著者
新村 直子 田島 敬之 齋藤 義信 於 タオ 吉田 奈都子 阿部 由紀子 新井 康通 小熊 祐子
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
pp.2205, (Released:2023-04-21)

目的:85–89歳の地域在住高齢者の座位行動を客観的に評価し,テレビ視聴時間を含む関連要因について多面的に検討する。 方法:The Kawasaki Aging and Wellbeing Project(KAWP)のベースライン(2017–18年)調査の参加者1,026名に連続7日間の加速度計装着を依頼し,有効データ914名(女性473名)の座位行動を客観的に評価した。重回帰分析を男女別に行い,座位行動との関連要因を3領域(身体状況,社会経済状況,生活習慣)の24因子と年齢,計25因子から検討した。 結果:総座位時間・装着時間に占める座位時間の割合は男性1日平均(標準偏差)9.4(1.9)時間・67%,女性8.6(1.8)時間・59%と男性が女性より長く座っており,30分以上継続する座位時間の割合も女性より高かった。重回帰分析により座位行動と関連が認められた要因は,関連が強い順に,男性ではテレビ視聴時間・BMI(正),家事時間・園芸スコア・運動時間・歩行速度・握力・ADL(負),女性ではBMI・テレビ視聴時間(正),家事時間・睡眠時間・運動時間・ADL・外出スコア(負)であった。 結論:80歳台後半の地域在住高齢者の座位行動にはテレビ視聴以外に,BMI・歩行速度・握力・ADLなどの身体状況要因,家事・園芸・運動・睡眠・外出などの生活習慣要因が多面的に関連していた。
著者
桑原 恵介 難波 秀行 武田 典子 齋藤 義信 小熊 祐子 井上 茂
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
2021

当初,2020年9月8日から12日まで横浜で開催予定であった2020横浜スポーツ学術会議は,突如とした新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に伴い,開催形式は対面からオンラインへと変わり,また,予定していたプログラムも変更あるいは中止となり,会期も変わるなど大きな影響を受けた。日本運動疫学会が準備を進めていたセッションも一度はすべて中止となったが,関係者の理解と協力を得て,新たに企画を立案し,公開講座という形でFiona Bull氏(世界保健機関ヘルスプロモーション部局身体活動部門長)と鈴木大地氏(スポーツ庁長官)による講演と対談を2020年9月9日に日本とスイスをリアルタイムにバーチャルでつなぐことで実現することができた。当日は300名以上の参加者があり,事前質問も含めてたくさんの質問をいただいたが,すべての質問に答えることができなかったことや,参加者間のディスカッションができなかったこともあり,翌日にオンラインで緊急討論会を開催した。本稿では,運動疫学研究の普及・促進活動の実践報告として,これらの開催までの経緯等を概観した上で,同講座から得られた知見等を基に,今後の展望について述べる。
著者
齋藤 義信 岩井 一師 中里 浩一 入江 一憲 水野 増彦 中嶋 寛之
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.99-108, 2009-02-01
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to clarify physical characteristics related to low back pain (LBP) in collegiate track and field athletes. We particularly focused on the nature of the track and field. The subjects were 21 male collegiate track and field athletes including only sprinters, hurdlers, long jumpers and triple jumpers. The examined parameters were physical characteristics, isokinetic flexor and extensor strength in the knee and trunk regions. The evaluation of LBP was estimated by a questionnaire test and orthopedic surgeons' diagnosis. According to these evaluations, we divided all track and field athletes into two groups ; LBP group (n=11, 52.4%) and no LBP group (n=10, 47.6%). As a result, a take-off leg of knee flexor/extensor strength ratio in the LBP group was significantly lower than that in the no LBP group (P<0.05). The LBP group showed a significant difference between a take-off leg and a lead leg in knee flexor strength compared with the no LBP group (P<0.05). The LBP group has been short engaged in the track and field than the no LBP group (P<0.05). In the trunk flexor and extensor strength, there was no significant difference between the LBP and the no LBP group in this study. These results suggest that the imbalanced knee muscle strength may be one of some factors related to chronic low back pain in collegiate track and field athletes.