著者
白石 純子 中川 瑛三 加藤 希歩 新井 紀子 渡邉 静代 岩見 美香 家森 百合子
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.58-72, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
28

今回の報告の目的は,発達性協調運動症のある子どもの書字困難の特徴を検討すること,および書字困難に対する感覚統合療法の効果を検討することである。発達性協調運動症のある小学2年生,計13例を対象に,読み書き,音韻処理,視知覚認知機能,眼球運動,感覚処理・協調運動に関するアセスメントを実施し,主訴やアセスメント結果から対象児それぞれの課題に応じた感覚統合療法を週に2回,計10回実施した。結果,13例の対象児の書字困難の特徴は「乱雑」「視写の困難さ」「書字負担」「読みの困難さを併せもつ書きの困難さ」「漢字書字の困難さ」「拒否」の6つのグループに分類された。感覚統合療法による介入を通して,13例中9例において書字困難に関する主訴の改善が認められ,発達性協調運動症に関連する書字困難が改善する傾向が示唆された。
著者
白石 純子 草野 佑介 杉村 喜美子 加藤 寿宏
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.45-57, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
15

京都府作業療法士会特別支援教育OTチームは,平成19年より特別支援教育における作業療法の有用性を検証してきた。今回,中学生3名に対し約半年間で3回ずつの訪問支援を行い,中学校における作業療法による介入の成果と特性について検討した。ASEBAによる行動チェックリストや授業参観・個別面談に加え,それぞれの主訴に応じた個別アセスメントにより,主訴の背景の解釈や,日常生活および学校生活で実施可能な支援計画を本人・保護者・教員に提案した。その結果,3名全員に学校生活上の改善を認めた。これらの背景には,作業療法の専門性を活かした個人,作業,環境の相互関係を踏まえた包括的アセスメントとそれに基づく課題の調整や学校・家庭の環境調整が有効であったと考える。今後も中学校と作業療法との連携の有効性について検証し,発信していくことが必要であると考えられる。