著者
又吉 宏昭 川井 康嗣 白源 清貴 大竹 由香 松本 美志也 坂部 武史
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.494-497, 2010-09-25 (Released:2010-10-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

カルバマゼピン内服中に高度の低ナトリウム血症を生じ,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)が疑われた症例を報告する.75歳の女性で,特発性三叉神経痛の治療をカルバマゼピンの内服と下顎神経ブロックで行っていた.下顎神経ブロックの効果が減弱し,カルバマゼピン600 mg/日でも痛みがコントロールできなかったので,下顎神経ブロックの目的で入院した.入院当日夜に痛みが増強し,血圧が上昇した.カルバマゼピン100 mgを追加した.翌日から気分不良,全身倦怠感,嘔気と頭痛が生じた.血清ナトリウムが119 mEq/Lと低下していた.尿量が減少しており,血漿浸透圧が低値で,尿浸透圧は高値であった.カルバマゼピンを中止し,水分摂取を制限した.入院8日目に血清ナトリウムは 135 mEq/Lに改善した.その後,下顎神経の高周波熱凝固を行い,痛みは消失し,カルバマゼピンを中止した.カルバマゼピンによるSIADHの頻度は低いが,注意すべき副作用である.三叉神経痛で,薬物療法の副作用が生じた場合は,高周波熱凝固術は有意義であると考えられた.
著者
若松 弘也 山田 健介 勝田 哲史 白源 清貴 松本 聡 松本 美志也
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.347-353, 2018-05-15 (Released:2018-06-23)

2015年10月に発表されたJRC蘇生ガイドライン2015における一次救命処置の推奨は次の通りである.胸骨圧迫のテンポは,100〜120回/分を推奨する.胸骨圧迫の深さは,6cmを超える過剰な圧迫を避けつつ,約5cmの深さで行うことを推奨する.CPR中の胸骨圧迫の中断は最小限とし,胸骨圧迫比率をできるだけ高くして,少なくとも60%とすることを提案する.心停止の疑いのある人の近くにいる,意思がありCPRを実施できる人に,ソーシャルメディアなどのテクノロジーを用いて情報提供することを提案する.JRC蘇生ガイドライン2015で強調されている胸骨圧迫の重要性は,ガイドライン2005,2010から引き継がれている.