著者
白石 純子 中川 瑛三 加藤 希歩 新井 紀子 渡邉 静代 岩見 美香 家森 百合子
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.58-72, 2021 (Released:2021-10-08)
参考文献数
28

今回の報告の目的は,発達性協調運動症のある子どもの書字困難の特徴を検討すること,および書字困難に対する感覚統合療法の効果を検討することである。発達性協調運動症のある小学2年生,計13例を対象に,読み書き,音韻処理,視知覚認知機能,眼球運動,感覚処理・協調運動に関するアセスメントを実施し,主訴やアセスメント結果から対象児それぞれの課題に応じた感覚統合療法を週に2回,計10回実施した。結果,13例の対象児の書字困難の特徴は「乱雑」「視写の困難さ」「書字負担」「読みの困難さを併せもつ書きの困難さ」「漢字書字の困難さ」「拒否」の6つのグループに分類された。感覚統合療法による介入を通して,13例中9例において書字困難に関する主訴の改善が認められ,発達性協調運動症に関連する書字困難が改善する傾向が示唆された。
著者
太田 茂 岩見 美香 成田 努 東野 克巳 鈴木 淳史 多賀 崇 島田 司巳
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC HEMATOLOGY/ONCOLOGY
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.364-368, 1998

Hodgkin病 (以下HDと略) の治療後における心合併症の報告は欧米では多数報告されているが, 本邦ではきわめて少ない.われわれはHDの治療経過中に心タンポナーデを発症し, 治療終了後にtherapyrelated pancytopeniaをきたした症例を経験したので報告する.症例は14歳男児, 前上縦隔原発のHD (nodular sclerosis) でmodified MOPPおよびセミマントルと縦隔部に総計36.3Gyの照射を行った.化学療法6クール目の前半終了後から突然, 胸痛, 胸内苦悶感および呼吸困難が出現した.心嚢穿刺の結果, 心タンポナーデと診断され経皮的ドレナージにて軽快した.細胞診によりHDの浸潤は否定された.その後, 1クールの化学療法後に治療終了となったが, しだいに大球性貧血となり汎血球減少となった.骨髄は低形成であったが, 染色体検査は正常であった.オキシメトロン投与にて経過観察したところ, ほぼ4ヵ月で汎血球減少は改善し現在治療終了後5年を経過しているが無病生存中である.