- 著者
-
田頭 秀悟
- 出版者
- 認知症治療研究会
- 雑誌
- 認知症治療研究会会誌 (ISSN:21892806)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.38-42, 2022 (Released:2022-03-05)
- 参考文献数
- 5
外来診療,入院診療,訪問診療に続く第4 の診療形式として情報通信機器を用いて行うオン
ライン診療が,新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあいまって,近年急速に注目を集めてきてい
る.一方で,従来の対面診療と比べてオンライン診療という診療形式は未だ医療の中で補助的な役割
にとどまっており,十分な価値を提供しきれていない実情がある.他方でコーチングの要素を盛り込
むことで,全ての慢性疾患患者に対してオンライン診療は有効活用できる可能性を秘めている.とい
うのも直接的な医療行為を行えない条件には,患者自らの主体性を促し,自らの生活行動の改善によっ
て病気を克服させる潜在性があるからである.逆に言えば,「認知症」のような患者の主体性が期待し
にくい状況においては,コーチング的オンライン診療による価値を提供することは難しい.また主体
性が強固に制限された「神経難病」患者においても同様の問題に直面する.本稿ではオンライン診療
専門で対応してきた当院が認知症や神経難病に対して行っている工夫や経験,教訓について紹介する.