇の生成が押さえられ、風車両脇の雪庇も支えを失い、早期に落下することが認められ、適切な風車の配置によって、雪庇生成が抑制されると考えられる。複数機設置することにより、より有効な抑制効果が期待できる。
著者
増子 治信 小林 達治 梅原 俊彦 田村 恒 岡本 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.435, pp.17-24, 1995-12-15

シャトル映像レーダC/Xバンド合成開口レーダ(SIR-C/X-SAR)は米国、ドイツ及びイタリアが共同で1994年に実施した初めての宇宙機搭載用多周波(L,C,Xバンド) ・多偏波(ポラリメトリック)合成開口レーダである。通信総合研究所は日本から唯一参加を認められ、システムの較正実験及び日本周辺海域で海洋油汚染観測を中心とする海洋観測実験を実施した。本報告では、疑似油汚染観測を中心にレーダ映像の周波数依存性及び偏波特性について述べる。