著者
斎藤 真澄 遠藤 彰 三木 彦一 奥田 永昭 伏崎 弥三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.547-551, 1961-03-05 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16

テルペン炭化水素の自動酸化についての研究の一環としてd-リモネンの自動酸化を行なった。d-リモネンは40~70℃という比較的低い温度で,開始剤を用いなくとも,空気により酸化されてヒドロペルオキシド(HPO)を生成した。開始剤としてBPOを使用すれば,反応初期におけるHPOの生成の速度は増大した。いずれの場合にもHPOの濃度はある一定値以上には増加しない。また触媒として重金属塩を用いるとHPOの生成速度はやはり増大するが,このHPOの最高濃度は著しく低くなる。これらのことからHPOは酸化反応中にも熱分解し,重金属塩はHPOの生成とともにその分解をも促進することがわかった。生成物としてはケトン,アルコールおよびアルデヒドの存在が認められた。ケトンおよびアルコールは還元するとメントールになるので,これらはそれぞれ3位にカルボニル基あるいはヒドロキシル基をもつことがわかり,ヒドロペルオキシドの構造もそれに相当するものであることが決定された。このほかカルボンの存在も認められたので6位でも反応がおこっていることを示す。次に反応機構をより明らかにするため反応速度を測定した。初速度と酸素圧,リモネン濃度,BPO濃度との関係を求めた結果次の速度式が得られた。γTiは熱による開始反応の速度で,BPOを用いた時にもこれを無視することはできなかγ=(γTi+kB[BPO])1/2[O2][RH]/(C[RH]+D[O2])った。この速度式の定数を実験から求め,それから計算した活性化エネルギーは21kcal/molとなった以上の結果からd-リモネンの自動酸化では主としてまず3位で酸化がおこってHPOを生成し,それが分解してアルコール,ケトンになることがわかった。その反応性はすでに行なつたα-ピネンのそれよりもやや大きく,テルピノレンよりは小さい。したがって同じモノオレフィンでは単環構造のほうが双環構造より反応し易いといえる。
著者
斎藤 真己
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.348-350, 2014-12-01 (Released:2015-04-02)
参考文献数
12

スギ花粉症対策の一環として,メタセコイア雄花の発育限界温度と有効積算温度を明らかにした。メタセコイアの雄花の発育限界温度はほぼ0°C となりスギと同様の値になったが,開花に要する有効積算温度は,計算上175.4°C・日となり,スギ(184~240°C・日)よりも低い値になった。次に,10°C に設定した人工気象器を用いてメタセコイアとタテヤマスギ,ボカスギで開花試験を行った結果,メタセコイアが最も早く開花した。これらの結果から,メタセコイアの花粉はスギよりも早く飛散が始まっており,その花粉はスギと共通抗原性があることから,居住区の近隣にメタセコイアがある場合,スギ花粉症患者はスギ花粉の飛散予測よりも早く花粉症を発症する可能性があると考えられた。
著者
ロバート キャンベル 谷川 恵一 木越 俊介 湯上 良 小山 順子 神作 研一 斎藤 真麻理 太田 尚宏 青田 寿美 西村 慎太郎
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-16, 2017-05-08

●メッセージ新館長の挨拶●研究ノート兆民の推敲――『三酔人経綸問答』稿本――『新斎夜語』第八話と源氏注釈書統制と文書保護から「マレガ文書」の基層を探る●トピックス連続講座「くずし字で読む『百人一首』」2つの海外「日本古典籍ワークショップ2017」――ホノルル&バークレー――ハワイ大学マノア校と協定書を締結基幹研究成果論集『社会変容と民間アーカイブズ ――地域の持続へ向けて――』平成28年度日本古典籍講習会シンポジウム「松代藩真田家の歴史とアーカイブズII」平成29年度アーカイブズ・カレッジ(史料管理学研修会通算第63回)の開催「新日本古典籍総合データベース」の公開第3回日本語の歴史的典籍国際研究集会の開催「古典」オーロラハンター2総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況
著者
斎藤 真 中務 隆弘 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.212-218, 2007

