著者
樋口 輝美 石川 由美子 山崎 俊男 水野 真理 大川 恵里奈 瀬戸口 晴美 柳沢 順子 中島 詩織 安藤 英之 及川 治 井下 篤司 阿部 雅紀 上野 高浩 相馬 正義
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.119-127, 2014 (Released:2014-03-06)
参考文献数
30
被引用文献数
3

【目的】透析患者におけるレボカルニチンの腎性貧血に及ぼす効果を検討する.【対象】当院にて維持透析施行中の患者192名のうち,選択基準を満たした対象患者153名に対し内服希望のアンケートを実施し,内服希望患者群113名(内服群)と内服希望のない患者群40名(非内服群)とした.【方法】今回の臨床試験においては,内服希望患者による介入試験であり,非ランダム化比較試験である.内服群はレボカルニチンを20mg/kg/日(最大用量1,200mg/日)を投与した.Erythropoiesis stimulating agents(ESAs)はrecombinant human erythropoietin(rHuEPO)とDarbepoetinα(DA)を使用しているため,rHuEPOとDAの比を200:1としrHuEPOの換算量とし,週あたりのESAs使用量,ESAs治療反応性の指標としてerythropoiesis resistance index(ERI)をESA doses/kg/g/dL/週として算出した.【結果】対象患者の患者背景は,内服群で,非内服群に比し有意に男性患者が多く,原疾患は糖尿病性腎症が多く,有意にクレアチニン,尿酸,アルブミンとTIBCの高値を認めたが,その他両群間で有意な差は認めなかった.1)内服群,非内服群とも試験開始前から6か月まで目標Hbに達し,両群間で有意な差は認めなかった.2)内服群のESAs使用量は6か月目に有意な低値を認め,非内服群に比し,6か月目で有意な低値を認めた.3)内服群でESAs doses/kg/dL/週は6か月目で有意な低値を認め,非内服群に比し,開始3,6か月で有意な差を認めた.【結論】レボカルニチンは透析患者の腎性貧血におけるESAs使用量の低下と,ESAsへの反応性を改善させることが示唆された.
著者
林野 泰明 福原 俊一 野口 善令 松井 邦彦 John W Peabody 岡村 真太郎 島田 利彦 宮下 淳 小崎 真規子 有村 保次 福本 陽平 早野 順一郎 井野 晶夫 石丸 裕康 福井 博 相馬 正義 竹内 靖博 渋谷 克彦
出版者
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
雑誌
天理医学紀要 (ISSN:13441817)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-33, 2012-12-25 (Released:2013-02-26)
参考文献数
14

本研究の目的は,2004年の卒後医学教育改革前後の医療の質を比較することである.日本の8つの臨床研修指定病院において研修中の医師が本研究に参加した.参加した医師は,外来において頻度の高い疾患(糖尿病, 慢性閉塞性肺疾患,心血管疾患,うつ病)についての臨床シナリオに回答した.回答をエビデンスに基づいた診療の質の基準に照らしあわせて採点し,正答率スコアを算出した.ローテート研修が導入された前後でスコアの変化が生じたかを検証するために,2003年の参加者のスコアと,2008年の参加者のスコアを比較した.2003年では,141名(70.1%)が,2008 年には237名(72.3%)が参加に同意した.交絡因子を調整後も,両年の間にスコアの違いを認めなかった(2003 年からのスコアの変化 = 1.9%. 95% CI -1.8 to 5.8%).教育改革前の研修プログラムがストレート研修の施設ではスコアが 3.1% 改善しており,改革前にローテート研修を採用していた施設の改善度1.4% と比較して有意に高値であった.全般的には,2004 年の医学教育改革前後において,研修医の医療の質は変化していなかった.