著者
小山 博史 柏木 公一 中口 俊哉 黒田 嘉宏 金井パック 雅子 井野 秀一 藤原 道隆 足立 吉隆 江頭 正人 松井 邦彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

研修医や新人看護師など医療者のリアリティショックによるPTSDや早期離職が社会問題となっている。その理由の一つに臨床現場における多重課題に対する訓練不足が指摘されている。本研究では、現実世界での経験が困難な多重課題の臨床現場をバーチャルリアリティ(以下VR)技術を用いて仮想世界に再現し、多重課題シナリオを被験者(熟練者と初心者)に体験させ、その際の被験者の観察箇所や判断データを取得し、ヒューマンファクターデータとともにデータマイニング手法を用いた解析により多重課題における意思決定要因の解明と今後の臨床現場でのナビゲーションの基礎となる意思決定支援モデルの作成に関する研究を行う。
著者
林野 泰明 福原 俊一 野口 善令 松井 邦彦 John W Peabody 岡村 真太郎 島田 利彦 宮下 淳 小崎 真規子 有村 保次 福本 陽平 早野 順一郎 井野 晶夫 石丸 裕康 福井 博 相馬 正義 竹内 靖博 渋谷 克彦
出版者
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
雑誌
天理医学紀要 (ISSN:13441817)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.25-33, 2012-12-25 (Released:2013-02-26)
参考文献数
14

本研究の目的は,2004年の卒後医学教育改革前後の医療の質を比較することである.日本の8つの臨床研修指定病院において研修中の医師が本研究に参加した.参加した医師は,外来において頻度の高い疾患(糖尿病, 慢性閉塞性肺疾患,心血管疾患,うつ病)についての臨床シナリオに回答した.回答をエビデンスに基づいた診療の質の基準に照らしあわせて採点し,正答率スコアを算出した.ローテート研修が導入された前後でスコアの変化が生じたかを検証するために,2003年の参加者のスコアと,2008年の参加者のスコアを比較した.2003年では,141名(70.1%)が,2008 年には237名(72.3%)が参加に同意した.交絡因子を調整後も,両年の間にスコアの違いを認めなかった(2003 年からのスコアの変化 = 1.9%. 95% CI -1.8 to 5.8%).教育改革前の研修プログラムがストレート研修の施設ではスコアが 3.1% 改善しており,改革前にローテート研修を採用していた施設の改善度1.4% と比較して有意に高値であった.全般的には,2004 年の医学教育改革前後において,研修医の医療の質は変化していなかった.
著者
白澤 文吾 藤宮 龍也 松井 邦彦 瀬川 誠
出版者
山口大学医学会
雑誌
山口医学 (ISSN:05131731)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.143-146, 2014-05-01 (Released:2014-07-11)
参考文献数
6

山口大学医学部医学科では,二年前より臨床実習用のログブックを導入し,学生と教員に活用を促してきた.その目的として,学生にログブックの記録を振り返ってもらい成長の記録として役立てて欲しい事,また多忙な教員が短い実習期間の中で効率よく学生を指導するため,学生自身の学習意欲を高めさせることといった効果を期待していた.今回,ログブックの活用状況に関するアンケート調査を,臨床実習学生と全診療科臨床実習担当教員に実施した.調査の結果から,学生,教員ともにログブックが臨床実習の場に浸透しているとは言いがたい現状だった.しかしながら,本来のログブックの目的である「復習や振り返りに役立った」が学生からの自由記述回答で最も多かった.また,学生からの改善策として「診療科毎のログブックの扱いに対する温度差が大きく,全体での統一した活用法を決めて欲しい」との回答が最も多く,早急な改善が必要であると思われた.今後,臨床実習の充実に向けて,ログブックの改訂を行いながら,学生と教員の双方にログブックの有用性を理解してもらい,活用を積極的に働きかけることが必要であると考えられた.
著者
松井 邦彦 小島 淳 小川 久雄
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、日本人の急性心筋梗塞患者に関した前向き多施設共同研究である Japan Acute Coronary Syndrome Study (JACSS)のデータベースをもとに、1)データマイニングの手法や統計手法を用いて、治療法の選択を含めた判断の影響、その効果を評価する。さらに、2)予後予測モデルの作成を試みた上で、得られた結果について妥当性の検証を行った。急性心筋梗塞患者に対して、30 日後での死亡に関する侵襲的な再還流療法の効果についての評価を行ったところ、中程度のリスクと考えられた群に対して、もっとも効果は高かったと考えられた