本研究は, マルチディスプレイ型VDTの作業特性を明らかにし, ガイドラインや推奨事項を確立するための基礎資料を得ることを目的としている. 実験は10人の被験者を対象に編集作業とマウスポインティング作業をおのおの5分間, ディスプレイはシングル (1台), デュアル (2台) および大型の3条件について行われた. 評価は, 作業能率, 操作性, 頭部運動および頸部筋負担の四つの視点から行った.<br>デュアルディスプレイおよびラージディスプレイは, シングルディスプレイよりも得られる情報量が多く, 操作がしやすいため作業能率が優れていることが示された. また頸部の筋負担はすべての実験条件で有意差が認められなかった. 特にデュアルディスプレイは, 画面が水平方向に広がるためラージディスプレイに比べて頭部運動が多く, 静的な筋負担を軽減する可能性が示唆された.
著者
河添 房江 山本 登朗 リーブズ クリストファー 福井 辰彦 神作 研一 藤島 綾 西村 慎太郎 斎藤 真麻理 宮間 純一 入口 敦志
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.45, pp.1-16, 2016-10-14

●メッセージ人文学の危機と異分野融合研究●研究ノート鉄心斎文庫――伊勢物語コレクションの魅力『唐土訓蒙図彙』への誘い『和訓三体詩』読解の試み(付)特定研究「日本の近世における中国漢詩文の受容」公開研究会の開催報告●トピックス鉄心斎文庫感謝状贈呈式について国文学研究資料館公式Twitterがはじまりました第28回人文機構シンポジウム「妖怪空間――でそうな場所」パネル展示「アーカイブズ・レスキューの活動記録」のご案内2016年度 子ども霞が関見学デー第2回日本語の歴史的典籍国際研究集会 日本古典籍への挑戦~知の創造に向けて~第40回国際日本文学研究集会プログラム総合研究大学院大学の近況
著者
森山 卓郎 鍋島 惠美 斎藤 真由美 村田 眞里子 櫨山 ゆかり 小川 陽子 高野 史朗 光村 智香子 田中 琢也
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.115, pp.27-45, 2009-09

葛藤場面の写真から事態をどう見取るか,そしてどのような対応をするのかを学生(教育実習未経験),保護者,幼稚園の教員,保育園の保育士,において調べた。その結果,「可能性のある事態」,「最も可能性の高い事態」としても,幼稚園の教員は「事故」と考える割合が低く,学生は高かった。ここから,学生は事態をどう見るかの観点が獲得できていないと言える。次に,対応についても調査したが,「見守る」という対応をとったのは幼稚園の教員に有意に多く,学生に有意に少かった。同じ場面に対しても学生と幼稚園教員とでは対応が違うと言える。子どもが「仲よく」という発言をしていたという仲裁の場合は,「そうだね,仲良くしようね」といった介入は幼稚園の教員には有意に少なく,保護者に有意に多かった。以上から,幼稚園教員には直接的な介入を少し控えて,子どもたちの自立的な発達を促す傾向が読み取れる。こうした様々な「見方」を意識化することは教育実習での学びをより深くするためにも有益だと思われる。Using questionnaires, we studied how students, parents, kindergarten and nursery school teachers judged a situation in a photo showing conflict between 9 children. We found that students tended to judge the scene as an accident, while kindergarten teachers did not. From a management point of view, kindergarten teachers tended to "monitor the situation," while students did not. In case in which a child tried to mediate other children's conflicts, parents agreed with and enforced the mediation, while kindergarten teachers did not. Generally speaking, kindergarten teachers try to refrain from intervening with the intent of nurturing children's self-management.
著者
斎藤 真己
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.316-323, 2010 (Released:2011-02-16)
参考文献数
60
被引用文献数
5 25

