著者
畝見達夫 田中穂積 市川惇信
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.1, pp.1-10, 1980-04-18

コンピュータによる自然言語処理は様々な面で、その重要性を増しつつあるが、本研究では、そのための道具の一つとして、1978年に電総研で開発された「拡張LINGOL」をベースに、より柔軟な文法規則表現が可能なパーザを基礎とする自然言語処理のためのプログラミングシステムを作成した。LINGOLは文脈自由文法を基礎にしてはいるものの、実際に計算機上で動かすという都合上、各文法規則における右側非終端記号の記述個数を高々2つに制限しており、そのため、非終端記号および文法規則の数が増し、文法大系の記述が繁雑になるという欠点を有していた。本研究では、その記述個数制限をなくし、それに加えて、非終端記号の不定数回繰り返しの指定も許すこととし、より柔軟な文法表現を可能にした。本システムによる構文解析木がn進木となることから、これを「n進木LINGOL」と呼ぶことにする。尚、こういった機能拡張に伴い、システム自体のプログラムをほぼ全面的に作成し直す結果となった。
著者
畝見 達夫 仙田 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.133-138, 2002-05-18

模擬育種法に基づく作曲支援システムの設計について述べる.Sbeat2 と名付けられた我々のプロトタイプシステムでは,育種の単位である個体をソロ楽器5パート,ピアノ,ドラムス,パーカッションの計8パートからなる16拍の小節に対応させる.遺伝情報からある種の再帰アルゴリズムを用いて旋律を生成する.画面に譜面の形式で表示された個体の中から気にいったものを選択し,音を確認し次世代集団を生成するための親とする.親の遺伝子に突然変異と交叉を加え子孫の遺伝情報を構成する.この世代交代をくり返すことによってユーザは徐々に気に入った音楽を得ることができる.テンポや音色など領域固有の操作機能を埋め込むことによって,初心者が簡単に気にいった音楽を作るための支援ツールを構成することができる.This paper presents a design of support system for musical composition based on Simulated Breeding. In our prototype system named Sbeat2, each individual in the population is a bar of sixteen beats including eight parts, five solos, piano, drums, and percussion. The melody is generated by a type of recursive algorithm from genetic information. By selecting favorite pieces among scores displayed on the screen, the user certifies the sounds and selects them as parents for reproduction. The genetic codes of children are generated through mutation and crossover. Iterating this process, the user obtains better pieces gradually. Embedding some domain specific functions, such as changing tempo and selecting tones, we can build a useful tool to make it easier for a beginner to compose his/her favorite musical pieces.