著者
田頭 秀悟
出版者
認知症治療研究会
雑誌
認知症治療研究会会誌 (ISSN:21892806)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.38-42, 2022 (Released:2022-03-05)
参考文献数
5

外来診療,入院診療,訪問診療に続く第4 の診療形式として情報通信機器を用いて行うオン ライン診療が,新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあいまって,近年急速に注目を集めてきてい る.一方で,従来の対面診療と比べてオンライン診療という診療形式は未だ医療の中で補助的な役割 にとどまっており,十分な価値を提供しきれていない実情がある.他方でコーチングの要素を盛り込 むことで,全ての慢性疾患患者に対してオンライン診療は有効活用できる可能性を秘めている.とい うのも直接的な医療行為を行えない条件には,患者自らの主体性を促し,自らの生活行動の改善によっ て病気を克服させる潜在性があるからである.逆に言えば,「認知症」のような患者の主体性が期待し にくい状況においては,コーチング的オンライン診療による価値を提供することは難しい.また主体 性が強固に制限された「神経難病」患者においても同様の問題に直面する.本稿ではオンライン診療 専門で対応してきた当院が認知症や神経難病に対して行っている工夫や経験,教訓について紹介する.
著者
福嶋 裕造 藤田 良介 能美 晶子 宮本 信宏 山本 了 實松 宏已 田頭 秀悟
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.43-47, 2021 (Released:2022-05-17)
参考文献数
10

整形外科の疼痛性疾患が天気によって症状が悪化する場合があり,これを気象痛という。今回,交通事故後の大後頭神経痛(GON:great occipital neuralgia)の2症例で天気による症状の悪化に対して五苓散が有効であったので報告する。症例1は41歳女性で,交通事故にて受傷し頚部痛と腰痛を訴えた。2ヵ月後より不定期に後頭部痛が発症した。3ヵ月目に大規模な台風がありその日の朝より激しい後頭部痛があり,その後も天気の悪化で後頭部痛が生じたため当院を受診した。気象痛の GON と診断し五苓散を投与して軽快した。症例2は31歳女性で,交通事故にて受傷し頚部痛を訴えた。受傷後3ヵ月後より天候の悪化により後頭部痛が悪化することが分かり,気象痛のGON と診断し五苓散を投与して軽快した。頚椎捻挫が原因である気象痛の GON に対して五苓散が著効した。
著者
福嶋 裕造 井藤 久雄 田頭 秀悟 栁原 茂人 中村 陽祐 藤田 良介 山下 和彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.35-41, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

急性腰痛症に対して非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs, non-steroidal anti-inflammatory drugs)を用いたが効果が得られないため,大黄牡丹皮湯と四物湯を併用して用いて効果が得られた3症例を経験したので報告する。 症例1は86歳の男性で,症例2は56歳女性でありいずれも急性腰痛症と診断した。症例3は69歳男性で急性腰痛症,軽度の左根性坐骨神経痛と診断して治療した。全症例とも1から2週間の投薬で腰痛等の症状が軽快した。『万病回春』の調栄活絡湯の方意に準じて,大黄牡丹皮湯と四物湯を併用した。急性腰痛症に対する漢方治療において大黄牡丹皮湯と四物湯の併用による治療は有用であると考えられる。