著者
田村 高志
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.345-355, 2005-08-01

この20年間, 国産の衛星開発はロケットの大型化と歩調を合わせて常に先端を目指し, 大型化, 高性能化を追求してきた.衛星の打上, 運用によって得られた知見は非常に大きく, 自主技術による衛星開発のリスクは想定の範囲内にあると思われた.しかし, 「みどり」, 「みどりII」と2機連続しての運用断念を経験し, 大型衛星の開発が従来の開発手法の単純な延長線上にはないことを思い知らされた.一方海外に目を向けると, 同様に大型化を進めた商用衛星に多くのトラブルが発生していることが知られている.このような状況から, 国産衛星に限らず大型衛星の開発には従来技術の範囲を超えたリスクが存在し, 確実な開発に向け新たな取り組みが必要であることが改めて認識されている.ここでは, 衛星開発における設計・評価・レビュー及び技術蓄積の観点から現状を分析し, 特に衛星の信頼性向上のためになすべきことについて述べる.
著者
田村 高志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.650-651, 2002-07-01

性染色質とは 1949年,BarrとBertramは雄ネコの神経細胞休止核には見られないが,雌ネコの細胞核周辺部に塩基性色素に濃染する小体を発見した1).また,ヒト女性口腔粘膜細胞などにもこの小体がみられ,これを性染色質(sex chromatin)あるいは発見者の名にちなんでバー小体(Barr body)とも呼んでいる.性染色質は,後に蛍光色素による男性休止核にみられるYクロマチンが発見されたため,Xクロマチンと呼ぶように改められ,XクロマチンとYクロマチンとを総称したものになった.性染色質検査は性染色体異常のスクリーニング検査として行われている. 現在,性別の確認はSRY遺伝子やXとY染色体上に座位するアメロゲニン遺伝子をPCR(polymerase chain reaction)法によって検出することで正確な鑑別が可能である.これらは法医学領域,異性間骨髄移植後の生着の確認やオリンピックなどのスポーツ大会でのセックスチェックに応用されている.