著者
大井 信明 白岩 善博
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.255-264, 2015

微細藻類を用いたバイオ燃料創出のための技術開発が精力的に行われている。その実現のためには,オイル含有量の高い新規微細藻類株の自然界からの単離,培養条件の最適化によるオイル生成速度と蓄積量の増大,遺伝子工学や代謝工学による有用燃料脂質の合成能の向上や代謝改変技術の確立等を実現する必要がある。そのためには,微細藻類の有用脂質代謝経路に関する基礎情報が不可欠となるが,その詳細な解析技術は不十分である。そこで,イオントラップ型質量分析計を導入して,微細藻類のための脂質メタボロミクス手法の開発を試みた。その結果,海洋優占種の1種であるハプト藻<i>Emiliania huxleyi</i>を用いて,油溶性画分から10脂質種600以上の脂質分子種を同定する解析系の確立に成功した。
著者
大井 信明 白岩 善博
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.255-264, 2015-04-15 (Released:2015-04-28)
参考文献数
20

微細藻類を用いたバイオ燃料創出のための技術開発が精力的に行われている。その実現のためには,オイル含有量の高い新規微細藻類株の自然界からの単離,培養条件の最適化によるオイル生成速度と蓄積量の増大,遺伝子工学や代謝工学による有用燃料脂質の合成能の向上や代謝改変技術の確立等を実現する必要がある。そのためには,微細藻類の有用脂質代謝経路に関する基礎情報が不可欠となるが,その詳細な解析技術は不十分である。そこで,イオントラップ型質量分析計を導入して,微細藻類のための脂質メタボロミクス手法の開発を試みた。その結果,海洋優占種の1種であるハプト藻Emiliania huxleyiを用いて,油溶性画分から10脂質種600以上の脂質分子種を同定する解析系の確立に成功した。
著者
渡邉 信 中嶋 信美 河地 正伸 彼谷 邦光 加藤 美砂子 宮下 英明 白岩 善博
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は将来のBotryococcusを用いた石油代替資源開発に資するため、Botryococcus炭化水素生産代謝経路の生合成経路やその調節機構並びに大量増殖機構に関わる生物学的・化学的研究を行った。その結果、1)鉄成分が細胞やコロニーの形状、そしてオイル生産に与える影響が大きいこと、2)Botryococcusの63株の生産する主要炭化水素は直鎖アルケン型(race A)、トリテルペン型(race B)、テトラテルペン型(Race L)および上記3つの型のいずれにも属さない種々の構造のものが含まれるマルチ型タイプに分類されたこと、3)BOT-70はMEP経路を使ってテルペノイドを合成していること、4)炭化水素合成時にはSAMサイクルが活性化されていること、5)B.brauniiの大量発生には亜熱帯地域の夏季の成層形成・日照が重要であり、また窒素分濃度の高い水域にはB.brauniiはほとんど出現しないこと、6)細胞増殖が飽和する以上の光エネルギー(40μmol photons/m^2/s)が光合成生産を介して炭化水素生産等の物質生産に振り分けられていることが示された。