スギ花粉症に対する育種的な対策として, 着花量の少ない少花粉, 花粉中のCry j 1量が少ない低花粉アレルゲン性, 花粉を生産しない雄性不稔性に着目した。着花量の少ないスギ精英樹は全国で135クローン選抜された。この性質は複数箇所の検定林で再現性が確認され, 親子回帰による遺伝率も0.34と比較的高い値であった。花粉中のCry j 1量を全国の精英樹420クローンについて調査した結果, 0.38∼10.23 pg/個と大きな変異を示し, その狭義の遺伝率は, 1.0と高い値であった。このことから次世代での選抜効果が顕著に現れると期待された。無花粉になる雄性不稔性は一対の劣性遺伝子支配であることが明らかになり, その遺伝子をヘテロ型で保有した精英樹が4クローン発見された。優良な無花粉スギの作出に向けて, これら精英樹同士の交配家系が育成されている。スギ花粉症対策品種は, 現在, さし木等によるクローン増殖やミニチュア採種園による種子生産が図られており, これらを上手く活用することによって従来の木材生産性を損なうことなく, 花粉飛散量の軽減に繋がると考えられた。
著者
斎藤 真希
出版者
日本仏教綜合研究学会
雑誌
日本仏教綜合研究 (ISSN:13484850)
巻号頁・発行日
no.9, pp.149-163, 2011-05-31
著者
斎藤 真希
出版者
静岡大学人文社会科学部
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.A45-A64, 2017-01-31
著者
森田 真理 坂本 理恵 大城 絵理奈 嘉山 郁未 菊池 恵理華 河原 英子 筑田 理絵 住友 正和 木田 達也 坂下 博之 豊田 茂雄 太田 郁子 渡部 春奈 斎藤 真理
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.135-139, 2022 (Released:2022-10-06)
参考文献数
12

【緒言】メサドンを用いたがん疼痛緩和治療の経過中に全身麻酔下で手術を行った2症例を経験した.【症例1】57歳女性.多発骨転移を伴った右進行乳がんで疼痛治療にメサドンを導入し,化学療法の経過中に右乳房切除術を行った.創部痛で臨時の鎮痛薬を用いたがメサドン休薬によるがん疼痛の増悪はみられなかった.【症例2】76歳男性.肺腺がんの痛みにメサドンを導入した.化学療法経過中に腰椎転移で下肢麻痺切迫状態になり除圧固定術を施行した.術中の痛みの増悪にケタミンを用い,麻酔覚醒後の痛みの再増悪にはフェンタニル注の持続注射で対応した.【結語】メサドンは従来の強オピオイドで緩和困難な強いがん疼痛に用いるが,本邦では内服薬のみの認可で他のオピオイドとの換算比がないため,周術期等の休薬が必要な期間の痛みの管理には注意を要する.したがって,メサドンの処方医はメサドン内服中の患者の周術期の円滑な痛みのコントロールにも積極的に貢献することが望まれる.
著者
宮崎 貴久子 斎藤 真理
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.54-65, 2003-01-31 (Released:2010-02-04)
参考文献数
30

死によって大切な人を失うことは大きな喪失体験である。世界保健機関によると, 緩和ケアの目標は, 患者とその家族にとってできる限り良好なクオリティ・オブ・ライフを実現させることであり, 患者の療養中も, 患者と死別後も家族への援助を継続する。本研究の目的は, 一般病棟の緩和ケアにおける, 患者の死が家族にどのように影響するのかを明らかにすることである。16名の家族の自由意志による研究参加協力を得て, 死別6か月以降にライフライン・インタビュー・メソッドによる面接調査を行った。描かれたライフラインの分岐点とイベントの分析結果より, 家族が死別体験をどのようにとらえて, 将来をどのように描いているのかその傾向を探った。家族の悲嘆反応は死別した家族との生前の関係, ジェンダー, 年齢などの多くの要因によって異なる。家族ケアの今後の課題と方向性を提示する。
著者
斎藤 真 中務 隆弘 池浦 良淳 水谷 一樹
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.212-218, 2007-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
6

本研究は, マルチディスプレイ型VDTの作業特性を明らかにし, ガイドラインや推奨事項を確立するための基礎資料を得ることを目的としている. 実験は10人の被験者を対象に編集作業とマウスポインティング作業をおのおの5分間, ディスプレイはシングル (1台), デュアル (2台) および大型の3条件について行われた. 評価は, 作業能率, 操作性, 頭部運動および頸部筋負担の四つの視点から行った.デュアルディスプレイおよびラージディスプレイは, シングルディスプレイよりも得られる情報量が多く, 操作がしやすいため作業能率が優れていることが示された. また頸部の筋負担はすべての実験条件で有意差が認められなかった. 特にデュアルディスプレイは, 画面が水平方向に広がるためラージディスプレイに比べて頭部運動が多く, 静的な筋負担を軽減する可能性が示唆された.